気を追いながら血戦が行われてるであろう場所まで走り続けた2人の前にあの植物園が現れた。外に出たことを確認した後、念のため戻って休むようにと渋るクローを説得してカフェに戻らせた。
段々とその気は強くなっている。その中でクローに無理をさせるのは得策ではないと考えたからだ。…それ以外にも理由があったが。走ってる最中に自分の体の状態に嫌でも気付かされた。この状態ではクローに気を回すのは出来ないと判断したのだった。
「この下っぽいな」
そんなクロムの様子も知らずに先導を切っていたロスがその建物を見上げる。不気味な程静まり返った白い建物は儚くとも美しさを放っていた。
「さーて。入りますか」
ロスが先に進もうとした時、背後から僅かながらうめき声が聞こえた。振り返ると腹部を押さえたクロムが顔をしかめていた。
「…痛む?」
「…別に。どうもしねぇよ」
明らかに痛みを感じているであろうに、クロムはぺっと何かを吐きながら先に進んだ。
(…血を吐きながら別にどうもしねぇよ、ねぇ……)
吐き出されたのは血であった。
(まぁ、表面的には塞がってるだろうけど…内臓はまだ再生し切ってないからねぇ…。調子悪くて当たり前だわな)
ロスと契約しているクロムだが、機能が高いパーツ程、再生には時間がかかる。クロムが損傷した臓器は胃の中心部、肝臓の下部分、両方の腎臓の内部分。本来ならこの3つの臓器を修復するのに、1時間の休息が必要となる。
しかし、ここまで表面の傷に必要な15分程度の休憩しかしておらず、その後すぐに戦闘、全速力で走っていれば不調を訴えてもおかしくはない。
ましてや傷がついただけではなく、トゲのついた鉄の棒で抉られていれば尚更のこと。
動けば動くほど臓器の修復は遅くなるのだが、それを無視するようにクロムは先に進んでいく。
(…ほんとは少し休んで行って欲しいけど…言うこと聞かねぇもんなー……。仕方ない。ちょっと分泌物質をいじってやるか)
ロスが血印がある手の甲を軽く叩いた。痛みを和らげるエンドルフィンの分泌を増やしたのだ。
(これで少しはいいでしょ)
そんなロスの気遣いも知らず、クロムは植物園の中に入って行った。
黒い薔薇が一面に咲き誇っている花園を抜けたその先の入り口に手をかけた瞬間、冷たく鋭い空気が2人の間を通り過ぎた。
「これは……最悪の方向に進みつつあるな」
ロスが扉を開きながら僅かに険しい表情になる。
まるで氷点下にいるような冷たい空気が2人の間を通り過ぎていく。その風は強風と言っても良いくらいの。
ー来るなー
そう言われているようなくらいの風であった。
「…上等じゃねぇか」
暗くじめじめした階段は、さながら地獄への門に見えた。その暗闇に2人は入って行った。そして錆臭さの残るあの部屋へたどり着いた。
「ここは……」
「……まぁ、まともなことはしてないな」
辺りにある器具を眺めながら呑気にクロムは答えた。
「…僅かに稀琉と、お兄さん…その2人と似たような血の匂いがするな。多分ここで……」
ロスの言わんとすることは瞬時に理解できた…が。今はそんなことを詮索してる場合ではないし興味もなかった。
「そんなことどうでもいい。…この先に馬鹿どもがいるのは分かってんだからよ」
少し開けた隠し扉を指差しながらクロムは言った。
「そうだな。どれ行きますかー。何が起こってるのか見物しに」
2人は再び歩き出し、その先へ足を踏み込んだ。その僅か数分後。2人もそこで起こっている惨劇を目の当たりにする。
段々とその気は強くなっている。その中でクローに無理をさせるのは得策ではないと考えたからだ。…それ以外にも理由があったが。走ってる最中に自分の体の状態に嫌でも気付かされた。この状態ではクローに気を回すのは出来ないと判断したのだった。
「この下っぽいな」
そんなクロムの様子も知らずに先導を切っていたロスがその建物を見上げる。不気味な程静まり返った白い建物は儚くとも美しさを放っていた。
「さーて。入りますか」
ロスが先に進もうとした時、背後から僅かながらうめき声が聞こえた。振り返ると腹部を押さえたクロムが顔をしかめていた。
「…痛む?」
「…別に。どうもしねぇよ」
明らかに痛みを感じているであろうに、クロムはぺっと何かを吐きながら先に進んだ。
(…血を吐きながら別にどうもしねぇよ、ねぇ……)
吐き出されたのは血であった。
(まぁ、表面的には塞がってるだろうけど…内臓はまだ再生し切ってないからねぇ…。調子悪くて当たり前だわな)
ロスと契約しているクロムだが、機能が高いパーツ程、再生には時間がかかる。クロムが損傷した臓器は胃の中心部、肝臓の下部分、両方の腎臓の内部分。本来ならこの3つの臓器を修復するのに、1時間の休息が必要となる。
しかし、ここまで表面の傷に必要な15分程度の休憩しかしておらず、その後すぐに戦闘、全速力で走っていれば不調を訴えてもおかしくはない。
ましてや傷がついただけではなく、トゲのついた鉄の棒で抉られていれば尚更のこと。
動けば動くほど臓器の修復は遅くなるのだが、それを無視するようにクロムは先に進んでいく。
(…ほんとは少し休んで行って欲しいけど…言うこと聞かねぇもんなー……。仕方ない。ちょっと分泌物質をいじってやるか)
ロスが血印がある手の甲を軽く叩いた。痛みを和らげるエンドルフィンの分泌を増やしたのだ。
(これで少しはいいでしょ)
そんなロスの気遣いも知らず、クロムは植物園の中に入って行った。
黒い薔薇が一面に咲き誇っている花園を抜けたその先の入り口に手をかけた瞬間、冷たく鋭い空気が2人の間を通り過ぎた。
「これは……最悪の方向に進みつつあるな」
ロスが扉を開きながら僅かに険しい表情になる。
まるで氷点下にいるような冷たい空気が2人の間を通り過ぎていく。その風は強風と言っても良いくらいの。
ー来るなー
そう言われているようなくらいの風であった。
「…上等じゃねぇか」
暗くじめじめした階段は、さながら地獄への門に見えた。その暗闇に2人は入って行った。そして錆臭さの残るあの部屋へたどり着いた。
「ここは……」
「……まぁ、まともなことはしてないな」
辺りにある器具を眺めながら呑気にクロムは答えた。
「…僅かに稀琉と、お兄さん…その2人と似たような血の匂いがするな。多分ここで……」
ロスの言わんとすることは瞬時に理解できた…が。今はそんなことを詮索してる場合ではないし興味もなかった。
「そんなことどうでもいい。…この先に馬鹿どもがいるのは分かってんだからよ」
少し開けた隠し扉を指差しながらクロムは言った。
「そうだな。どれ行きますかー。何が起こってるのか見物しに」
2人は再び歩き出し、その先へ足を踏み込んだ。その僅か数分後。2人もそこで起こっている惨劇を目の当たりにする。

