「ピアノを弾く先輩を見てても気が散らない?」 「散らないよ」 先輩は笑った 「寝たふりしないで先輩に話しかけても追い出したりしない?」 あたしの目から零れ落ちた涙を先輩はそっと指ですくった 困ったように笑って 「好きな子を邪魔だなんて思わないよ」 あたしの頭を撫でる 「千愛ちゃんはオレの眠り姫だからね」