「てめぇ…!」
ーーおっと!動くなよ!お前も外に出ろ!
「くっ…!」
エリザベスを人質に取られている限り…どうすることもできない。
歯ぎしりしながら俺は外へ出る。
「どうした?」
外に出てきた俺に問いかける父。その後ろから人間に連れられたエリザベスがやってくる。
「エリザベス!!!」
「エリー…!!!」
両親が叫ぶように妹の名を呼んだ。
「パパ…ママ…!!怖いよ…!」
「っ……!」
ーーさぁ!こっちに来い!化け物ども!!
エリザベスを人質に取られた事により、俺たちは人間達の言うことを聞かなければならなかった。
そして、エリザベスは木に貼り付けられ、両親は純銀製の拘束具を両手につけられて膝をついて首を下げる形で中心に座らせられた。
何故か俺はその3人の近くではなく、拘束具だけつけられて汚らわしい人間のそばに置かれた。
ーーやったぞ!化け物どもを捕まえたぞー!!!
ーーオォォォー!!!
人間達の歓喜の声が不協和音のように俺の耳を貫いて不快だった。
ーーさぁ!殺すぞ!元凶を!
ーー殺せ殺せ!!
その言葉にはらわたが煮えくり返り、血液が沸騰するように熱くなる。
俺のせいで…!
後悔の念に駆られる俺とは反対に父は静かに口を開いた。
「……我々はもう抵抗はしない。好きにすればいい」
「父さん…!」
「だが……子どもたちはどうか逃がしてやってほしい。これだけの恐怖を味わったんだ…。無闇やたらに人間を襲うようなことはしないだろう。…分かるだろう?我々にだって親としての情がある」
「………」
何も言えなくなっていると、今度は俺に声を掛けてきた。
「…ヤナ。お前のせいじゃない。…私達のせいだ。お前はよくやってくれた。ごめんな」
「父…さん…ごめん……」
「私達こそ…巻き込んでごめんね…ヤナ」
「違う…俺の……」
思わず項垂れたヤナだったが、それすらも許さないように人間達の怒号が辺りに鳴り響いた。
ーー黙れ!まずはお前らから始末してやる!
そう言うや否や。
母さんに向かって矢が向けられた。
「待て。私から先に殺せ。…ここで一番の危険因子は私だ」
静かに…落ち着いた声で極力奴等を刺激しないように伝える父。
ーー………なるほど。じゃあ……
矢の先端が下げられ、少しホッとしたような表情に父がなった時だった。
ーーヒュン
「うっ…!」
俺の後ろから風を切る音と同時に母が呻いた。
その胸元には深々と銀矢が突き刺さっていた。
「カーラ!!」
誰よりも早く父は母の名を呼んだ。それが合図だったかのように一度下がっていた矢の先端が母に向けられ一斉に光る雨となり母に襲いかかった。
銀色の雨のように降り注いだ矢が母の体に当たるたび、紅い液体が吹き出して飛び散った。
「ッ…!!!」
父の表情が苦痛で歪む。
全ての矢が体を貫く頃には母の意識は殆ど無くなっておりダラリと重量に逆らわずに身を投げ出していた。
「あ…なた……ごめんな…さい……。ヤナ…エリー……どうか…ぶ…じで……」
微かにそう呟いたのを最後に母の体は完全に力を失い崩れ落ちた。
「ママ…!!」
木に貼り付けられたエリーはその大きな瞳から大粒の涙を流し、その涙が非情にも地面を潤わせた。
俺は情けないことに何の反応も出来なかった。
ーーオオオオォー!!やったぞー!!
「…何故だ。何故俺からやらん…!」
先程までの刺激しないような丁寧な口調から少し怒りを含めた言い方で父は人間達に問いかける。その証拠に私から俺に変わっている。
ーーお前らの指図など受けない!お前らには…最低な死に方をしてもらう!
「ママ……ママァ……!ウワァァァン!」
エリーの鳴き声が響き渡る。
チラリとエリーを見た人間が吐き気のするような嫌な笑い方をした。その不穏な空気に父はすぐに気付いて大きな声をあげた。
「待ってくれ!エリーは…子どもたちには手を出さないでくれ!」
必死に叫ぶ父をあざ笑うかのように汚らわしい人間達は汚い笑いを浮かべた。
ーー指図は受けないと言ったぞ?次は餓鬼を殺せ!
「やめてくれ…!俺を殺せ!子どもたちには手を出すな!!」
二階の窓から巨体な人間が薄汚い大きめの斧をエリーの首元に突きつけた。
「ヒッ…こ…怖いよォ…!パパ!お兄ちゃん…!助けてッ…!」
「エリザベス…!」
泣きながら恐怖を浮かべたエリザベスは俺の方に手を伸ばす。
その間にも斧が振り上げられる。
「エリザベス!やめっーー」
父が制止の声をあげたのと同時に…
ーーブシュッ パタタタタ
紅い雨が降り注ぎ、視界の上から何かが回転して落ちてきた。
…それがエリザベスの首だというのに気付くのはそう時間がかからなかったが、事実を受け入れる理解には時間がかかった。
え…エリザベスの首だけがなんで落ちてきてるんだ…?体は…?なんでなんでなんで…?
スローモーションのようにゆっくり回転しながら落ちてきたエリザベスの目と目が合った。…そこには恐怖だけが残っていた。
ゴロゴロ…
地面に落ちたエリーの首が父の目の前に転がってきた。
落ちたのと同時に人間達は大きな声で歓声をあげた。
ーーおっと!動くなよ!お前も外に出ろ!
「くっ…!」
エリザベスを人質に取られている限り…どうすることもできない。
歯ぎしりしながら俺は外へ出る。
「どうした?」
外に出てきた俺に問いかける父。その後ろから人間に連れられたエリザベスがやってくる。
「エリザベス!!!」
「エリー…!!!」
両親が叫ぶように妹の名を呼んだ。
「パパ…ママ…!!怖いよ…!」
「っ……!」
ーーさぁ!こっちに来い!化け物ども!!
エリザベスを人質に取られた事により、俺たちは人間達の言うことを聞かなければならなかった。
そして、エリザベスは木に貼り付けられ、両親は純銀製の拘束具を両手につけられて膝をついて首を下げる形で中心に座らせられた。
何故か俺はその3人の近くではなく、拘束具だけつけられて汚らわしい人間のそばに置かれた。
ーーやったぞ!化け物どもを捕まえたぞー!!!
ーーオォォォー!!!
人間達の歓喜の声が不協和音のように俺の耳を貫いて不快だった。
ーーさぁ!殺すぞ!元凶を!
ーー殺せ殺せ!!
その言葉にはらわたが煮えくり返り、血液が沸騰するように熱くなる。
俺のせいで…!
後悔の念に駆られる俺とは反対に父は静かに口を開いた。
「……我々はもう抵抗はしない。好きにすればいい」
「父さん…!」
「だが……子どもたちはどうか逃がしてやってほしい。これだけの恐怖を味わったんだ…。無闇やたらに人間を襲うようなことはしないだろう。…分かるだろう?我々にだって親としての情がある」
「………」
何も言えなくなっていると、今度は俺に声を掛けてきた。
「…ヤナ。お前のせいじゃない。…私達のせいだ。お前はよくやってくれた。ごめんな」
「父…さん…ごめん……」
「私達こそ…巻き込んでごめんね…ヤナ」
「違う…俺の……」
思わず項垂れたヤナだったが、それすらも許さないように人間達の怒号が辺りに鳴り響いた。
ーー黙れ!まずはお前らから始末してやる!
そう言うや否や。
母さんに向かって矢が向けられた。
「待て。私から先に殺せ。…ここで一番の危険因子は私だ」
静かに…落ち着いた声で極力奴等を刺激しないように伝える父。
ーー………なるほど。じゃあ……
矢の先端が下げられ、少しホッとしたような表情に父がなった時だった。
ーーヒュン
「うっ…!」
俺の後ろから風を切る音と同時に母が呻いた。
その胸元には深々と銀矢が突き刺さっていた。
「カーラ!!」
誰よりも早く父は母の名を呼んだ。それが合図だったかのように一度下がっていた矢の先端が母に向けられ一斉に光る雨となり母に襲いかかった。
銀色の雨のように降り注いだ矢が母の体に当たるたび、紅い液体が吹き出して飛び散った。
「ッ…!!!」
父の表情が苦痛で歪む。
全ての矢が体を貫く頃には母の意識は殆ど無くなっておりダラリと重量に逆らわずに身を投げ出していた。
「あ…なた……ごめんな…さい……。ヤナ…エリー……どうか…ぶ…じで……」
微かにそう呟いたのを最後に母の体は完全に力を失い崩れ落ちた。
「ママ…!!」
木に貼り付けられたエリーはその大きな瞳から大粒の涙を流し、その涙が非情にも地面を潤わせた。
俺は情けないことに何の反応も出来なかった。
ーーオオオオォー!!やったぞー!!
「…何故だ。何故俺からやらん…!」
先程までの刺激しないような丁寧な口調から少し怒りを含めた言い方で父は人間達に問いかける。その証拠に私から俺に変わっている。
ーーお前らの指図など受けない!お前らには…最低な死に方をしてもらう!
「ママ……ママァ……!ウワァァァン!」
エリーの鳴き声が響き渡る。
チラリとエリーを見た人間が吐き気のするような嫌な笑い方をした。その不穏な空気に父はすぐに気付いて大きな声をあげた。
「待ってくれ!エリーは…子どもたちには手を出さないでくれ!」
必死に叫ぶ父をあざ笑うかのように汚らわしい人間達は汚い笑いを浮かべた。
ーー指図は受けないと言ったぞ?次は餓鬼を殺せ!
「やめてくれ…!俺を殺せ!子どもたちには手を出すな!!」
二階の窓から巨体な人間が薄汚い大きめの斧をエリーの首元に突きつけた。
「ヒッ…こ…怖いよォ…!パパ!お兄ちゃん…!助けてッ…!」
「エリザベス…!」
泣きながら恐怖を浮かべたエリザベスは俺の方に手を伸ばす。
その間にも斧が振り上げられる。
「エリザベス!やめっーー」
父が制止の声をあげたのと同時に…
ーーブシュッ パタタタタ
紅い雨が降り注ぎ、視界の上から何かが回転して落ちてきた。
…それがエリザベスの首だというのに気付くのはそう時間がかからなかったが、事実を受け入れる理解には時間がかかった。
え…エリザベスの首だけがなんで落ちてきてるんだ…?体は…?なんでなんでなんで…?
スローモーションのようにゆっくり回転しながら落ちてきたエリザベスの目と目が合った。…そこには恐怖だけが残っていた。
ゴロゴロ…
地面に落ちたエリーの首が父の目の前に転がってきた。
落ちたのと同時に人間達は大きな声で歓声をあげた。

