Devil†Story

ーー数十年前


ヤナは人間で言えば12歳くらいであった。


その時はあの屋敷にジルだけではなく、父さんと母さん……妹のエリザベスが一緒に住んでいた。


またヤナは眼鏡をかけていなかった。


ルガト家はそれなりに名が高い一族であった。


現在のヤナが"王子様"と言われる由来はそこから来ている部分が大きかった。


父も母も名高き吸血鬼でも、気取らずにおおらかに2人を育てていた。


そんな両親の元、ヤナとエリザベスは幸せに暮らしていた。



この時は両親同士が幼馴染というのもあり。クローディアとも頻繁に遊んでいた。


クローディアの一家は純血の吸血鬼一族であったが、両親共にあまり狩りは得意ではなく…代わりに特殊能力である治癒能力が高かった。


そんな両親のもとで育ったクローディアはのんびりとしており、彼女も満足に狩りをすることも出来ずに周りからも「落ちこぼれ」
と言われていた。



しかし落ちこぼれでも……クローディアのことも妹のように思っていた。


父の教えである「吸血鬼としての生き方だけが全てではない」という言葉が彼の中に大きく響いていたことも影響しているが。


お互いの生き方は違えどそれなりに楽しい日々を過ごしていたある日。


あの事件が起こってしまった。


それは真夜中の家族団欒時に蝙蝠と一緒に運ばれて来た。