「わかったからとりあえずベッドには入ってろよ。せめて寝たフリ。」 「わかってるよー。」 弟は二段ベッドの上に上った。 そのベッドの柱には昔母さんが作った緑の靴下が吊してある。 俺は部屋の電気を消して勉強机にあるスタンドの電気だけをつけた。 ついでに本棚から大学受験対策の本を取り出した。 今日は英語にしとくかな。 ノートを開く前に机の上に置かれているデジタル時計に視線を向けた。 時刻はまだ10時だった。