恋ナンテ
シナケレバ
ヨカッタ
なんて
フレーズもあるけれど、
いつ恋をしたのかも分からないくらいずっと昔から
陽ちゃんに惹かれてた。
「なーにボーッと歩いてんだよ」
帰り道、後ろから軽く頭をはたかれる。
聞き慣れた声と相変わらずの仕打ちに振り向く。
「何回殴れば気がすむの?暴力教師ぃ……」
「暴力教師って……おまっ、……人聞きの悪い」
周りをキョロキョロ見ながら焦る陽ちゃん。
「…ったく、もう日も暮れてんだからチンタラ歩いてんじゃねーよ。痴漢にでもあったらどーすんだ」
陽ちゃんは、ため息をつきながら私の横にならんで歩きだした。
「はあ〜ぁ!」
私も大きく息をつく。
「何かご不満デスカ……?」
陽ちゃんが低い声で聞く。私の態度にイラッときてるようだ。
「……別に」
足早に歩く。
(上手く息が出来ない)
緊張する。
絶対、陽ちゃんに可愛いげのないヤツ…って思われてるよ。
「可愛いげのないヤツ……」
ほらね。
(でも)
(どうしよう……)
(なんか嬉しい)
足 もっとゆっくり動けばいいのに……。


