「ッ……」
ぐらりと大きく体が傾く。貫通したであろう傷口から血と脳漿が吹き出して弧を描いていた。その光景を目の当たりにしてロスの笑いは消えて驚愕したような表情になった。
「えっえ!?ちょっ待って…!うっ…撃たれ…!?」
狼狽えたようなロスの様子に神父は「我々を舐めているからだ。だから命を散らすことになる」とニヤリと笑った。しかし。
「……だっせー!!撃たれてやんの!ハハハ!」
驚いたことに明らかに仲間の頭を銃弾が抜けて行ったというのに再び笑っている。腹を抱えて大笑いしているロスに全員が驚愕の表情を浮かべる。
「…気でも狂ったか?こんな状態で笑ってるなんて。こうはなりたくないだろう?君だけでも戦力になると言うならーー」
ーーダン!
まるで強く足を地面につけるような音が鳴り響いた為、視線をそちらに向ける。
「ーーは?」
思わず声が漏れてしまう。何故なら倒れるだけだった筈のクロムが足をついてそこに立っていたからだった。
「え…」
周りの部下達も騒然とする。クロムは軽く頭を振ってこめかみ付近を押さえた。
「あ゙ー…。くそっ……」
「はっ…え!?」
頭を撃ち抜かれて生きてるなどありえない事だ。だが変わらず立ち続け、言葉を発している姿が視覚を通して事実であることを突き付けている。
「!!!」
「あ゙ー…やってくれたなクソ野郎……」
頭から流れた血を拭いながら何事もなかったかのようにくるりとこちらを向いた。
「なっ……!?」
理解が追いつかずに唖然とクロムを見つめることしか出来ない状況だった。
「あー……貫通してても余韻が残る……」
「まっ…まさか…かすっただけか?」
一瞬そう思うが神父は目の前で左から抜けて行った銃弾を目の前で見ている。左右の側頭部から血飛沫が上がるのもその目で見ている。それだけではなく頭部側面から流れ出る血が地面へ零れ落ち、その出血量は明らかに銃弾が被弾したことを表している。
「ヒヒヒヒ…当たっヒュッ…当たってやんのーーダハハ!」
「うっせぇなぁ…ねみぃから反応が遅れただけだっての。頭に響くからいい加減馬鹿デケェ声で笑うな」
「だっ…だから言っただろ…"ろくな目に合わない"ってさ…まさか本当に起こるとは……。罰が当たってやんの…ぷっ…アハハッ!ウエッ…笑いすぎて吐きそう…ククひひゃひゃ」
手を叩いて更に変な笑い声と嗚咽を漏らしたロスを若干睨みつけながら手のひらに着いた血液を乱暴に振り切った。
ピチャリと近くにいた部下の足元に血液がつき、思わず足元を見る。その少し先にあった真新しい銃痕と左右の側頭部から流れる尋常じゃない量の血液に糸が切れたように悲鳴を上げる。
「うわぁぁ!」
「あ」
「は?」
ドンッ ドンッ ドンッ!
声を上げたのも束の間、錯乱した部下の1人が銃を乱射し、今度は何発も体に銃弾が撃ち込まれる。撃たれる度にその衝撃で少しずつ体が後ろへ下がる。
ドンッ ドンッ ドンッ カチッ カチッ……
「うわっ…ひっ…」
弾がなくなってから数発空撃ちをしてようやく撃つのをやめる。誰の目から見ても死が分かるほどの量の銃弾を受けたのにも関わらずクロムは倒れずにそこに立っていた。
「ヒー…!やめて…勘弁して…!これ以上笑ったら腹捩れる…!」
「罰が当たりすぎだろ!蜂の巣じゃん!」とゲラゲラ笑うロスに「…少し黙ってろ」と変わらずに返していた。
「クソが。馬鹿みてぇに乱射しやがって……弾を何発も腹から出すこっちの身にもなれっての」
立つだけではなく悪態をついていたクロムが一瞬腹部に力を込めたかと思うとぺっと血と一緒に何かを吐き出す。
カラン カラン……
「ひっ……!」
一緒に吐き出したのはさっき撃ち込まれて体に入ってしまった鉛弾だった。ダラダラとその体から流れる血液が水溜まりを作り始める。
「ばっ……化物っ…!」
「ハァ?化け物とは失礼な奴だな。…まっ」
言葉の途中だったが一瞬の内に化物と言った部下の目の前まで行き「ただの人間ではないけどな」と呟いて、その男の体をいつの間にか死体から抜いていたナイフで貫いた。
ドスッ
心臓を深く突かれ即死した人間はただの肉塊になり、ナイフを引き抜かれるのと同時に崩れ落ちた。
「っ!何がどうなってやがる!」
「体に防弾チョッキでも仕込んでやがるのか!?分からねぇがとにかく先にこっちのイカレたガキをやっちまえ!」
一斉にロスの方へ走っていく部下達に、ようやく少し笑いが収まってきたロスが呆れたように首を振る。
「ハー…笑いすぎて疲れた。はらいてー…。てか馬鹿だなぁ……。こんな奴と一緒に居るんだからノーマルなわけねぇじゃん。……つーか一緒にすんなよな。てめぇら人間みてぇな―……」
「なっ!?」
バサッ
ロスの背中から黒い鳥の羽のような翼が姿を現した。バサリと羽根を動かす度に黒いカラスのような羽が周囲に散らばる。それだけではなく細長い尻尾が生えてきた。
「……下等生物と」
ニッとロスが笑うと犬歯が鋭く尖っており、その目は紅黒く怪しい光を纏っていた。
ぐらりと大きく体が傾く。貫通したであろう傷口から血と脳漿が吹き出して弧を描いていた。その光景を目の当たりにしてロスの笑いは消えて驚愕したような表情になった。
「えっえ!?ちょっ待って…!うっ…撃たれ…!?」
狼狽えたようなロスの様子に神父は「我々を舐めているからだ。だから命を散らすことになる」とニヤリと笑った。しかし。
「……だっせー!!撃たれてやんの!ハハハ!」
驚いたことに明らかに仲間の頭を銃弾が抜けて行ったというのに再び笑っている。腹を抱えて大笑いしているロスに全員が驚愕の表情を浮かべる。
「…気でも狂ったか?こんな状態で笑ってるなんて。こうはなりたくないだろう?君だけでも戦力になると言うならーー」
ーーダン!
まるで強く足を地面につけるような音が鳴り響いた為、視線をそちらに向ける。
「ーーは?」
思わず声が漏れてしまう。何故なら倒れるだけだった筈のクロムが足をついてそこに立っていたからだった。
「え…」
周りの部下達も騒然とする。クロムは軽く頭を振ってこめかみ付近を押さえた。
「あ゙ー…。くそっ……」
「はっ…え!?」
頭を撃ち抜かれて生きてるなどありえない事だ。だが変わらず立ち続け、言葉を発している姿が視覚を通して事実であることを突き付けている。
「!!!」
「あ゙ー…やってくれたなクソ野郎……」
頭から流れた血を拭いながら何事もなかったかのようにくるりとこちらを向いた。
「なっ……!?」
理解が追いつかずに唖然とクロムを見つめることしか出来ない状況だった。
「あー……貫通してても余韻が残る……」
「まっ…まさか…かすっただけか?」
一瞬そう思うが神父は目の前で左から抜けて行った銃弾を目の前で見ている。左右の側頭部から血飛沫が上がるのもその目で見ている。それだけではなく頭部側面から流れ出る血が地面へ零れ落ち、その出血量は明らかに銃弾が被弾したことを表している。
「ヒヒヒヒ…当たっヒュッ…当たってやんのーーダハハ!」
「うっせぇなぁ…ねみぃから反応が遅れただけだっての。頭に響くからいい加減馬鹿デケェ声で笑うな」
「だっ…だから言っただろ…"ろくな目に合わない"ってさ…まさか本当に起こるとは……。罰が当たってやんの…ぷっ…アハハッ!ウエッ…笑いすぎて吐きそう…ククひひゃひゃ」
手を叩いて更に変な笑い声と嗚咽を漏らしたロスを若干睨みつけながら手のひらに着いた血液を乱暴に振り切った。
ピチャリと近くにいた部下の足元に血液がつき、思わず足元を見る。その少し先にあった真新しい銃痕と左右の側頭部から流れる尋常じゃない量の血液に糸が切れたように悲鳴を上げる。
「うわぁぁ!」
「あ」
「は?」
ドンッ ドンッ ドンッ!
声を上げたのも束の間、錯乱した部下の1人が銃を乱射し、今度は何発も体に銃弾が撃ち込まれる。撃たれる度にその衝撃で少しずつ体が後ろへ下がる。
ドンッ ドンッ ドンッ カチッ カチッ……
「うわっ…ひっ…」
弾がなくなってから数発空撃ちをしてようやく撃つのをやめる。誰の目から見ても死が分かるほどの量の銃弾を受けたのにも関わらずクロムは倒れずにそこに立っていた。
「ヒー…!やめて…勘弁して…!これ以上笑ったら腹捩れる…!」
「罰が当たりすぎだろ!蜂の巣じゃん!」とゲラゲラ笑うロスに「…少し黙ってろ」と変わらずに返していた。
「クソが。馬鹿みてぇに乱射しやがって……弾を何発も腹から出すこっちの身にもなれっての」
立つだけではなく悪態をついていたクロムが一瞬腹部に力を込めたかと思うとぺっと血と一緒に何かを吐き出す。
カラン カラン……
「ひっ……!」
一緒に吐き出したのはさっき撃ち込まれて体に入ってしまった鉛弾だった。ダラダラとその体から流れる血液が水溜まりを作り始める。
「ばっ……化物っ…!」
「ハァ?化け物とは失礼な奴だな。…まっ」
言葉の途中だったが一瞬の内に化物と言った部下の目の前まで行き「ただの人間ではないけどな」と呟いて、その男の体をいつの間にか死体から抜いていたナイフで貫いた。
ドスッ
心臓を深く突かれ即死した人間はただの肉塊になり、ナイフを引き抜かれるのと同時に崩れ落ちた。
「っ!何がどうなってやがる!」
「体に防弾チョッキでも仕込んでやがるのか!?分からねぇがとにかく先にこっちのイカレたガキをやっちまえ!」
一斉にロスの方へ走っていく部下達に、ようやく少し笑いが収まってきたロスが呆れたように首を振る。
「ハー…笑いすぎて疲れた。はらいてー…。てか馬鹿だなぁ……。こんな奴と一緒に居るんだからノーマルなわけねぇじゃん。……つーか一緒にすんなよな。てめぇら人間みてぇな―……」
「なっ!?」
バサッ
ロスの背中から黒い鳥の羽のような翼が姿を現した。バサリと羽根を動かす度に黒いカラスのような羽が周囲に散らばる。それだけではなく細長い尻尾が生えてきた。
「……下等生物と」
ニッとロスが笑うと犬歯が鋭く尖っており、その目は紅黒く怪しい光を纏っていた。

