Devil†Story

「稀琉ー!!!」


麗弥が悲痛な声をあげる。


どう見たってあれだけの攻撃を受けて無事な訳がない。


それに…致死性の毒を注入したとも言ってた。


いくら今、青鬼の姿になっているからと……生きているかすら危うかった。


早く稀琉の姿を見たいが、土煙が辺りに立ち込めていて様子が分からない。


「………」


伶姫は僅かだが、悲しそうにその様子を動かずに見ていた。


「さぁ…様子を見に行こうか」


琉稀がよろけながら土煙の方に歩み出す。


これだけの攻撃だ。


流石に息絶えていると思うが、姿が見えなければ確信できない。


2〜3歩、歩みでた時だった。



少しずつ土煙が治まってきた。


稀琉の姿も見え始めたのと同時だった。


ーーシュン


「!!」


光る何かが高速で向かってくる。


辛うじて横を向いてそれを避ける。


「まさか……」


琉稀が眉間にしわを寄せながら呟く。


「フフッ…クククッ…」


微かに聞こえた笑い声に麗弥はその声の方を向く。


完全に土煙が消え、現状が分かった。


「!!!」


そこには、腕から殺器を伸ばしている青鬼が居た。


まだ倒れたままであったが、その腕の殺器は完璧に琉稀を狙っていた。


「ヒヒ……」


口の端から血を垂らしながらニタァと笑いながら青鬼は琉稀を見ていた。


「嘘だろ………。叩きつけられたのは兎も角、毒はどうやって…間違いなく体内に注入した筈だが…」


驚く琉稀を嘲笑うかのように、ペッと口から何かを吐き出す。


吐き出されたものは黒い石のような塊だった。


それが先程注入された猛毒であることに気付くのにそう時間はかからなかった。


「ちっ……嘘でしょ…笑えないんだけど」


悔しそうに笑う琉稀を見た青鬼は更に笑う。


それと同時に起き上がり一瞬で琉稀の目の前まで来た。


「!?」


反射的に後ろに下がろうとした琉稀の腕を青鬼は掴んだ。


…骨が軋むほど強く。


「ッ…!!」


ミシミシと音を立てるほど強く捕まれ、琉稀が痛みで顔を歪める。


「……このような西洋の植物なんぞにやられる訳がなかろう。…前にもそう言わなかったか?」



「!」


突然の言葉に琉稀は青鬼の顔を見た。


歪んだ笑顔を浮かべた青鬼は掴んでいた琉稀をいとも簡単に投げ飛ばした。


「アハハッ…!」


口角を上げて笑いながら青鬼は琉稀に突っ込んでいった。


「! アカン!稀琉!!そないな風にしたら後悔するんは稀琉や!!」


麗弥が叫ぶが青鬼の耳には入ってこなかった。


青鬼が考えていることはただ一つ。


琉稀を殺すことだけだった。


「あか……ダメだ!稀琉!!やめろ!!」


こんな風に琉稀を殺したら…その後に我に返った稀琉は泣き叫ぶだろう。


12年前のように。


稀琉はそんなことを望んでない。


大好きな家族を…手にかけたくないに決まってる。


「ダメだって!!…ッ!!!」


止めようと動かそうとした足に激痛が走る。


骨折だけではなく、更に琉稀に傷つけられた足では自力で立ち上がることすら出来なかった。


「ッ…!!稀琉!!!」


稀琉を…いや、青鬼を見ると嬉しそうに琉稀を傷付けていた。


琉稀の方は先程の攻撃で体力を消耗したのか防戦…それどころか、受けきれずに攻撃を受ける一方だった。


「クソッ…!!また肝心な時に…俺は無力だ…!!」


ドンッ!


動けない自分の足に苛立ち拳を叩きつける。


何もできない自分を恨みながら、稀琉が兄を傷付けるのをただ見ることしかできなかった。