「お兄ちゃん」
「んあ?千愛」
こないだから元気ない感じのお兄ちゃんがゆっくり顔を上げた瞬間
「これあげる!」
お兄ちゃんは高等部ではけっこう有名な不良
どーせモテないからちょうどいい
あたしはチョコを押し付け驚くお兄ちゃんを残してその場所から走って逃げた
(もういらない……あんなチョコ!)
このまま知らないふりしてまた音楽室に行こ
どうせあたしが告白なんかしたって振られて終わり
失恋兄妹だしね
振られて気まずい思いするより告白なんてしないで毎日第二音楽室でアルト先輩のピアノ聴いた方がいいもん
気がつくと第二音楽室の扉の前に立っていた


