ーーそれから数時間後
クロムはベッドに横になっていた。
「チッ…」
起きたらロスは居なかった。大方刹那んとこに愚痴ってるんだろうけど。
あー…くそっ。イライラする。クロムがギリッと歯ぎしりした時だった。
ーーコンコンッ
「………」
ノックの仕方的に誰だかすぐ分かったクロムはそのまま何も言わずに動かなかった。
「入るね。お邪魔します」
ガチャと扉が開いて、入って来たのは案の定稀琉だった。
「起きてる?」
「……なんだよ。やめる決心でもついたか」
明らかに不機嫌そうなクロムに稀琉は一瞬たじろいだが深呼吸した。
「…違うよ。あのねクロム。オレはオレの中の鬼と話してみたよ。青鬼って言うんだけど…オレは君に言われてたように弱虫だったから彼のことに気付かなかった。だから決めたよ。今度こそ前に進むって。嘘っぱちの覚悟じゃない。本当にそうなれるように…すぐ出来なくても諦めないって」
「……」
「だから…この間は本当にごめんなさい」
深々と頭を下げる稀琉を横目で見たクロムはすぐに目線を外に向けた。
「…別に。この間のことはどうでもいい。決めたんなら結構。言ったからには迷惑かけんなよ」
「うん。ありがとうクロム。じゃあお邪魔しました」
そう言って稀琉は部屋から出て行った。ロスから、1人になりたいのかもしれないとは言われていたが、なんとなく長居はすべきではないと感じたからだ。
再び部屋は静寂に包まれる。
「……」
ベッドから起き上がる。カーテンの隙間からは太陽の光が差し込んでいた。
窓を開けると肌寒い風が部屋に入ってきた。
ーーヒラリ
「…!!」
強風で飛ばされた紙が部屋に入ってきてベッドの上に落ちてきた。それを見たクロムの脳裏に先日の写真が浮かんできた。その瞬間体に嫌悪感が走った。
「ッ…!!!」
素早く立ち上がりベッドの横に付けておいている剣を乱暴に外して鞘を投げ捨てる。
高く振り上げてその紙を叩き切った。布団が裂けて羽毛がヒラリと舞う。
その紙はただ風に飛ばされてきたチラシであったが、今のクロムにとってあの出来事を思い出すものすべてを排除したいと感じていた。だから…何度も何度も何度も何度もチラシの原型がなくなっても構わず叩きつけた。
クソ…!!
消えろ…!!
消えろ消えろ消えろ消えろ…!!!
部屋中に舞う羽毛すらもヒラヒラと落ちてくるものに対しての嫌悪感が拭えず今度は部屋にあったランプにも剣を振るった。その後は部屋にあるものを手当たり次第壊していった。
机、家具、クローゼット、刹那が部屋が寂しいと置いていったインテリア……
怪我で剣が上手く持てなくなると、投げつけた。
「ッ……」
花瓶を割った時の破片が、指先を切った時、その痛みで我に返りようやくその行為をやめた。息が乱れる音が腹立たしく、それすら消えて欲しいと思っていた。
クソッ…!!
なんで俺はあんな写真にここまでイライラしてるんだ…!
これじゃまるで……俺が……。
ーーふざけんな。
あんなもんなんかに…なんでこの俺がここまでならなきゃいけない。
「クソ…!」
頭に血が上りすぎて頭痛がしてきた。胃からせり上がりかけている気持ち悪さ、嫌悪感を払うように、近くにあった鏡を握りしめた拳で力の限り殴りつけた。
ーーボキッ
人差し指と中指から折れたような音がしたがどうでもよかった。
「早く……早くあいつを見つけて……この手で………」
鏡に血が伝っていった。その位置が丁度クロムの目の位置だった為、まるで紅い涙を流しているようだった。
クロムはベッドに横になっていた。
「チッ…」
起きたらロスは居なかった。大方刹那んとこに愚痴ってるんだろうけど。
あー…くそっ。イライラする。クロムがギリッと歯ぎしりした時だった。
ーーコンコンッ
「………」
ノックの仕方的に誰だかすぐ分かったクロムはそのまま何も言わずに動かなかった。
「入るね。お邪魔します」
ガチャと扉が開いて、入って来たのは案の定稀琉だった。
「起きてる?」
「……なんだよ。やめる決心でもついたか」
明らかに不機嫌そうなクロムに稀琉は一瞬たじろいだが深呼吸した。
「…違うよ。あのねクロム。オレはオレの中の鬼と話してみたよ。青鬼って言うんだけど…オレは君に言われてたように弱虫だったから彼のことに気付かなかった。だから決めたよ。今度こそ前に進むって。嘘っぱちの覚悟じゃない。本当にそうなれるように…すぐ出来なくても諦めないって」
「……」
「だから…この間は本当にごめんなさい」
深々と頭を下げる稀琉を横目で見たクロムはすぐに目線を外に向けた。
「…別に。この間のことはどうでもいい。決めたんなら結構。言ったからには迷惑かけんなよ」
「うん。ありがとうクロム。じゃあお邪魔しました」
そう言って稀琉は部屋から出て行った。ロスから、1人になりたいのかもしれないとは言われていたが、なんとなく長居はすべきではないと感じたからだ。
再び部屋は静寂に包まれる。
「……」
ベッドから起き上がる。カーテンの隙間からは太陽の光が差し込んでいた。
窓を開けると肌寒い風が部屋に入ってきた。
ーーヒラリ
「…!!」
強風で飛ばされた紙が部屋に入ってきてベッドの上に落ちてきた。それを見たクロムの脳裏に先日の写真が浮かんできた。その瞬間体に嫌悪感が走った。
「ッ…!!!」
素早く立ち上がりベッドの横に付けておいている剣を乱暴に外して鞘を投げ捨てる。
高く振り上げてその紙を叩き切った。布団が裂けて羽毛がヒラリと舞う。
その紙はただ風に飛ばされてきたチラシであったが、今のクロムにとってあの出来事を思い出すものすべてを排除したいと感じていた。だから…何度も何度も何度も何度もチラシの原型がなくなっても構わず叩きつけた。
クソ…!!
消えろ…!!
消えろ消えろ消えろ消えろ…!!!
部屋中に舞う羽毛すらもヒラヒラと落ちてくるものに対しての嫌悪感が拭えず今度は部屋にあったランプにも剣を振るった。その後は部屋にあるものを手当たり次第壊していった。
机、家具、クローゼット、刹那が部屋が寂しいと置いていったインテリア……
怪我で剣が上手く持てなくなると、投げつけた。
「ッ……」
花瓶を割った時の破片が、指先を切った時、その痛みで我に返りようやくその行為をやめた。息が乱れる音が腹立たしく、それすら消えて欲しいと思っていた。
クソッ…!!
なんで俺はあんな写真にここまでイライラしてるんだ…!
これじゃまるで……俺が……。
ーーふざけんな。
あんなもんなんかに…なんでこの俺がここまでならなきゃいけない。
「クソ…!」
頭に血が上りすぎて頭痛がしてきた。胃からせり上がりかけている気持ち悪さ、嫌悪感を払うように、近くにあった鏡を握りしめた拳で力の限り殴りつけた。
ーーボキッ
人差し指と中指から折れたような音がしたがどうでもよかった。
「早く……早くあいつを見つけて……この手で………」
鏡に血が伝っていった。その位置が丁度クロムの目の位置だった為、まるで紅い涙を流しているようだった。