その後気絶している稀琉、大怪我している麗弥にクロムを見て、刹那は気を失いかけていたが安心したように出迎えてくれた。
麗弥、クロムはすぐに治療を受け、幸いにも麗弥の足には後遺症は残らないようだった。
稀琉も治療を受け自室に運ばれた。
クロムは本来ならそこまで大掛かりな治療はしなくとも良いのだが、全員が見ている前でそういうわけにはいかず…以前のようにロスに術をかけてもらって傷のフェイクを作った。その際もいつもなら不満げにしているのだがやはり何処か上の空だった。
あれから数日経ったが稀琉はずっと部屋にこもっていた。怪我自体は大したことはなかったが、心の方の傷が深刻であった。怪我をして動きづらい麗弥だったが、石川に手伝ってもらいながら食事が乗ったトレーを片手に稀琉の部屋の扉をノックした。
「稀琉ー入るで」
ガチャリと扉を開けるとベットに頭まで掛け布団を被ってうずくまっている稀琉が居た。
しかし麗弥が入ると上半身を起こしてこちらを見た。
「麗弥…」
「傷は大丈夫なん?」
「うん…平気。麗弥は?」
「俺もまだ万全じゃないけど平気やで」
そう言いながら隣の机にトレーを置いた。
「……また食べてへんのか」
朝に持って行ったトレーの上にはその時と同じように冷めた食事が置かれていた。
「…うん。食欲なくて…ごめんね。持ってきてくれてるのに…」
そう言って麗弥の方を見た稀琉の目の下には隈ができていた。食事どころか睡眠すら取れていないようだ。
「せやけど…もう3日も何も口にしてへんやんか」
意識を取り戻してから一度も食事を取っていなかった。かろうじて口にしてるのは水だけのようだ。
若干とはいえ頰もこけていて、痩せていた。
「そうだよね……もう少ししたらきちんと食べるから…心配しないで?」
無理に笑う稀琉の表情を見ていた堪れない気持ちになりそれ以上何も言えなかった。
「……まぁ 無理して食べてもあかんからな。無理せんといてな」
「うん。ありがとう」
朝に持って行ったトレーを手にして麗弥は部屋から出た。
「…稀琉さん。どうでした?…食事はまたとられてないようですが」
廊下で待機していた石川が麗弥の持っていたトレーを受け取り、肩を支えながら尋ねた。
「…あかんな。もう少ししたら食べる言うけど……食べる気はさらさらなさそうや。当たり前やけど……眠れてもいなさそうやし このままじゃあ体を壊してしまうのも時間の問題やな」
「…そうですか。オーナーも心配されますね」
そう答える石川の言葉を何処か遠くで聞きながら麗弥は暗闇のどん底にいる親友を想っていた。
…稀琉。辛いよな。死にたくなるくらい…自分を責めてるよな。せやけど…俺待ってるから。急かさないでゆっくりと…お前のペースでええから立ち直ってあの優しく元気な姿になってな。
表情に出さないようにそう心で語りかけつつ刹那がいる談話室へ向かった。扉を開けると心配そうに椅子に座る刹那と窓際に座るロスが居た。
「ロス。来てたんや」
「よっ。お邪魔してたぜー」
「稀琉どうだった?」
ロスとの挨拶もそこそこ刹那の問いに静かに首を横に振りながら答えた。
「…そう。まだご飯食べてないんだね…」
冷めた食事が置かれたトレーを見てため息をつきながら刹那はそう言った。食べやすい物の中でも稀琉が好んで食べるものばかりが毎回並べていた。雑炊、焼き鮭、おひたし…。
普段は和食を好んで食べる稀琉に少しでも食べて欲しいと毎回刹那自身が厨房に立ってシェフと相談しながら考えた献立。しかし今の稀琉にはその想いは届かない。
「時間が解決してくれるのを待つしかないと思うけど……」
「その前に倒れないといいけどな」
ロスのその一言で2人の表情が暗くなる。
ただでさえ弱っている稀琉の体力が…待つか心配だった。
麗弥、クロムはすぐに治療を受け、幸いにも麗弥の足には後遺症は残らないようだった。
稀琉も治療を受け自室に運ばれた。
クロムは本来ならそこまで大掛かりな治療はしなくとも良いのだが、全員が見ている前でそういうわけにはいかず…以前のようにロスに術をかけてもらって傷のフェイクを作った。その際もいつもなら不満げにしているのだがやはり何処か上の空だった。
あれから数日経ったが稀琉はずっと部屋にこもっていた。怪我自体は大したことはなかったが、心の方の傷が深刻であった。怪我をして動きづらい麗弥だったが、石川に手伝ってもらいながら食事が乗ったトレーを片手に稀琉の部屋の扉をノックした。
「稀琉ー入るで」
ガチャリと扉を開けるとベットに頭まで掛け布団を被ってうずくまっている稀琉が居た。
しかし麗弥が入ると上半身を起こしてこちらを見た。
「麗弥…」
「傷は大丈夫なん?」
「うん…平気。麗弥は?」
「俺もまだ万全じゃないけど平気やで」
そう言いながら隣の机にトレーを置いた。
「……また食べてへんのか」
朝に持って行ったトレーの上にはその時と同じように冷めた食事が置かれていた。
「…うん。食欲なくて…ごめんね。持ってきてくれてるのに…」
そう言って麗弥の方を見た稀琉の目の下には隈ができていた。食事どころか睡眠すら取れていないようだ。
「せやけど…もう3日も何も口にしてへんやんか」
意識を取り戻してから一度も食事を取っていなかった。かろうじて口にしてるのは水だけのようだ。
若干とはいえ頰もこけていて、痩せていた。
「そうだよね……もう少ししたらきちんと食べるから…心配しないで?」
無理に笑う稀琉の表情を見ていた堪れない気持ちになりそれ以上何も言えなかった。
「……まぁ 無理して食べてもあかんからな。無理せんといてな」
「うん。ありがとう」
朝に持って行ったトレーを手にして麗弥は部屋から出た。
「…稀琉さん。どうでした?…食事はまたとられてないようですが」
廊下で待機していた石川が麗弥の持っていたトレーを受け取り、肩を支えながら尋ねた。
「…あかんな。もう少ししたら食べる言うけど……食べる気はさらさらなさそうや。当たり前やけど……眠れてもいなさそうやし このままじゃあ体を壊してしまうのも時間の問題やな」
「…そうですか。オーナーも心配されますね」
そう答える石川の言葉を何処か遠くで聞きながら麗弥は暗闇のどん底にいる親友を想っていた。
…稀琉。辛いよな。死にたくなるくらい…自分を責めてるよな。せやけど…俺待ってるから。急かさないでゆっくりと…お前のペースでええから立ち直ってあの優しく元気な姿になってな。
表情に出さないようにそう心で語りかけつつ刹那がいる談話室へ向かった。扉を開けると心配そうに椅子に座る刹那と窓際に座るロスが居た。
「ロス。来てたんや」
「よっ。お邪魔してたぜー」
「稀琉どうだった?」
ロスとの挨拶もそこそこ刹那の問いに静かに首を横に振りながら答えた。
「…そう。まだご飯食べてないんだね…」
冷めた食事が置かれたトレーを見てため息をつきながら刹那はそう言った。食べやすい物の中でも稀琉が好んで食べるものばかりが毎回並べていた。雑炊、焼き鮭、おひたし…。
普段は和食を好んで食べる稀琉に少しでも食べて欲しいと毎回刹那自身が厨房に立ってシェフと相談しながら考えた献立。しかし今の稀琉にはその想いは届かない。
「時間が解決してくれるのを待つしかないと思うけど……」
「その前に倒れないといいけどな」
ロスのその一言で2人の表情が暗くなる。
ただでさえ弱っている稀琉の体力が…待つか心配だった。

