Devil†Story

「これ!」

とあるものを渡しながらママは頼みごとを言った。


「ーーはぁ?なんで俺がそんなこと…」


「意地悪言わないの!それともなーに?そんなにあたしのぎゅーをーー「分かった!分かったから離れろ!」


ママの言葉の途中でクロムがそう答えるとママは満足気に頷いた。


「分かればよろしい!じゃあ頼んだわよー!」


「あーはっはっは」と豪快に笑いながらママは部屋を後にした。やっと解放されたクロムは大きな溜め息をついた。


「な?ママからは逃げられねぇって」


「あのクソババァ……。いつ合鍵作りやがった…。明日にも部屋の鍵変えてチェーンキーもつける…」


「なんかげっそりしたな」


「俺はあいつが苦手なんだよ。クソッ…」


「で?さっきのすんの?」


「……部屋の鍵変えたら刹那にあのババァを殺していいか聞く」


ロスの問いに言葉では答えずにクロムは悪態をついた。悪態をついたということは承諾の意味であるが、それよりもロスは頼み事の方が気になった。


「俺が行ってこようか?」


「いや…それこそあのババァが言ってくるだろうからいい。チッ…めんどくせぇ。…さっさと済ませてくる」


そう言って部屋を出て行くクロムの後ろ姿を見送りながら「またママも面倒なこと頼んで来たもんだ」とため息をつきながら談話室へ向かった。


ーーその頃談話室では相変わらず刹那と麗弥が今後について話をしていた。机の上には煮込みうどんが置かれている。


「ママに夜食作ってもらったけど……食べないだろうけど持って行くか…」


そう言って麗弥がトレーを運ぼうとした瞬間だった。


ーーバン!


「!?」


勢いよく扉が開かれそこからクロムが出てきた。手には林檎のすりおろし入り特性りんごジュースが握られていた。


「おぉクロム。なんか久々やな」


「やぁクロム。傷は良くなったかい?」


2人の言葉に適当に返事をしながらつかつかと麗弥の方へ近づき「それがあの馬鹿に持ってくやつか?」と聞いた。


「へ?あ、あぁ。そうやで。多分食べへんやろうけどーー」


そう答えるのと同時にクロムは手に持っていた林檎ジュースをそのトレーに置いてそれを奪うように取った。


「え?どうしたん?」


「うるせぇ。話し掛けてくんな」


聞いただけで怒られた麗弥は「えー…」と言うがそれを無視してクロムは大変不機嫌そうに部屋から出て行った。


「え?とられたんやけど…」


「どういうことだろ?」


2人の頭の上に?マークがたくさん出た。


「あーそれはねー」



「ぎゃー!」
「うわ!」


突然の他者の声に2人は驚いて思わず叫んだ。


「ロ…ロス!」


声のする方を見ると刹那の机の横から覗くように居るロスが居た。


「いつのまに入ったの!?」


「さっきー。…ていうかそろそろ慣れて?部屋に突然現れる俺に」


「慣れないから!もー…心臓に悪い…」


「ほんまに気配感じられへんな…。それよりどーゆーことなん?」


「あー…あれはさっきママが来てね。「麗弥ちゃんも怪我してるし、いっしーくん(石川)も疲れてるしせっちゃん(刹那)も毎日厨房に来て大変なんだから!たまにはクロムちゃんがきーちゃん(稀琉)に持ってってやんな!特性りんごジュースも追加するから!いいね!」って言われてね。ほらクロム…あんな感じだしママが苦手だからさ上手く転がされて行ったわけ〜」


「あぁママか…」


「ママ…またお節介を…」


2人は呆れたように呟いた。


「いや2人よりも俺だからね?溜め息つきたいの。頼むからさ…ママに自室の合鍵渡すのは勘弁してよ刹那。明日俺等の部屋の鍵変えてくれよ」


「いや渡してないよ!ここで暮らしてるとはいえ皆プライベートだってあるんだからさ。合鍵についてはいつ作られてるか俺も分からないんだよ…。でも警備強化しておくし鍵も変えるよ」


「頼むよ…。このままだとクロムがママを殺しちゃうからさ」


「善処するよ」


「それより大丈夫なん?…色々な意味で」


心配そうに麗弥がそう呟く中、ロスは盛大なため息をつきながら「さぁ〜…クロムも機嫌悪いから…喧嘩になるかもねぇ」と答えた。


「本当ごめん…クロム、稀琉…」


ママのお節介にその場にいた全員がため息をついた。ほんと女性は強すぎる…とつくづく思った。