サブのアパートを出て、屋敷の前を通りかかった時、中から執事が出てきた。
執事の右手には、まるで猫を掴むように、真木ヒナタが掴まれている。
「・・・・お疲れ様です、龍一さん・・・・」
状況がわからないだけに、とりあえず、執事に挨拶をする私。
「はい、小夜さん。お元気そうでなによりです。」
執事は、いつもと変わらない笑顔で私を見る。
「離せよ!!龍一!!!」
執事の右手をどうにか振りほどこうとして、真木ヒナタが暴れていた。
「・・・・どうしたんですか、それ?」
私は、真木ヒナタを指差しながら、執事に聞く。
「はい。どうやら、野良猫が家に迷い込んできていたようですので、捕まえてきたところです。」
執事は、そう言って、真木ヒナタを道路に投げ捨てた。
「くそ~!人がせっかく気持ちよく寝てたところを邪魔しやがって!」
執事を睨みつける真木ヒナタ。
そんな真木ヒナタを一切、相手にせずに執事は、「それでは、仕事がありますので。」と、素っ気無く言うと、屋敷の中へと戻っていった。
「・・・・真木さん、何やってるんですか?」
私は、呆れた表情で真木ヒナタを見た。