ーー稀琉Sideーー
「そ…んな……どうして…?兄さん……」
耐えきれずに流れ落ちる涙を無視しながら稀琉は兄に尋ねる。
「何度も言ってるだろう?俺は…あんな家が大嫌いだったんだ。全て壊す。それだけが願いだ」
兄の言葉1つ1つが稀琉の心を傷つけ壊していく。
視界が歪むほど涙が流れていく。
「ほんま最低やな…。アンタ…!」
この数年間、傷ついた稀琉を見てきた麗弥にとって、その残酷な事実は沸騰しそうな程の怒りを感じられずにはいられなかった。
「最低で結構だよ。そのくらい…俺の中の憎しみが強いってことをやっと伝えられて嬉しいよ。…そして壊れゆくお前を見るのもね」
ニヤリと笑った琉稀は立ち上がった。
「おー、傑作だなぁ、これは。ほーんと琉稀サマは最高なこと考えるよな」
「……」
手を叩いてそう言うグラトニーに対し、伶姫は黙っていた。
「さーて。やっとここまで来たんだ。後は……眼帯君に居なくなってもらうだけだね」
「!!!」
琉稀のその言葉に稀琉は頭を上げる。
「えっ…!?さっき……やめてくれるって…!」
「考えるって言っただけだよ?殺さないとは言ってない」
そう叫ぶ稀琉に琉稀は冷たく言い返した。
「待って!!お願いだ!麗弥は…麗弥には手を出さないで…!オレ…僕ならどれだけ酷い目にあったって構わない!だけど、麗弥は関係ない…!クロムやロスにも…何もしないで!」
「稀琉………」
必死に叫ぶ稀琉に麗弥の心がちくりと痛んだ。
「うるさいなぁ…決定権なんてないよって言っただろうが」
パチンと指を鳴らすと稀琉は床に叩きつけられた。
「ぐっ…!!」
「黙って見てようや、キル様。このショーをさ」
真上からする声に顔を上げるとグラトニーが上に乗っていた。
おまけに地面から薔薇の蔓が出て来て稀琉の体に巻き付いた。
「待って…!!やめて…やめてください…!!麗弥は…皆は僕の大切な友達なんだ!!だから、やめて!!お願いします…!!」
必死に叫ぶ稀琉だが、兄にその言葉は少しも届かない。
「だーから、その大切なものをお前の目の前で壊すんだろうが。最高の罰だろう?キル。お前のせいで周りのものが壊れていく光景はさ!」
「そんな…!!そんなの…いやだ…!」
全身に力を込めて抜け出そうとする稀琉だが、グラトニーが乗っている上に蔓が絡みついて到底動くことができなかった。
「っ…!!」
視界の端にいた伶姫に思わず助けを求めるように見つめる。
「……!」
伶姫は少し見ていたが、やがて悲しそうに目を伏せた。
「ふふっ…もっともっとお前の苦しむ姿を俺に見せてよ。その姿が…俺の心を満たすんだからさ!」
楽しそうに笑う琉稀に怒りが頂点に達した麗弥が口を開いた。
「…はっ、ほんま…アンタはクズやな!せやから…青鬼にも選ばれんのやろ!家族なのに…その家族すら大切にできへんで、憎しみが強いって…厨二病かいな」
「……」
「麗弥…?」
心配そうな稀琉なら言葉をよそに、まるで汚いものを見るような目で琉稀を見ながらありったけの嫌味を言う。
それでもまだ足りない。
「まぁ、そんなんやったら俺かて選ばへんわ。あぁ、でもえーんだっけ?アンタ家族嫌いやもんな?1人で勝手にーー」
そこまで言った時だった。
身体中に衝撃が走ったのは。
「グアッ…!!」
麗弥を縛っていた蔓が強く体を締め付け始めた。
その強さは蔦が伸びている壁にヒビが入り、大きな音をたてるくらいだった。
「麗弥!!!」
稀琉が悲痛な声を上げる。
「……言いたいことはそれだけかな?キルのお友達さん。まぁ、せいぜい君もキルを苦しめるための道具になりなよ」
そう言うのと同時に腕を伸ばす。
さらに蔓に力がこもった。
「ガハッ…!!」
口から血が噴き出す。
「やめて!!麗弥を殺さないで…!!」
「カッ…ハァ…!!」
強く締め付けられているため胃液とともに胆汁と血液を吐き出す。
このまま圧死させられるのは時間の問題だった。
やめてやめてやめて…!!
僕のせいで…麗弥が死ぬところなんて見たくない…!!
いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ!!!!
誰か…誰でもいいから助けて…!!
「やめてぇ!!!!!!!!!!」
稀琉の心が壊れかけた時だった。
ーードクンッ
!!
胸が大きく鳴った音が聞こえた。
12年前のあの時のようだと不思議と稀琉には理解できた。
ーーサァ、コチラヘ
グイッと意識は青黒い世界に引きずり込まれる。
ーーアトハ、ワタシニ任セテ。眠ッテイテクダサイ。
その声に逆らえないまま意識を深い青い闇に委ねる。
ーー貴方ハ、何モシナイデイイノデス。全テ終ワラセマショウ。
ーープツンッ
そこで稀琉の意識は再び青い闇の中に入っていった。
「そ…んな……どうして…?兄さん……」
耐えきれずに流れ落ちる涙を無視しながら稀琉は兄に尋ねる。
「何度も言ってるだろう?俺は…あんな家が大嫌いだったんだ。全て壊す。それだけが願いだ」
兄の言葉1つ1つが稀琉の心を傷つけ壊していく。
視界が歪むほど涙が流れていく。
「ほんま最低やな…。アンタ…!」
この数年間、傷ついた稀琉を見てきた麗弥にとって、その残酷な事実は沸騰しそうな程の怒りを感じられずにはいられなかった。
「最低で結構だよ。そのくらい…俺の中の憎しみが強いってことをやっと伝えられて嬉しいよ。…そして壊れゆくお前を見るのもね」
ニヤリと笑った琉稀は立ち上がった。
「おー、傑作だなぁ、これは。ほーんと琉稀サマは最高なこと考えるよな」
「……」
手を叩いてそう言うグラトニーに対し、伶姫は黙っていた。
「さーて。やっとここまで来たんだ。後は……眼帯君に居なくなってもらうだけだね」
「!!!」
琉稀のその言葉に稀琉は頭を上げる。
「えっ…!?さっき……やめてくれるって…!」
「考えるって言っただけだよ?殺さないとは言ってない」
そう叫ぶ稀琉に琉稀は冷たく言い返した。
「待って!!お願いだ!麗弥は…麗弥には手を出さないで…!オレ…僕ならどれだけ酷い目にあったって構わない!だけど、麗弥は関係ない…!クロムやロスにも…何もしないで!」
「稀琉………」
必死に叫ぶ稀琉に麗弥の心がちくりと痛んだ。
「うるさいなぁ…決定権なんてないよって言っただろうが」
パチンと指を鳴らすと稀琉は床に叩きつけられた。
「ぐっ…!!」
「黙って見てようや、キル様。このショーをさ」
真上からする声に顔を上げるとグラトニーが上に乗っていた。
おまけに地面から薔薇の蔓が出て来て稀琉の体に巻き付いた。
「待って…!!やめて…やめてください…!!麗弥は…皆は僕の大切な友達なんだ!!だから、やめて!!お願いします…!!」
必死に叫ぶ稀琉だが、兄にその言葉は少しも届かない。
「だーから、その大切なものをお前の目の前で壊すんだろうが。最高の罰だろう?キル。お前のせいで周りのものが壊れていく光景はさ!」
「そんな…!!そんなの…いやだ…!」
全身に力を込めて抜け出そうとする稀琉だが、グラトニーが乗っている上に蔓が絡みついて到底動くことができなかった。
「っ…!!」
視界の端にいた伶姫に思わず助けを求めるように見つめる。
「……!」
伶姫は少し見ていたが、やがて悲しそうに目を伏せた。
「ふふっ…もっともっとお前の苦しむ姿を俺に見せてよ。その姿が…俺の心を満たすんだからさ!」
楽しそうに笑う琉稀に怒りが頂点に達した麗弥が口を開いた。
「…はっ、ほんま…アンタはクズやな!せやから…青鬼にも選ばれんのやろ!家族なのに…その家族すら大切にできへんで、憎しみが強いって…厨二病かいな」
「……」
「麗弥…?」
心配そうな稀琉なら言葉をよそに、まるで汚いものを見るような目で琉稀を見ながらありったけの嫌味を言う。
それでもまだ足りない。
「まぁ、そんなんやったら俺かて選ばへんわ。あぁ、でもえーんだっけ?アンタ家族嫌いやもんな?1人で勝手にーー」
そこまで言った時だった。
身体中に衝撃が走ったのは。
「グアッ…!!」
麗弥を縛っていた蔓が強く体を締め付け始めた。
その強さは蔦が伸びている壁にヒビが入り、大きな音をたてるくらいだった。
「麗弥!!!」
稀琉が悲痛な声を上げる。
「……言いたいことはそれだけかな?キルのお友達さん。まぁ、せいぜい君もキルを苦しめるための道具になりなよ」
そう言うのと同時に腕を伸ばす。
さらに蔓に力がこもった。
「ガハッ…!!」
口から血が噴き出す。
「やめて!!麗弥を殺さないで…!!」
「カッ…ハァ…!!」
強く締め付けられているため胃液とともに胆汁と血液を吐き出す。
このまま圧死させられるのは時間の問題だった。
やめてやめてやめて…!!
僕のせいで…麗弥が死ぬところなんて見たくない…!!
いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ!!!!
誰か…誰でもいいから助けて…!!
「やめてぇ!!!!!!!!!!」
稀琉の心が壊れかけた時だった。
ーードクンッ
!!
胸が大きく鳴った音が聞こえた。
12年前のあの時のようだと不思議と稀琉には理解できた。
ーーサァ、コチラヘ
グイッと意識は青黒い世界に引きずり込まれる。
ーーアトハ、ワタシニ任セテ。眠ッテイテクダサイ。
その声に逆らえないまま意識を深い青い闇に委ねる。
ーー貴方ハ、何モシナイデイイノデス。全テ終ワラセマショウ。
ーープツンッ
そこで稀琉の意識は再び青い闇の中に入っていった。

