そんなこととはつゆ知らずロスが振り返ってクロムに声をかけた。
「おーい。クロムー行くぞーー」
振り向いて始めて異変に気付く。苦しそうに胸を押さえて下を見ている。
「…ごめん麗弥。ちょっと待ってて」
「え?あぁ 全然かまへんよ」
麗弥を下ろしてクロムの方へ歩き出す。
「クロムどうした?クロム!」
「!」
少し大きな声で呼びかけると漸くこちらを向いた。……顔色が悪いな。血の気が引いてる感じか。…恐らく怪我のせいだけではないだろうが。
「ロス…」
いつもより弱々しい声を出し、深く息をしているクロムを見てそう確信した。
「どうした?」
「……いやなんでもない。ちょっと…傷が痛んだだけだ…今行く」
手に持っていた何かを何気なく捨てながらロスの横を通り過ぎていったクロムを横目に落として行ったものを見る。
「!!」
そこでクロムの異変の原因を見た。なんだこれ。…気味悪いな。辺りとその写真にあった気配に何かを感じながらも、ふらふらと歩いているクロムが気になったので考えるのを一旦やめた。
写真をコートのポケットの中にしまいながらもう一度麗弥を背負い稀琉とともに地上に出た。
そして兄が好きだったという…薔薇園に行った。咲き乱れる薔薇の真ん中に稀琉は兄を埋めた。兄の死に顔はとても穏やかであった。
兄の体の全てに土をかけてその上にガラスケースに入っていた薔薇を墓標のように置いた。
「………」
黙って目を瞑って祈る稀琉。そして全てが終わった瞬間だった。
ーーふらり
「おっと!」
崩れ落ちた稀琉を慌てて支えたロス。
「稀琉!!」
焦る麗弥にロスは「大丈夫」と答えた。
見ると稀琉は気を失っていた。当たり前だろう。怪我、心労…そして青鬼と入れ替わった時の疲労がここに来て限界を迎えたのだろう。
「まぁ意識失って当たり前だな」
右手で意識を失った稀琉を持ち上げて肩で抱えるロスを見て麗弥は頷く。
「そうだよな……。というかロス大変だよな?2人も抱えて帰るんのは。俺はなんとか歩くから稀琉を頼むわ」
そう言って借りていた肩から手を離そうとする麗弥に「……動かない足で何言ってるんだか」と思いながらそれを行動に表すように麗弥の腰あたりに腕を回し同じように肩に担ぎ上げる。
「わ!え?えぇよ!流石に野郎2人は重たいやん」
「なーに言ってんだよ。足に後遺症残っちまうぞ。こんくらいへーきへーき。…それに稀琉の意識もないんだから無理しなくていいだろ」
「!」
驚いたようにこちらを見る麗弥にニコッと笑う。観念したように首を左右に振りながら頷いた。
「流石ロス。お見通しって訳やな。…ごめんな……正直助かる……痛っ…」
足の痛みに顔をしかめる麗弥。麗弥も戦闘に参加してないとは言えかなり体力を消耗している。ましてや稀琉の前ではその部分を見せないようにしていたのだから。気を抜けば意識を失うほどに限界を迎えていた。
気を失った稀琉と動けない麗弥を肩に抱えながらロスは「行くか」とだけ言った。
クロムはやはり何処か上の空であったが頷いた。
そして誰も言葉を発しない中、青鬼院家を後にした。
こうして稀琉の12年間の戦いは無情にも兄の死をもって静かに幕を閉じた。朝日が光り輝く中、稀琉の目にあった涙の雫が光っていた。
「おーい。クロムー行くぞーー」
振り向いて始めて異変に気付く。苦しそうに胸を押さえて下を見ている。
「…ごめん麗弥。ちょっと待ってて」
「え?あぁ 全然かまへんよ」
麗弥を下ろしてクロムの方へ歩き出す。
「クロムどうした?クロム!」
「!」
少し大きな声で呼びかけると漸くこちらを向いた。……顔色が悪いな。血の気が引いてる感じか。…恐らく怪我のせいだけではないだろうが。
「ロス…」
いつもより弱々しい声を出し、深く息をしているクロムを見てそう確信した。
「どうした?」
「……いやなんでもない。ちょっと…傷が痛んだだけだ…今行く」
手に持っていた何かを何気なく捨てながらロスの横を通り過ぎていったクロムを横目に落として行ったものを見る。
「!!」
そこでクロムの異変の原因を見た。なんだこれ。…気味悪いな。辺りとその写真にあった気配に何かを感じながらも、ふらふらと歩いているクロムが気になったので考えるのを一旦やめた。
写真をコートのポケットの中にしまいながらもう一度麗弥を背負い稀琉とともに地上に出た。
そして兄が好きだったという…薔薇園に行った。咲き乱れる薔薇の真ん中に稀琉は兄を埋めた。兄の死に顔はとても穏やかであった。
兄の体の全てに土をかけてその上にガラスケースに入っていた薔薇を墓標のように置いた。
「………」
黙って目を瞑って祈る稀琉。そして全てが終わった瞬間だった。
ーーふらり
「おっと!」
崩れ落ちた稀琉を慌てて支えたロス。
「稀琉!!」
焦る麗弥にロスは「大丈夫」と答えた。
見ると稀琉は気を失っていた。当たり前だろう。怪我、心労…そして青鬼と入れ替わった時の疲労がここに来て限界を迎えたのだろう。
「まぁ意識失って当たり前だな」
右手で意識を失った稀琉を持ち上げて肩で抱えるロスを見て麗弥は頷く。
「そうだよな……。というかロス大変だよな?2人も抱えて帰るんのは。俺はなんとか歩くから稀琉を頼むわ」
そう言って借りていた肩から手を離そうとする麗弥に「……動かない足で何言ってるんだか」と思いながらそれを行動に表すように麗弥の腰あたりに腕を回し同じように肩に担ぎ上げる。
「わ!え?えぇよ!流石に野郎2人は重たいやん」
「なーに言ってんだよ。足に後遺症残っちまうぞ。こんくらいへーきへーき。…それに稀琉の意識もないんだから無理しなくていいだろ」
「!」
驚いたようにこちらを見る麗弥にニコッと笑う。観念したように首を左右に振りながら頷いた。
「流石ロス。お見通しって訳やな。…ごめんな……正直助かる……痛っ…」
足の痛みに顔をしかめる麗弥。麗弥も戦闘に参加してないとは言えかなり体力を消耗している。ましてや稀琉の前ではその部分を見せないようにしていたのだから。気を抜けば意識を失うほどに限界を迎えていた。
気を失った稀琉と動けない麗弥を肩に抱えながらロスは「行くか」とだけ言った。
クロムはやはり何処か上の空であったが頷いた。
そして誰も言葉を発しない中、青鬼院家を後にした。
こうして稀琉の12年間の戦いは無情にも兄の死をもって静かに幕を閉じた。朝日が光り輝く中、稀琉の目にあった涙の雫が光っていた。

