ーー「それも1匹2匹ではないぞ!数十匹単位だ!見張りのものが既に2人殺されている!」
村長の怒鳴り声にその場にいた全員が強張った。
なんでここに人間が…?
ここは俺たちだけが入れる場ではなかったのか?
ーー「原因ならわかってる。…ルイ。お前がしくじってクローリー達を呼んだことで、カーラが後をつけられ非常口が見つかったからだ!」
「!!」
非常口とは、本来であれば吸血鬼しか入れないゲートの他にこう言った非常事態のみ使用できる入り口であり、それは誰でも使用できる扉であった。
クロムと一緒にいる魔物のクローが人間界に来たのもその入り口がたまたま巣の下でそこに落ちた為。
そういった入り口があちこちに点在しており、各種族はそれを非常口として使っており、隠しておき、それは一族の者しか知られてはいけない掟であった。
「なんてしつこい奴等なんだ…」
ルイさんの呟きに俺は呆然としてしまった。
ということは…。
先程から聞こえているこの地鳴りのような音は……人間の声?
そしたら何十単位ではない。
100は超えているだろう。
そんな人数がここに向かってきてるというのか。
今は人間達の間で疫病が蔓延していると父が言っていた。
彼等の声が地鳴りのように聞こえたのは…怒りが含まれているからだろう。
それだけでもありえない状況なのに、次の村長の言葉は更に理解しがたいものであった。
ーー「…我々の村は…血を穢さないことを選び少数の人数で成り立っている村だ。ただでさえ消えかけているこの村を…存続させるのにはそれなりに代償を払わなければならない。…従って村全体に大きな結界を張ることとする。…クローリー。お前の家より中の村をな」
「「「!!!」」」
その場にいた全員が驚愕した。
…俺の家より内側に…?
じゃあ俺たちは……。
「待ってください!!こちらには命に関わる重傷者がいるんです!全員が万全な状況ではありません!それではおさめることが出来ません!」
ーー「残念だが…お前達には犠牲になってもらう。彼等の怒りが消えれば…それ以上何かはしてこないだろう」
「そんなっ…」
「…俺たちに死ねということですか。そもそも!あの編成で狩りに行かせたこと自体が間違えーー「黙れ!!」
「!」
村長の怒鳴り声であたりには静けさに包まれた。
ーー「…私とて今までよくやってきてくれた…それも純血の吸血鬼を失いたくなどない。しかしこれしか方法がないのだ。それはわかるだろう!…これは運命なのだ。お前達の犠牲のもと…我々は生き残ることが出来るのだ」
その言葉に父は歯を食いしばっていた。
何かに耐えているのは痛いほど伝わった。
「ならせめて…妻や子ども達は中に入れてください…!子ども達だけは…!」
父の悲願も虚しく帰ってきた言葉はあまりにも無情なものであった。
ーー「クローリー。気持ちはわかるが今から引き入れてる時間はない。間に合わなければまだ全てが台無しだ。それは出来ぬ。そもそもお前はルイを助けにいった時に覚悟していたはずだ。こうなるかもしれない未来を。それを分かっていながら行ったお前達が蒔いた種だ。自分で蒔いた種は自分でなんとかしたまえ」
そんなっ…!
俺はともかく幼いエリーまで見殺しにするというのか。
生まれて初めて俺は怒りを感じたとこの時うっすらと思っていたと思う。
「俺が残りますから…クローリーや娘達は…せめて別の出口から出て逃げることを許してください…結界内は無理でも…それなら可能でしょう…?」
「ルイ!」
父は叱る時のような声でルイさんの名を呼んだ。ルイさんはただでさえ戦闘は苦手であり、ましてや今は怪我まで負っている。残るということは彼が死ぬことは明白だった。
「生贄が必要というなら俺がなりますから…だから…せめて…!」
ルイさんの言葉に再び沈黙が流れた。
ーー「…アンナ達も見られている以上…もうお前だけの問題ではないのだ。別の出口から出たとしても…また見つけられて余計に危険が及ぶだけだ。掟は掟だ。…アレン達の事を忘れたか」
「!それは…」
数十年前も違う扉が見つかり、同じ対処を行った事があった。
その時はその家族の子どもだけは結界内に入る事が出来たが、両親はそこで人間達と戦い、多勢の人間が2人を殺めて幕を閉じたという過去があった。
ーー「…残念だが結界が完全に張られればもうこうして話すことも出来ぬ。後はお前達でなんとかしろ」
「そんな!まっーー」
その瞬間、ぶつんという音がして蝙蝠は飛び立ってしまった。
村長の怒鳴り声にその場にいた全員が強張った。
なんでここに人間が…?
ここは俺たちだけが入れる場ではなかったのか?
ーー「原因ならわかってる。…ルイ。お前がしくじってクローリー達を呼んだことで、カーラが後をつけられ非常口が見つかったからだ!」
「!!」
非常口とは、本来であれば吸血鬼しか入れないゲートの他にこう言った非常事態のみ使用できる入り口であり、それは誰でも使用できる扉であった。
クロムと一緒にいる魔物のクローが人間界に来たのもその入り口がたまたま巣の下でそこに落ちた為。
そういった入り口があちこちに点在しており、各種族はそれを非常口として使っており、隠しておき、それは一族の者しか知られてはいけない掟であった。
「なんてしつこい奴等なんだ…」
ルイさんの呟きに俺は呆然としてしまった。
ということは…。
先程から聞こえているこの地鳴りのような音は……人間の声?
そしたら何十単位ではない。
100は超えているだろう。
そんな人数がここに向かってきてるというのか。
今は人間達の間で疫病が蔓延していると父が言っていた。
彼等の声が地鳴りのように聞こえたのは…怒りが含まれているからだろう。
それだけでもありえない状況なのに、次の村長の言葉は更に理解しがたいものであった。
ーー「…我々の村は…血を穢さないことを選び少数の人数で成り立っている村だ。ただでさえ消えかけているこの村を…存続させるのにはそれなりに代償を払わなければならない。…従って村全体に大きな結界を張ることとする。…クローリー。お前の家より中の村をな」
「「「!!!」」」
その場にいた全員が驚愕した。
…俺の家より内側に…?
じゃあ俺たちは……。
「待ってください!!こちらには命に関わる重傷者がいるんです!全員が万全な状況ではありません!それではおさめることが出来ません!」
ーー「残念だが…お前達には犠牲になってもらう。彼等の怒りが消えれば…それ以上何かはしてこないだろう」
「そんなっ…」
「…俺たちに死ねということですか。そもそも!あの編成で狩りに行かせたこと自体が間違えーー「黙れ!!」
「!」
村長の怒鳴り声であたりには静けさに包まれた。
ーー「…私とて今までよくやってきてくれた…それも純血の吸血鬼を失いたくなどない。しかしこれしか方法がないのだ。それはわかるだろう!…これは運命なのだ。お前達の犠牲のもと…我々は生き残ることが出来るのだ」
その言葉に父は歯を食いしばっていた。
何かに耐えているのは痛いほど伝わった。
「ならせめて…妻や子ども達は中に入れてください…!子ども達だけは…!」
父の悲願も虚しく帰ってきた言葉はあまりにも無情なものであった。
ーー「クローリー。気持ちはわかるが今から引き入れてる時間はない。間に合わなければまだ全てが台無しだ。それは出来ぬ。そもそもお前はルイを助けにいった時に覚悟していたはずだ。こうなるかもしれない未来を。それを分かっていながら行ったお前達が蒔いた種だ。自分で蒔いた種は自分でなんとかしたまえ」
そんなっ…!
俺はともかく幼いエリーまで見殺しにするというのか。
生まれて初めて俺は怒りを感じたとこの時うっすらと思っていたと思う。
「俺が残りますから…クローリーや娘達は…せめて別の出口から出て逃げることを許してください…結界内は無理でも…それなら可能でしょう…?」
「ルイ!」
父は叱る時のような声でルイさんの名を呼んだ。ルイさんはただでさえ戦闘は苦手であり、ましてや今は怪我まで負っている。残るということは彼が死ぬことは明白だった。
「生贄が必要というなら俺がなりますから…だから…せめて…!」
ルイさんの言葉に再び沈黙が流れた。
ーー「…アンナ達も見られている以上…もうお前だけの問題ではないのだ。別の出口から出たとしても…また見つけられて余計に危険が及ぶだけだ。掟は掟だ。…アレン達の事を忘れたか」
「!それは…」
数十年前も違う扉が見つかり、同じ対処を行った事があった。
その時はその家族の子どもだけは結界内に入る事が出来たが、両親はそこで人間達と戦い、多勢の人間が2人を殺めて幕を閉じたという過去があった。
ーー「…残念だが結界が完全に張られればもうこうして話すことも出来ぬ。後はお前達でなんとかしろ」
「そんな!まっーー」
その瞬間、ぶつんという音がして蝙蝠は飛び立ってしまった。

