「おかえり〜……ってうわー。血塗れじゃん。という事は……」
早朝にも関わらず刹那はいつも通りの場所にいた。いつ睡眠をとっているのか分からない程、基本的にはこの談話室に刹那はいることが多かった。
「あぁ、終わった」
簡潔に口頭で報告を行う。粗方聞き終えると刹那は満足気に頷いた。
「宗教団体の奴等は全員始末したよ〜。でも地下に薬漬けにされてたここの従業員含めた一般人は気絶だけさせといたから回収してやって。ただもしかするとうちの従業員も洗脳されて俺らを襲ってきてたら殺しちゃったけどいいよな?」
「駄目と言われてももう死んでるんだけどさ」と付け加える。
「了解了解。洗脳されてた子達はいいよ。多分戻ってこれなかっただろうし仕方ない。とにかくご苦労様っ。それにしても……凄い血だねぇ。カーペットにつけないようにしてね。あーあ、コートも穴だらけじゃん。新調してあげるよ」
「傷からの出血はあらかた止まったんだよね?とりあえず部屋戻るまで誰かに見られたらいけないから」と代わりのコートを卓上に置く。命に関わるような傷だらけのクロムを見ても刹那は驚く素ぶりがなかった。
このカフェでクロムとロスの正体を知ってるのは刹那だけだ。ここの従業員になる際にたまたま目撃されたこともあり刹那だけは2人の秘密を知っていた。その為、並大抵の怪我では死なない不死身に近いクロムの体のことを知っていたので驚くことはなかった。
「止まってる。コートの新調早めに頼むぞ」
穴だらけで血で重みを帯びたコートを机に放り投げながら代わりのコートに手を掛ける。
「ちょっとちょっと!机が血だらけになるでしょ!それにしてもクロムが怪我するなんて珍しい」
慌ててコートを机からどけ、机の後ろにあるゴミ箱に手早く入れる。かなりの量の血液がコートに染み付いていたので机にも付着していた。すぐに使い捨ての手袋を装着し、アルコール液で拭いて落とす。手慣れているようで動きに無駄はなく、すぐに使った物を先程のゴミ箱に捨てていた。
「眠くて油断してたんだよ……。貴様のせいでもあるがな」
茶番劇のことを言っているのであろう。恨めしそうな目で睨みつけると刹那は斜め上を見て口笛を吹く振りをして目を合わせようとしない。…こいつといい笑いやがったロスといい腹が立つ……。そう思っていると先程の戦闘を思い出し疑問だった点が浮上した。
「そういや……。ロスお前さ」
「なーにー?」
「なんで手ぇ出さなかったんだよ。爆笑しててそれどころじゃなかったのか?」
確かにロスが手助けしてればクロムは体はともかく頭を銃で撃たれる事はなかったはずだ。クロムの問いかけに「んー…」と少し考える素振りをしたロスは呑気に答えた。
「爆笑してて判断つかなかったのもあるけど、どっちかっていうと……恨み?」
「はぁ?なんの……って、あれか?ゾンビ信者のとこか?」
「そう⭐︎」
「後は表のバイトに俺を売ったこととか!」とピースをしながら笑う。…こいつ根に持ってやがったか。
「お前な………」
「俺言ったじゃん?覚えとけってさ」
ケラケラと笑いながら楽しそうに笑うロスに「…ねちっこいじじぃめ」と悪態をついた。
「あー!人聞きの悪い!俺だって酷い目にあったんだからおあいこだろ!」
「あぁ?お前のは大したことなーー「はいはいはい!ストーップ!!」
今にも喧嘩をおっ始める気配の2人の間に割り込む。この2人がここで喧嘩を始めたら部屋が壊れてしまう。早々に喧嘩を止める方が懸命と判断したのだった。動きは止まったが互いに睨みつけている2人に慌てて話題を変える。
「とりあえずシャワー浴びてきたら?ベトベトで気持ち悪いでしょ?ロスは着替えてきなよ。あの恨めしい匂いが残ってるから」
「あぁ…。そうする。シャワー浴びたら寝る。報告書はその後に出す」
「あぁーそうだった!俺のコートも新調よろしく!」
眠気と自身の汚れに怒りが飛んだのか手に取った代わりのコートを速やかに着たクロムは何回目か分からない欠伸を噛み殺しながら踵を返した。ロスも匂いを思い出したようで後に続いた。
その後ろ姿に「はいはーい。とにかくお疲れ様。おやすみ〜」と手を振って見送った。
早朝にも関わらず刹那はいつも通りの場所にいた。いつ睡眠をとっているのか分からない程、基本的にはこの談話室に刹那はいることが多かった。
「あぁ、終わった」
簡潔に口頭で報告を行う。粗方聞き終えると刹那は満足気に頷いた。
「宗教団体の奴等は全員始末したよ〜。でも地下に薬漬けにされてたここの従業員含めた一般人は気絶だけさせといたから回収してやって。ただもしかするとうちの従業員も洗脳されて俺らを襲ってきてたら殺しちゃったけどいいよな?」
「駄目と言われてももう死んでるんだけどさ」と付け加える。
「了解了解。洗脳されてた子達はいいよ。多分戻ってこれなかっただろうし仕方ない。とにかくご苦労様っ。それにしても……凄い血だねぇ。カーペットにつけないようにしてね。あーあ、コートも穴だらけじゃん。新調してあげるよ」
「傷からの出血はあらかた止まったんだよね?とりあえず部屋戻るまで誰かに見られたらいけないから」と代わりのコートを卓上に置く。命に関わるような傷だらけのクロムを見ても刹那は驚く素ぶりがなかった。
このカフェでクロムとロスの正体を知ってるのは刹那だけだ。ここの従業員になる際にたまたま目撃されたこともあり刹那だけは2人の秘密を知っていた。その為、並大抵の怪我では死なない不死身に近いクロムの体のことを知っていたので驚くことはなかった。
「止まってる。コートの新調早めに頼むぞ」
穴だらけで血で重みを帯びたコートを机に放り投げながら代わりのコートに手を掛ける。
「ちょっとちょっと!机が血だらけになるでしょ!それにしてもクロムが怪我するなんて珍しい」
慌ててコートを机からどけ、机の後ろにあるゴミ箱に手早く入れる。かなりの量の血液がコートに染み付いていたので机にも付着していた。すぐに使い捨ての手袋を装着し、アルコール液で拭いて落とす。手慣れているようで動きに無駄はなく、すぐに使った物を先程のゴミ箱に捨てていた。
「眠くて油断してたんだよ……。貴様のせいでもあるがな」
茶番劇のことを言っているのであろう。恨めしそうな目で睨みつけると刹那は斜め上を見て口笛を吹く振りをして目を合わせようとしない。…こいつといい笑いやがったロスといい腹が立つ……。そう思っていると先程の戦闘を思い出し疑問だった点が浮上した。
「そういや……。ロスお前さ」
「なーにー?」
「なんで手ぇ出さなかったんだよ。爆笑しててそれどころじゃなかったのか?」
確かにロスが手助けしてればクロムは体はともかく頭を銃で撃たれる事はなかったはずだ。クロムの問いかけに「んー…」と少し考える素振りをしたロスは呑気に答えた。
「爆笑してて判断つかなかったのもあるけど、どっちかっていうと……恨み?」
「はぁ?なんの……って、あれか?ゾンビ信者のとこか?」
「そう⭐︎」
「後は表のバイトに俺を売ったこととか!」とピースをしながら笑う。…こいつ根に持ってやがったか。
「お前な………」
「俺言ったじゃん?覚えとけってさ」
ケラケラと笑いながら楽しそうに笑うロスに「…ねちっこいじじぃめ」と悪態をついた。
「あー!人聞きの悪い!俺だって酷い目にあったんだからおあいこだろ!」
「あぁ?お前のは大したことなーー「はいはいはい!ストーップ!!」
今にも喧嘩をおっ始める気配の2人の間に割り込む。この2人がここで喧嘩を始めたら部屋が壊れてしまう。早々に喧嘩を止める方が懸命と判断したのだった。動きは止まったが互いに睨みつけている2人に慌てて話題を変える。
「とりあえずシャワー浴びてきたら?ベトベトで気持ち悪いでしょ?ロスは着替えてきなよ。あの恨めしい匂いが残ってるから」
「あぁ…。そうする。シャワー浴びたら寝る。報告書はその後に出す」
「あぁーそうだった!俺のコートも新調よろしく!」
眠気と自身の汚れに怒りが飛んだのか手に取った代わりのコートを速やかに着たクロムは何回目か分からない欠伸を噛み殺しながら踵を返した。ロスも匂いを思い出したようで後に続いた。
その後ろ姿に「はいはーい。とにかくお疲れ様。おやすみ〜」と手を振って見送った。

