それから数日。いつものように退屈な日々を過ごしていた。
つまらない授業の中でいつもとは違った言葉が出てきて思わずそちらを見る。
「ーーですので、来月から二人一組で実際に実習にで我々が選んだ村に擬似とはいえ狩りに行ってもらいます。そのグループ作りを今からします」
(げっ…マジか。絶対嫌なんだけど)
このクラスで組み分けとか…絶対に面倒なことになんじゃん。
「それでは始めてください。前から言っていますがパートナーはとても重要です。自分が信頼できる人…もしくはフィーリングが合うと思える人を出来るだけ選んでください」
は?いる訳ねぇだろ。このままじゃ…あいつとは決定じゃん。寝たふりしとくか…。
そう思っている間に周りはペアを作っており、運の悪いことにこの間からかってきたクソと目が合ってしまった。
「あれー?王子様は誰もいないのー?」
嫌な笑顔でニヤニヤしながら馴れ馴れしく肩を組んでくる。
話しかけんなバカ。
「おやおや〜?クロ虫ちゃんもいない感じー?」
…ほら。やっぱり…。
チラリと見るとオロオロしているクローディアの姿があった。
クロ虫ちゃんというあだ名は名前に弱虫の虫をつけたもの。
他にはクズーディアとか…とにかく馬鹿にされている。
「どうせ誰もいないんだし組んであげれば〜?」
…黙れっての。そんなこと言うと……。
「…他はペアになっているようなのでそうしましょうか」
…今日は厄日か?全部最悪の想像通りになってるぞ。
「はーい。じゃあ決定ってことで!」
クスクスニヤニヤ…
その場の雰囲気、音、空気…全てが苛々の種となって溜まっていく。
あー…くそ。マジで最悪だ…。ていうかペアは大事とか言ってたのは何処のババァだよ。結局余り者同士でくっつけろとか意味ねぇじゃん。
思わず舌打ちをし、窓の外を見ていたヤナをクローディアは申し訳なさそうに見て、すぐに俯いていたのを、この時の俺は気付いてなかった。
その後の授業はいつも以上に上の空で、終わり次第すぐに帰宅した。
「おかえりなさい。坊ちゃん」
いつものように微笑むジルに答える余裕はなく、ドサリとソファに座り込む。
「…どうされました?坊ちゃん」
「……来月から実戦実習だと」
「それはそれは。…もしかしてペア分けですか?」
「そう。クローディアなんだけど…マジで最悪だ。他の誰かでも最悪だけど…。あー…サボろうかな」
「……」
いつもならここで「そうですか。なら連絡しておきますよ」なり「駄目ですよ」等と言うジルは珍しく黙っていた。
ジルを見てみると何かを真剣に考えている様子であった。その真剣な表情を見ると不意に話しかけることが出来なかった。
暫くの沈黙の後…静かにジルは口を開いた。
「…坊ちゃん。実戦実習は大切ですよ。嫌でしょうが…いつ何時何が起こるかは分かりませんから」
"何が起こるか分からない"に含まれる意味を俺は理解することが出来た。
ジルの意向として…自分がずっと俺の面倒を見ていこうと思っている。だが、あの時みたいなことが…今後起こらないとは限らない。急に家族から放り投げられた時のように。
そうなった時にどうなるかは経験済みなので痛い程理解できた。
「まだ失敗しても実戦実習中なら評価が変わるだけです。その評価は…俺はクソだと思ってるのでそれは良いです。経験は多くしておいて無駄にはなりません。利用できるものは利用しておきましょう」
理解できるとはいえ、それと今回参加するとはイコールではない。ジルが言うことは本当に理解してる。だが……。
俺が考えている真意になんとなく気付いているのだろう。
ジルは「…その前の予習などはサボられても構いません。でも、実習だけは行かれるべきだと思いますよ」と言ってから部屋を出て行った。
「………」
1人残された俺はぼーっと考えていた。珍しく行くべきと言っているジルの言葉を自身の中に溶かしながら…今後の実習を思い思わず溜め息が口から漏れた。
つまらない授業の中でいつもとは違った言葉が出てきて思わずそちらを見る。
「ーーですので、来月から二人一組で実際に実習にで我々が選んだ村に擬似とはいえ狩りに行ってもらいます。そのグループ作りを今からします」
(げっ…マジか。絶対嫌なんだけど)
このクラスで組み分けとか…絶対に面倒なことになんじゃん。
「それでは始めてください。前から言っていますがパートナーはとても重要です。自分が信頼できる人…もしくはフィーリングが合うと思える人を出来るだけ選んでください」
は?いる訳ねぇだろ。このままじゃ…あいつとは決定じゃん。寝たふりしとくか…。
そう思っている間に周りはペアを作っており、運の悪いことにこの間からかってきたクソと目が合ってしまった。
「あれー?王子様は誰もいないのー?」
嫌な笑顔でニヤニヤしながら馴れ馴れしく肩を組んでくる。
話しかけんなバカ。
「おやおや〜?クロ虫ちゃんもいない感じー?」
…ほら。やっぱり…。
チラリと見るとオロオロしているクローディアの姿があった。
クロ虫ちゃんというあだ名は名前に弱虫の虫をつけたもの。
他にはクズーディアとか…とにかく馬鹿にされている。
「どうせ誰もいないんだし組んであげれば〜?」
…黙れっての。そんなこと言うと……。
「…他はペアになっているようなのでそうしましょうか」
…今日は厄日か?全部最悪の想像通りになってるぞ。
「はーい。じゃあ決定ってことで!」
クスクスニヤニヤ…
その場の雰囲気、音、空気…全てが苛々の種となって溜まっていく。
あー…くそ。マジで最悪だ…。ていうかペアは大事とか言ってたのは何処のババァだよ。結局余り者同士でくっつけろとか意味ねぇじゃん。
思わず舌打ちをし、窓の外を見ていたヤナをクローディアは申し訳なさそうに見て、すぐに俯いていたのを、この時の俺は気付いてなかった。
その後の授業はいつも以上に上の空で、終わり次第すぐに帰宅した。
「おかえりなさい。坊ちゃん」
いつものように微笑むジルに答える余裕はなく、ドサリとソファに座り込む。
「…どうされました?坊ちゃん」
「……来月から実戦実習だと」
「それはそれは。…もしかしてペア分けですか?」
「そう。クローディアなんだけど…マジで最悪だ。他の誰かでも最悪だけど…。あー…サボろうかな」
「……」
いつもならここで「そうですか。なら連絡しておきますよ」なり「駄目ですよ」等と言うジルは珍しく黙っていた。
ジルを見てみると何かを真剣に考えている様子であった。その真剣な表情を見ると不意に話しかけることが出来なかった。
暫くの沈黙の後…静かにジルは口を開いた。
「…坊ちゃん。実戦実習は大切ですよ。嫌でしょうが…いつ何時何が起こるかは分かりませんから」
"何が起こるか分からない"に含まれる意味を俺は理解することが出来た。
ジルの意向として…自分がずっと俺の面倒を見ていこうと思っている。だが、あの時みたいなことが…今後起こらないとは限らない。急に家族から放り投げられた時のように。
そうなった時にどうなるかは経験済みなので痛い程理解できた。
「まだ失敗しても実戦実習中なら評価が変わるだけです。その評価は…俺はクソだと思ってるのでそれは良いです。経験は多くしておいて無駄にはなりません。利用できるものは利用しておきましょう」
理解できるとはいえ、それと今回参加するとはイコールではない。ジルが言うことは本当に理解してる。だが……。
俺が考えている真意になんとなく気付いているのだろう。
ジルは「…その前の予習などはサボられても構いません。でも、実習だけは行かれるべきだと思いますよ」と言ってから部屋を出て行った。
「………」
1人残された俺はぼーっと考えていた。珍しく行くべきと言っているジルの言葉を自身の中に溶かしながら…今後の実習を思い思わず溜め息が口から漏れた。

