Devil†Story

「っ!じ……じゃあ、尚のこと私と組まないか!?」


「……」


何も言わずに聞いていると男は焦ってペラペラ喋り続ける。


「か…金ならいくらでも出す!だから、私側につけっ!私側につけばこの国は―……」


ドスッ!


これ以上戯言を聞くつもりはなかったのだろう。なんの前触れもなく神父の体に剣を突き刺した。


「かっ…」


「頭悪いのか?何度も同じ話をしてくんじゃねぇよ」


クロムは神父の体から剣を抜いてその後は興味がなくなったのか見向きもせずに後ろへ踵を返した。


ブシュ……


血に濡れた彼の体を蝋燭の火が暗く映し出していた。


「殲滅終了だな!」


スッと翼をしまったロスは背伸びをした。あちこちに死体が散乱している。恐らく50人弱は殺害しただろう。


「これでようやく寝れるぜ」


身体中に銃弾を受けているのにも関わらず睡眠の事しかないのだろう。剣を鞘に収めて欠伸をする。


「そういえば…あの信者達どうする?俺も呼吸出来なくてちょっと加減出来なかったから暫く起きないと思うし、まだ薬漬けで訳が分からない状況だろうけど…他の奴来たら犯人だと思われるんじゃね?そしたら大騒ぎになるかも」


先程のお香が焚かれた部屋に気絶しているであろう20人弱の信者の事を思い出す。廊下にも教団員の死体がゴロゴロ転がっている状況だ。一般人ならまず卒倒するだろう。その中に薬漬けにされて意思疎通が取れない信者が入れば犯人と疑われ、ニュースでも話題になってしまうのではないかと示唆していた。


「ほっとけよ。どうせ刹那が動くだろうし」


コートを引っ張り服の下を見ている傷の確認をしているクロムは他人事のように答える。


「それもそうか。ど?傷塞がってきてる?」


「あぁ。血は止まったな。少しでけぇ怪我すると治る時に痒みが生じるのと感覚的に気持ち悪くなんのだけ好かねぇな」


体が再生する際に傷口から糸のような物が出てそれが傷を塞ぐのだがその感覚と瘡蓋と同じ原理で少し痒みを生じるのであった。


「俺との契約で体の治癒能力を底上げしてやってるからな。好転反応が強く出るのは仕方ないな〜。カフェに戻って落ち着いたら頃には全部治ってるだろうから機嫌直せよ〜」


まるで幼子を相手にしているような口調にイラっとするがすぐに扉に向かって歩き出す。


「別に気にしてる訳じゃねぇよ。久々にでけぇ怪我したから感覚を忘れただけだ。それよりさっさと戻るぞ」


「そうだな。俺も早く着替えたいし」


2人は礼拝堂を後にした。こうして様々なところで問題を起こしていた宗教団体は奇しくも悪魔とその契約者によって滅ぼされることとなり壊滅したのであった。