呼吸を整えてからそーっと戸を引いた アルト先輩はいつものようにそこにいて あたしに気付くと軽やかに動かしていた手を止めて 「来たんだね」 やわらかい微笑みを浮かべる あたしはホッとしてゆっくり部屋に入った スーッと音楽室の空気を吸い込むと変な緊張は消えた いつもと同じ あたしの特別な時間 この雰囲気 やさしい先輩の微笑み 暖かい部屋 いつもと同じ雰囲気の中、いつもと違ったものを見つけた あたしの足はハッと止まる ピアノの上にかわいい紙袋が置かれてた