ークロム ロスsideー
「「!」」
稀琉の体に異変が起きた時、クロムとロスもその気配を微かに察知していた。
「…ロス」
「あぁ、ちょっとヤバイかもな。稀琉」
「あいつの中の鬼が出てきてるのか?」
「そーだな。しかも、これは相当お怒りのようだしな」
もう1つの青鬼の間まできていた2人は一度足を止めた。
「稀琉の話を聞いてなんとなく引っかかってたんだよな。殺し方について」
青鬼が出てきた時は稀琉の身に何かがあった時。
ただ単に殺しているだけではないようだ。
もしそうなら、今までだって出てきてもおかしくないからだ。
この仕事をしているからには命を奪うことは常に隣同士にあるということ。
ロスのように殺害衝動に駆られるとしたら、先程のように我を失うことだってあっただろう。
でも、12年前に出てきたのを境に1回も出てきていないところを見るとロスのように殺害衝動があるわけではない。
12年前と同じように兄と対峙して出てきているということは……目的はなんとなく察しがついた。
「ここにきて俺を警戒したところを見ても…ただ単に稀琉に宿っているわけじゃなさそうだな、青鬼さん」
「そうなると…あいつの兄貴は…」
「あぁ。今度こそ殺す気だろうねー」
呑気にそう答えるロスに対し、クロムは僅かに表情が浮かない。
稀琉に対して思いやりがあってのその表情ではない。
その後、青鬼が消えた時に稀琉が我に返った際の稀琉の泣き崩れる姿が妙にイラついたからだ。
…なんでだよ。
俺は何に対してこんなにイラついてるんだ?
輝太の時だってあいつはそうなってたじゃないか。
なのに…なんで、今回だけこんなにイラつくんだよ。
そんな自分に腹が立つ。
まるで稀琉に俺の精神面に侵されているみたいだ。
他人に中に入られることを嫌うクロムにとってそれだけでもかなり嫌なことであった。
考えれば考えるほどクロムの眉間のしわは刻まれていった。
(あっ、なんかイラついてる)
クロムの様子を見たロスは瞬時にそう分かった。
眉間のしわと僅かに足を揺らしいている。
いわゆる貧乏ゆすりをしている時は行動に現れている分、イライラしている証拠であった。
(この感じだと稀琉のことだろうけど、多分なんでこんなに稀琉の事でイラついてるのか分からなくて更にイラついてるんだろうなー)
そこまでロスに分かったのには理由があった。
…何か思い出すことがあるんだろう?クロム。
お前はそれに蓋をしてるから…本来ならなんでか分かる筈なのに分からなくなっちまってるけど。
何も言わず、どこを見ているわけでもなく虚空を見ながらイライラを抑えようとしているクロムを見る。
…ほんと、こいつはキレーな顔してるよな。
おっかない顔してんのにそこらの化粧してる奴らよりも綺麗だ。
……まぁ、こいつの綺麗さは……捕らえられている闇の深さが出してる綺麗さだけど。
お前はいつそれから解放されるんだろうな。
その時は……きっと………。
「ーーロス」
そこまで考えていた時、不意に声をかけられた。
「ん?」
「行くぞ。まだ先みてぇだし」
ぶっきらぼうに歩き出したクロムの後ろ姿を見つめる。
…ほんとほっせぇな。消えて無くなりそうだ。
左右に揺れる長い髪の少し先の背中は細っそりしている。
服を重ね着してるのにも関わらずそう感じるほどであった。
…まぁ、時間はまだあるからな。
ゆっくり…お前の進む先を眺めさせてもらうことにするよ。
ふと笑ったロスは「あいよ」と答えながら後ろに続いた。
急がなければならないことには変わらない。
「…急ぐぞ。これで麗弥までくたばってたら洒落にならねぇ」
「そうだな。色々面倒になる前に行きますか。走れるか?」
「そのくらいなんてことねぇよ。走るから飛んでついてこいクロー」
「カー」
肩に止まっていたクローが飛び立つのと同時に2人は走り出した。全てが手遅れになる前に。
「「!」」
稀琉の体に異変が起きた時、クロムとロスもその気配を微かに察知していた。
「…ロス」
「あぁ、ちょっとヤバイかもな。稀琉」
「あいつの中の鬼が出てきてるのか?」
「そーだな。しかも、これは相当お怒りのようだしな」
もう1つの青鬼の間まできていた2人は一度足を止めた。
「稀琉の話を聞いてなんとなく引っかかってたんだよな。殺し方について」
青鬼が出てきた時は稀琉の身に何かがあった時。
ただ単に殺しているだけではないようだ。
もしそうなら、今までだって出てきてもおかしくないからだ。
この仕事をしているからには命を奪うことは常に隣同士にあるということ。
ロスのように殺害衝動に駆られるとしたら、先程のように我を失うことだってあっただろう。
でも、12年前に出てきたのを境に1回も出てきていないところを見るとロスのように殺害衝動があるわけではない。
12年前と同じように兄と対峙して出てきているということは……目的はなんとなく察しがついた。
「ここにきて俺を警戒したところを見ても…ただ単に稀琉に宿っているわけじゃなさそうだな、青鬼さん」
「そうなると…あいつの兄貴は…」
「あぁ。今度こそ殺す気だろうねー」
呑気にそう答えるロスに対し、クロムは僅かに表情が浮かない。
稀琉に対して思いやりがあってのその表情ではない。
その後、青鬼が消えた時に稀琉が我に返った際の稀琉の泣き崩れる姿が妙にイラついたからだ。
…なんでだよ。
俺は何に対してこんなにイラついてるんだ?
輝太の時だってあいつはそうなってたじゃないか。
なのに…なんで、今回だけこんなにイラつくんだよ。
そんな自分に腹が立つ。
まるで稀琉に俺の精神面に侵されているみたいだ。
他人に中に入られることを嫌うクロムにとってそれだけでもかなり嫌なことであった。
考えれば考えるほどクロムの眉間のしわは刻まれていった。
(あっ、なんかイラついてる)
クロムの様子を見たロスは瞬時にそう分かった。
眉間のしわと僅かに足を揺らしいている。
いわゆる貧乏ゆすりをしている時は行動に現れている分、イライラしている証拠であった。
(この感じだと稀琉のことだろうけど、多分なんでこんなに稀琉の事でイラついてるのか分からなくて更にイラついてるんだろうなー)
そこまでロスに分かったのには理由があった。
…何か思い出すことがあるんだろう?クロム。
お前はそれに蓋をしてるから…本来ならなんでか分かる筈なのに分からなくなっちまってるけど。
何も言わず、どこを見ているわけでもなく虚空を見ながらイライラを抑えようとしているクロムを見る。
…ほんと、こいつはキレーな顔してるよな。
おっかない顔してんのにそこらの化粧してる奴らよりも綺麗だ。
……まぁ、こいつの綺麗さは……捕らえられている闇の深さが出してる綺麗さだけど。
お前はいつそれから解放されるんだろうな。
その時は……きっと………。
「ーーロス」
そこまで考えていた時、不意に声をかけられた。
「ん?」
「行くぞ。まだ先みてぇだし」
ぶっきらぼうに歩き出したクロムの後ろ姿を見つめる。
…ほんとほっせぇな。消えて無くなりそうだ。
左右に揺れる長い髪の少し先の背中は細っそりしている。
服を重ね着してるのにも関わらずそう感じるほどであった。
…まぁ、時間はまだあるからな。
ゆっくり…お前の進む先を眺めさせてもらうことにするよ。
ふと笑ったロスは「あいよ」と答えながら後ろに続いた。
急がなければならないことには変わらない。
「…急ぐぞ。これで麗弥までくたばってたら洒落にならねぇ」
「そうだな。色々面倒になる前に行きますか。走れるか?」
「そのくらいなんてことねぇよ。走るから飛んでついてこいクロー」
「カー」
肩に止まっていたクローが飛び立つのと同時に2人は走り出した。全てが手遅れになる前に。

