玄関先では両親が人間達を蹴散らしている中、俺は階段前でその時が来るのを静かに待っていた。
何せ狩りはしたことがあっても…命を奪う行為は初めてだからだ。
人間は脆い。
両親が軽く手を振るっただけで、腕や首が飛ぶ。
その度に流れ出る俺たちを魅了する赤い液体。
吸血鬼は吸血すればするほど力を帯びると言われている。
きっと両親は…親になる前にかなりの狩りをしたのだろう。
そのくらいの力を帯びていた。
俺やエリザベスを産み落として…その辺も薄れたのだろう。
…少なくとも俺は狩りを楽しんでいた。
駆ける音が聞こえ、その方に顔を向けるとあっちは走っているつもりなのだろうがかなり遅いスピードで吠えながらこちらに向かう人間の雄達が数人、目に入った。数での攻撃となるとそれぞれの動きを正確に見る必要があるがヤナの視力は余裕でそれが出来るほど良かった。その為、簡単に武器を振り下ろす人間達の攻撃を避け…その柔らかい腹部に腕を突き立てた。
ーーガッ
まるでゼラチンの様に脆い体は簡単に崩れ去った。
次々向かってくる彼らに淡々とその作業を繰り返す。
数の暴力…父はそう言ったが、数でかかって来たところでなんてことない感じがした。
両親も簡単に薙ぎ払い、俺は俺で壊して行く。
少し引っ張れば腕が抜け、少し強く蹴れば頭が飛ぶ。
体力だってこいつらと俺らでは違う。
朝日が直撃しなければ弱体化することもない。
…案外いけるのでは?
流石の人間達も辺りに死体が増え始めると、その瞳が怒りから恐怖に揺らぎ始めてきた。
最初から分かっていたはずなのに。
自分たちと俺たちでは力の差がありすぎることくらい。
それでも繰り返し突っ込んでくる人間を飛ばしながら俺は半分安堵し始めていた。
ーーそれが良くなかったのかもしれない。
裏口からの侵入が一時減り、人間達がコソコソと何かを話している声、姿を見逃していたから。
しかしすぐに侵入者は戻り、ヤナは戦いに徹した。
それからどのくらいの時が経ったであろう。
死体の山がいくつも増えたところで父がもう一度問いかけた。
「…これでもまだ続けるか?どうか引いて欲しい。…これ以上憎しみの対象を作るのは互いにやめないか」
ーー………
「…?」
俺はここで始めて疑問を覚えた。
たしかに人間達の目に怒りは殆ど消えて、意気消沈しているようではあった。
…しかし、その目の奥に何かとてつもなく嫌なものを感じた。
…気のせいか?
それが間違いだった。
ーーパリーン!
「キャー!!!!」
「「!!!」」
ガラスが割れる音と共に聞こえてきたのは悲鳴。
しまった!!!
俺は階段を登ろうとしたが、時は既に遅かった。
ーー動くな!こいつがどうなってもいいのか!!
汚らわしい人間が腕に抱えていたのは電話
「エリザベス!!」
「ヤナお兄ちゃん…!!」
エリザベスだった。
首元には恐らく純銀製のナイフが押し当てられていた。
何せ狩りはしたことがあっても…命を奪う行為は初めてだからだ。
人間は脆い。
両親が軽く手を振るっただけで、腕や首が飛ぶ。
その度に流れ出る俺たちを魅了する赤い液体。
吸血鬼は吸血すればするほど力を帯びると言われている。
きっと両親は…親になる前にかなりの狩りをしたのだろう。
そのくらいの力を帯びていた。
俺やエリザベスを産み落として…その辺も薄れたのだろう。
…少なくとも俺は狩りを楽しんでいた。
駆ける音が聞こえ、その方に顔を向けるとあっちは走っているつもりなのだろうがかなり遅いスピードで吠えながらこちらに向かう人間の雄達が数人、目に入った。数での攻撃となるとそれぞれの動きを正確に見る必要があるがヤナの視力は余裕でそれが出来るほど良かった。その為、簡単に武器を振り下ろす人間達の攻撃を避け…その柔らかい腹部に腕を突き立てた。
ーーガッ
まるでゼラチンの様に脆い体は簡単に崩れ去った。
次々向かってくる彼らに淡々とその作業を繰り返す。
数の暴力…父はそう言ったが、数でかかって来たところでなんてことない感じがした。
両親も簡単に薙ぎ払い、俺は俺で壊して行く。
少し引っ張れば腕が抜け、少し強く蹴れば頭が飛ぶ。
体力だってこいつらと俺らでは違う。
朝日が直撃しなければ弱体化することもない。
…案外いけるのでは?
流石の人間達も辺りに死体が増え始めると、その瞳が怒りから恐怖に揺らぎ始めてきた。
最初から分かっていたはずなのに。
自分たちと俺たちでは力の差がありすぎることくらい。
それでも繰り返し突っ込んでくる人間を飛ばしながら俺は半分安堵し始めていた。
ーーそれが良くなかったのかもしれない。
裏口からの侵入が一時減り、人間達がコソコソと何かを話している声、姿を見逃していたから。
しかしすぐに侵入者は戻り、ヤナは戦いに徹した。
それからどのくらいの時が経ったであろう。
死体の山がいくつも増えたところで父がもう一度問いかけた。
「…これでもまだ続けるか?どうか引いて欲しい。…これ以上憎しみの対象を作るのは互いにやめないか」
ーー………
「…?」
俺はここで始めて疑問を覚えた。
たしかに人間達の目に怒りは殆ど消えて、意気消沈しているようではあった。
…しかし、その目の奥に何かとてつもなく嫌なものを感じた。
…気のせいか?
それが間違いだった。
ーーパリーン!
「キャー!!!!」
「「!!!」」
ガラスが割れる音と共に聞こえてきたのは悲鳴。
しまった!!!
俺は階段を登ろうとしたが、時は既に遅かった。
ーー動くな!こいつがどうなってもいいのか!!
汚らわしい人間が腕に抱えていたのは電話
「エリザベス!!」
「ヤナお兄ちゃん…!!」
エリザベスだった。
首元には恐らく純銀製のナイフが押し当てられていた。

