…くそ。流石に……出血が多過ぎる…。
戦いを眺めながらクロムは無意識に肩を押さえていた。指の間から血が流れ出る感覚が変わらずに続き、血が染み込んだコートが重みを増して不快感を感じていた。
特に…稀琉の馬鹿から受けた傷の出血が多い。
特別な武器である稀琉のワイヤーは元々切れ味はお墨付きだ。本気を出せば体のパーツを飛ばすなんてことは造作でもない。その分綺麗に切れすぎる為出血はすぐ止まりやすいはずなのだが今受けた傷の出血は止まるどころか勢いが増しているように流れ出ていた。
…今のあいつは鬼みてぇなもんだからな。元々鬼の武器だ。地獄で罪人に罰を与える為に使ってるんだろうからな。「綺麗」に傷つけるわけねぇわな。
鋭く脈打つように痛む傷をチラリと見ながら再び戦いに目を移す。兄貴の方はどう見ても不利だな。このままいけば……まず死ぬだろうな。麗弥が見ている前でこれ以上面倒な傷を増やしたくないが…仕方ないか。
体の動き具合を確認した際にふと踏み留まる。
…つーかなんで俺がここまでしてやんなきゃなんねぇんだ?あいつ覚悟を決めてここにきたんじゃねぇのかよ。
別れ際に見た稀琉の顔には覚悟があったのは自らの目で見たので知っている。鬼が出てきたのも想定内だ。それはムカつくが百歩譲って理解するにしても…このまま俺やロスが止めたとして……あいつは納得するもんか?中途半端に手を出してどうするんだよ。
きっと稀琉はここで止めたとしても…心に靄が立ち込めるだけで自分自身で解決したことにならないと思うだろう。そうすれば何も変わらず稀琉は逃げたと感じてしまう。それは稀琉自身の為にならないのではないかと考えが浮かんだのだ。
「ッ…!」
琉稀の体には多数の傷が新たに刻まれていた。誰がどう見ても琉稀の限界は明らかであった。
「俺行くか?」
すぐに動かないクロムにロスはそう尋ねる。
「……」
ポタリと右腕、腹部から血が滴り落ちている。クロムがすぐには動けないのも明白であった。
「…お前やっぱすぐには動けねぇんだろ?意地張ってないで俺に任せろよ」
「…いや。少し様子を見よう」
「どゆこと?」
「正直に言えばお前の言ったことも間違えじゃない。腕も足も…あの馬鹿力のせいで疲労でまだ震えてるし血は出過ぎたし。だが……」
クロムがそこまで言った時であった。
「くっ…!!」
「!」
後ろに飛ばされ麗弥の近くに来た琉稀の左肩をワイヤーが貫いた。左肩を抑えながら琉稀は膝をついた。
「…猶予はねぇぞ。このままだとマジで」
「……チッ」
ロスの言葉にクロムは舌打ちしながら動きづらい体を無理やり動かした。しかし、目には追えないスピードでワイヤーが琉稀の元に飛んでくる。
「っ…!」
琉稀が薔薇を操り、攻撃を防ごうとした瞬間だった。
ーーサァァ
「!」
砂が落ちるような音に後ろを振り返ると、薔薇が枯れて崩れていた。
「…そうか。無理させすぎたか…」
手のひらにあった薔薇が砂に変わったのを見て琉稀は微かに笑った。
「お前…!!前!」
麗弥が忠告する中ワイヤーは目の前まできていた。
ーーブシュッ
その体を……
「ッ!!」
「アハ…!」
ワイヤーが切り裂いた。
「アハハハッ…!!」
それを見た青鬼は嬉しそうに笑った。
「おぉーと。これはマズイぞ」
「分かってる」
「ッ…!」
胸を踏みつけられた琉稀が僅かに呻いた。体から血液が流れ出る感覚が嫌という程わかった。
ここまで…か。
ふと横を見ると麗弥が複雑そうな表情を浮かべていた。
「フフッ…残念だったね、眼帯くん」
「!?」
「キルに…謝らせられなくて。悔しいけど…これはこれで悪くないかな」
「…!!」
諦めたように薄く笑った琉稀は目を瞑りながらそう麗弥に言った。
「……ふざけんな」
「?」
麗弥の声に再び目を開ける琉稀。
「えっ?」
「!」
「!?」
琉稀だけではなくクロムとロスも驚いた。何故なら動かない足を無理矢理動かして麗弥がキルと琉稀の間に立ちはだかっていたからだ。
「麗弥!?」
「あの馬鹿…!!」
歯ぎしりしながらクロムは落としていた剣を拾った。
「なんで…」
琉稀が問うと麗弥は乱暴に答えた。
「ふざけんな!何勝手に死のうとしてんだよ!悪役らしく散って終わりにしようってか?そんなの俺が許さない!これ以上…稀琉を苦しめさせてたまるか!!」
「…!」
そう怒鳴りつけた麗弥はキルを見る。その顔には相変わらず狂気に満ちた笑顔があった。
「稀琉。あかん。もうええんや!」
麗弥が必死に叫ぶ。
「俺は…これ以上そんな風になってる稀琉を見とうない。それでも殺るって言うんなら……俺は邪魔させて貰うで!」
ーピクッ
「邪魔」という言葉にキルは反応する。そのまま腕を上げてワイヤーを振り下ろそうとした。
「何してるんだ眼帯くん!このままだと君も…!これは俺たち家族の問題だ!関わるな!」
その言葉聞いた麗弥は僅かに目を見開いた。そしてフッと笑いながらこう答えた。
「…やっぱ腐ってても兄弟だな。その言葉…キルも言ってたぜ。だからこそ…俺は稀琉にこんなことさせない。絶対に」
麗弥はハッキリそう答え、再びキルを見た。
キルは表情を変えずに…そのまま腕を振り下ろした。
「麗弥ごと一緒にやる気か」
ロスがそう呟いた時にはクロムは近くにいなかった。
(稀琉…!!)
衝撃に備えていた麗弥が目を瞑った瞬間だった。
ーーガキィン!!
「!?」
激しい金属音と共に体を押された麗弥が目を開ける。
「ーークロム!!」
「ッ…」
目を開けると先程まで自分が居た場所にクロムが居た。片方のワイヤーを剣、もう片方のワイヤーを自分の腕で受け止めているクロムが。
受け止めていた右手はよく見ると腕に巻き付いた怪我だけではなく右肩をも貫かれていた。
「このクソ眼帯…!考えもなしに一丁前に庇ってんじゃねぇよ!」
尚も琉稀を狙っている殺器の先端を右手で抑えていたクロムは怒鳴りつけた。
「クロム 怪我…!」
「てめぇのせいで余計な怪我しただろうが!だが…もっとムカつくのはてめぇだよ。稀琉!」
笑っているキルを睨みつけながらクロムは怒鳴った。
「クソ泣き弱虫野郎が!目の覚める一撃食らわせてやるよ!」
そういうか否か。
クロムは巻きつかれている殺器も気にせず勢いよくキルに体当たりした。
「…!」
バランスを崩したキルは後ろに下がりながら体勢を整えようとするが、剣と腕に巻きついた殺器はすぐには戻せなかった。そのまま剣を投げ捨てたクロムは右手はそのままで左手でキルに殴りかかる。それを受け止めるキルだが今度は足払いをされ、受け止めたクロムの左手を離す。すかさずクロムは両手でキルの頭を掴んだ。
「!?」
そして…。
「いい加減…元に戻りやがれ!!」
ーーゴンッ!!
「へっ?」
「なっ…」
麗弥は少し間抜けな声を琉稀は驚いた声を出した。
「…やれやれ。クロムらしいというかなんというか…」
ロスは呆れたように首を振った。全員がその反応をするのも当然だった。何故ならキルの頭にクロムが頭突きをしたからだ。この緊迫とした状況でなんとも間の抜けた攻撃である。
「ッ…!!」
しかし予想に反して効果はあったのかキルが頭を抑えながら後ろへよろける。
「クソが!!」
ペッと口から血を吐き出したクロムが悪態をついた。
「あいつ…意外と石頭なんだよな」
ロスは呆れたように笑いながら呟いた。
戦いを眺めながらクロムは無意識に肩を押さえていた。指の間から血が流れ出る感覚が変わらずに続き、血が染み込んだコートが重みを増して不快感を感じていた。
特に…稀琉の馬鹿から受けた傷の出血が多い。
特別な武器である稀琉のワイヤーは元々切れ味はお墨付きだ。本気を出せば体のパーツを飛ばすなんてことは造作でもない。その分綺麗に切れすぎる為出血はすぐ止まりやすいはずなのだが今受けた傷の出血は止まるどころか勢いが増しているように流れ出ていた。
…今のあいつは鬼みてぇなもんだからな。元々鬼の武器だ。地獄で罪人に罰を与える為に使ってるんだろうからな。「綺麗」に傷つけるわけねぇわな。
鋭く脈打つように痛む傷をチラリと見ながら再び戦いに目を移す。兄貴の方はどう見ても不利だな。このままいけば……まず死ぬだろうな。麗弥が見ている前でこれ以上面倒な傷を増やしたくないが…仕方ないか。
体の動き具合を確認した際にふと踏み留まる。
…つーかなんで俺がここまでしてやんなきゃなんねぇんだ?あいつ覚悟を決めてここにきたんじゃねぇのかよ。
別れ際に見た稀琉の顔には覚悟があったのは自らの目で見たので知っている。鬼が出てきたのも想定内だ。それはムカつくが百歩譲って理解するにしても…このまま俺やロスが止めたとして……あいつは納得するもんか?中途半端に手を出してどうするんだよ。
きっと稀琉はここで止めたとしても…心に靄が立ち込めるだけで自分自身で解決したことにならないと思うだろう。そうすれば何も変わらず稀琉は逃げたと感じてしまう。それは稀琉自身の為にならないのではないかと考えが浮かんだのだ。
「ッ…!」
琉稀の体には多数の傷が新たに刻まれていた。誰がどう見ても琉稀の限界は明らかであった。
「俺行くか?」
すぐに動かないクロムにロスはそう尋ねる。
「……」
ポタリと右腕、腹部から血が滴り落ちている。クロムがすぐには動けないのも明白であった。
「…お前やっぱすぐには動けねぇんだろ?意地張ってないで俺に任せろよ」
「…いや。少し様子を見よう」
「どゆこと?」
「正直に言えばお前の言ったことも間違えじゃない。腕も足も…あの馬鹿力のせいで疲労でまだ震えてるし血は出過ぎたし。だが……」
クロムがそこまで言った時であった。
「くっ…!!」
「!」
後ろに飛ばされ麗弥の近くに来た琉稀の左肩をワイヤーが貫いた。左肩を抑えながら琉稀は膝をついた。
「…猶予はねぇぞ。このままだとマジで」
「……チッ」
ロスの言葉にクロムは舌打ちしながら動きづらい体を無理やり動かした。しかし、目には追えないスピードでワイヤーが琉稀の元に飛んでくる。
「っ…!」
琉稀が薔薇を操り、攻撃を防ごうとした瞬間だった。
ーーサァァ
「!」
砂が落ちるような音に後ろを振り返ると、薔薇が枯れて崩れていた。
「…そうか。無理させすぎたか…」
手のひらにあった薔薇が砂に変わったのを見て琉稀は微かに笑った。
「お前…!!前!」
麗弥が忠告する中ワイヤーは目の前まできていた。
ーーブシュッ
その体を……
「ッ!!」
「アハ…!」
ワイヤーが切り裂いた。
「アハハハッ…!!」
それを見た青鬼は嬉しそうに笑った。
「おぉーと。これはマズイぞ」
「分かってる」
「ッ…!」
胸を踏みつけられた琉稀が僅かに呻いた。体から血液が流れ出る感覚が嫌という程わかった。
ここまで…か。
ふと横を見ると麗弥が複雑そうな表情を浮かべていた。
「フフッ…残念だったね、眼帯くん」
「!?」
「キルに…謝らせられなくて。悔しいけど…これはこれで悪くないかな」
「…!!」
諦めたように薄く笑った琉稀は目を瞑りながらそう麗弥に言った。
「……ふざけんな」
「?」
麗弥の声に再び目を開ける琉稀。
「えっ?」
「!」
「!?」
琉稀だけではなくクロムとロスも驚いた。何故なら動かない足を無理矢理動かして麗弥がキルと琉稀の間に立ちはだかっていたからだ。
「麗弥!?」
「あの馬鹿…!!」
歯ぎしりしながらクロムは落としていた剣を拾った。
「なんで…」
琉稀が問うと麗弥は乱暴に答えた。
「ふざけんな!何勝手に死のうとしてんだよ!悪役らしく散って終わりにしようってか?そんなの俺が許さない!これ以上…稀琉を苦しめさせてたまるか!!」
「…!」
そう怒鳴りつけた麗弥はキルを見る。その顔には相変わらず狂気に満ちた笑顔があった。
「稀琉。あかん。もうええんや!」
麗弥が必死に叫ぶ。
「俺は…これ以上そんな風になってる稀琉を見とうない。それでも殺るって言うんなら……俺は邪魔させて貰うで!」
ーピクッ
「邪魔」という言葉にキルは反応する。そのまま腕を上げてワイヤーを振り下ろそうとした。
「何してるんだ眼帯くん!このままだと君も…!これは俺たち家族の問題だ!関わるな!」
その言葉聞いた麗弥は僅かに目を見開いた。そしてフッと笑いながらこう答えた。
「…やっぱ腐ってても兄弟だな。その言葉…キルも言ってたぜ。だからこそ…俺は稀琉にこんなことさせない。絶対に」
麗弥はハッキリそう答え、再びキルを見た。
キルは表情を変えずに…そのまま腕を振り下ろした。
「麗弥ごと一緒にやる気か」
ロスがそう呟いた時にはクロムは近くにいなかった。
(稀琉…!!)
衝撃に備えていた麗弥が目を瞑った瞬間だった。
ーーガキィン!!
「!?」
激しい金属音と共に体を押された麗弥が目を開ける。
「ーークロム!!」
「ッ…」
目を開けると先程まで自分が居た場所にクロムが居た。片方のワイヤーを剣、もう片方のワイヤーを自分の腕で受け止めているクロムが。
受け止めていた右手はよく見ると腕に巻き付いた怪我だけではなく右肩をも貫かれていた。
「このクソ眼帯…!考えもなしに一丁前に庇ってんじゃねぇよ!」
尚も琉稀を狙っている殺器の先端を右手で抑えていたクロムは怒鳴りつけた。
「クロム 怪我…!」
「てめぇのせいで余計な怪我しただろうが!だが…もっとムカつくのはてめぇだよ。稀琉!」
笑っているキルを睨みつけながらクロムは怒鳴った。
「クソ泣き弱虫野郎が!目の覚める一撃食らわせてやるよ!」
そういうか否か。
クロムは巻きつかれている殺器も気にせず勢いよくキルに体当たりした。
「…!」
バランスを崩したキルは後ろに下がりながら体勢を整えようとするが、剣と腕に巻きついた殺器はすぐには戻せなかった。そのまま剣を投げ捨てたクロムは右手はそのままで左手でキルに殴りかかる。それを受け止めるキルだが今度は足払いをされ、受け止めたクロムの左手を離す。すかさずクロムは両手でキルの頭を掴んだ。
「!?」
そして…。
「いい加減…元に戻りやがれ!!」
ーーゴンッ!!
「へっ?」
「なっ…」
麗弥は少し間抜けな声を琉稀は驚いた声を出した。
「…やれやれ。クロムらしいというかなんというか…」
ロスは呆れたように首を振った。全員がその反応をするのも当然だった。何故ならキルの頭にクロムが頭突きをしたからだ。この緊迫とした状況でなんとも間の抜けた攻撃である。
「ッ…!!」
しかし予想に反して効果はあったのかキルが頭を抑えながら後ろへよろける。
「クソが!!」
ペッと口から血を吐き出したクロムが悪態をついた。
「あいつ…意外と石頭なんだよな」
ロスは呆れたように笑いながら呟いた。

