「よしよし」 陽ちゃんの大きな手が 私の頭を子供にするようにくしゃくしゃ撫でて なけなしのプライドに火をつける。 「陽ちゃんはオッサンだから高校1年の秋はもう2度と来ないんだもんね?」 うつ向いたままそう言うと 陽ちゃんの手がピタッと止まる。 「お前〜……」 低い声が響いた瞬間 クルッと踵を返して玄関に駆け込んだ。