「……」
「………」
2人の執事は黙って互いの主人の子どもたちを見ていた。
真剣なことはわかる。
しかし、執事としてそれを許すわけにはいかなかった。
それを見かねたロスがため息をつきながら歩み寄った。
「まーまー。執事くんたちの意見は分かるけど…。俺に免じてさよならくらいさせてやってくんにゃい?」
「!」
「ロスお兄ちゃん………」
ミシェルとソルトは縋るようにロスを見た。
その表情はいつものように何を考えているかわからない微笑みだった。
「……………」
2人の執事は同時にロスを見た。
その微笑みの裏にある反論を認めさせない深く赤黒い目を捉えて。
「ね?」
ニコリと笑ったロスは首を曲げて、人差し指を口元に持っていった。
そのあどけなさの裏にある闇に沈黙していた執事達はため息をつきつつミシェルとソルトの方を見た。
「……5分だけですよ」
「終わったらすぐ戻りますからね」
その言葉に2人は顔を明るくして頷いた。
そして、後ろを振り返り歩み寄り、手を繋ぎあった。
「ソルト。本当に本当にありがとう。とっても楽しかったよ」
「僕の方こそとても楽しかった。ミシェルのお陰で…楽しい思い出ができたよ。ありがとう」
「これから…敵同士になっちゃうかもしれないけど…それでも、ずっと友達でいてくれる?」
「もちろん!僕が長になったら…こんなことなくすから。だから、それまではお互い大人になれるように頑張ろう」
「うん!」
「それじゃあ……その時まで元気でね」
「うん…。バイバイ。ソルト」
「またね、ミシェル」
ぎゅっと強く握り、名残惜しそうに手を離した。
そして、互いの執事の方に行ったかと思うと、耳打ちをする。
執事たちは黙って頷いた。
すると2人はロスの前は走ってきた。
「ロスお兄ちゃん。ミシェルたちのためにセインたちを説得してくれてありがとう」
「そして本当に迷惑をかけてごめんなさい」
「いえいえー。これも怖がらせちゃったお詫びってことで」
ロスは優しく笑うと2人を撫でた。
「それと、クロムお兄さん。これ……」
「!」
面倒臭そうにしてきたクロムに、麗弥の形をした人形を渡した。
「眼帯のお兄さんの人形…返すね」
「それ取り返しにもきてたんだもんね」
(……普通に忘れてた。そーいや、これもあったんだった)
内心そう思いつつ、それを悟られないように「あぁ」と答えるクロムにロスは「いや、完璧忘れてた顔だろ」と思いつつ黙って見ていた。
「んで?これどーすればいいんだ?」
「裏に名前が縫われてるでしょ?名前の部分の刺繍に眼帯のお兄さんの髪の毛が使われてるから、それを切れば契約は切れるよ」
ミシェルのその言葉に潔癖症のクロムは指で摘むように持ち替えた。
「汚ねぇな…。おいロス。お前が取れよ」
「おまっ、いくらなんでも可哀想だろ…汚ねぇなんて。今も捕まってるのにーーあっ!やべ!麗弥!おにーさんに捕まったまんまじゃんか!」
ここにきて麗弥の状況を思い出すロス。
「あぁ、そうだったな。どこにいるか分かるか?」
「えっと、確か1番奥の広い部屋に琉稀様と伶姫ちゃんといるはずだよ!」
「多分キル様もついてると思うから、まだ大丈夫だと思うけど……。!いや!違う!早く行ってあげて!」
ソルトの突然の大声にロスは「どした?」と聞き返す。
「お兄さん達、デブとおかまと操り人形部隊にしか会ってないよね!?」
「あー、俺はおねぇさんと操り人形部隊に会ったなぁ。クロムは?」
「俺はデブだ」
「そしたらもう1人いるんだ!それも…悪趣味な奴が!琉稀様とそいつじゃいくらなんでも眼帯のお兄さんだけじゃなくってキル様も危ないよ!」
ミシェルとソルトの必死な雰囲気に2人は顔を見合わせて頷いた。
「OK。分かった。早めに向かうことにするよ。ありがとな」
「じゃあ行くぞ」
クロムとロスはその先の扉に向かった。
「…お待ちくださいませ」
「お待ちください」
「?」
執事の声に2人は振り返る。
「本当にご迷惑おかけしました」
「敵同士でしたらこの子達を殺すこともできたのに…しないでくださり、しかも呪縛から解いてくれて感謝の言葉もありません」
同時に頭を下げる執事たちにロスは答える。
「いーよ、いーよ。礼なんて。2人とも大変だろうけどきちんと跡取りは守ってないといけないからなー?」
「承知しております」
「このご恩は忘れません。どうか道中お気をつけて」
「本当にありがとー!お兄さん達!」
「またね!」
執事の側で跡取りの2人は笑顔で手を振った。
それにロスは笑顔で手を振り、クロムは何も言わずに先の扉に進んで行った。
頭を下げ続けていた執事達も漸く頭をあげる。
まだ手を振ってるミシェルとソルトにため息をつきつつ、セインと呼ばれていたしは辺りを見渡した。
「? ゼノ…?」
そこにゼノの姿はなかった。
そしてクロムとロスは扉の先に消えていった。
暗い廊下を少し進んだ先にゼノは待っていた。
「ありゃ?主人置いてこんなところで何してるの?」
ロスが問うと、ゼノは静かにクロムの前にやってきた。
「……ミシェルの事、本当に感謝してる」
「俺は何もしてないが」
「いや、お前にも世話になった」
自分が壊されかけた時にロスを止めてくれたのはクロムだ。
そのことについての感謝だった。
「別に何もしてねぇよ。そんなことより、先を急いでるんだ」
そういってクロムが歩み出そうとした時だった。
「…礼もあったが、それよりも1つ忠告があってここで待ってた」
「忠告?」
クロムはゼノを見据えた。
光のない瞳同士が合う。
「さっきミシェルは思い出せないと言っていたが…お前を狙ってるあの男は…本当に危険な奴だ。行動もそうだが…なによりお前への異常な執着心が感情が上手くわからない俺でも異常に感じた。俺もハッキリ覚えている訳ではないが………一度、俺がミシェルの命令で他の奴らに会いに行った時に…たまたま通った奴の部屋の前であの男の本性を垣間見たんだ」
静かにゼノはその時の話をし始めた。
「………」
2人の執事は黙って互いの主人の子どもたちを見ていた。
真剣なことはわかる。
しかし、執事としてそれを許すわけにはいかなかった。
それを見かねたロスがため息をつきながら歩み寄った。
「まーまー。執事くんたちの意見は分かるけど…。俺に免じてさよならくらいさせてやってくんにゃい?」
「!」
「ロスお兄ちゃん………」
ミシェルとソルトは縋るようにロスを見た。
その表情はいつものように何を考えているかわからない微笑みだった。
「……………」
2人の執事は同時にロスを見た。
その微笑みの裏にある反論を認めさせない深く赤黒い目を捉えて。
「ね?」
ニコリと笑ったロスは首を曲げて、人差し指を口元に持っていった。
そのあどけなさの裏にある闇に沈黙していた執事達はため息をつきつつミシェルとソルトの方を見た。
「……5分だけですよ」
「終わったらすぐ戻りますからね」
その言葉に2人は顔を明るくして頷いた。
そして、後ろを振り返り歩み寄り、手を繋ぎあった。
「ソルト。本当に本当にありがとう。とっても楽しかったよ」
「僕の方こそとても楽しかった。ミシェルのお陰で…楽しい思い出ができたよ。ありがとう」
「これから…敵同士になっちゃうかもしれないけど…それでも、ずっと友達でいてくれる?」
「もちろん!僕が長になったら…こんなことなくすから。だから、それまではお互い大人になれるように頑張ろう」
「うん!」
「それじゃあ……その時まで元気でね」
「うん…。バイバイ。ソルト」
「またね、ミシェル」
ぎゅっと強く握り、名残惜しそうに手を離した。
そして、互いの執事の方に行ったかと思うと、耳打ちをする。
執事たちは黙って頷いた。
すると2人はロスの前は走ってきた。
「ロスお兄ちゃん。ミシェルたちのためにセインたちを説得してくれてありがとう」
「そして本当に迷惑をかけてごめんなさい」
「いえいえー。これも怖がらせちゃったお詫びってことで」
ロスは優しく笑うと2人を撫でた。
「それと、クロムお兄さん。これ……」
「!」
面倒臭そうにしてきたクロムに、麗弥の形をした人形を渡した。
「眼帯のお兄さんの人形…返すね」
「それ取り返しにもきてたんだもんね」
(……普通に忘れてた。そーいや、これもあったんだった)
内心そう思いつつ、それを悟られないように「あぁ」と答えるクロムにロスは「いや、完璧忘れてた顔だろ」と思いつつ黙って見ていた。
「んで?これどーすればいいんだ?」
「裏に名前が縫われてるでしょ?名前の部分の刺繍に眼帯のお兄さんの髪の毛が使われてるから、それを切れば契約は切れるよ」
ミシェルのその言葉に潔癖症のクロムは指で摘むように持ち替えた。
「汚ねぇな…。おいロス。お前が取れよ」
「おまっ、いくらなんでも可哀想だろ…汚ねぇなんて。今も捕まってるのにーーあっ!やべ!麗弥!おにーさんに捕まったまんまじゃんか!」
ここにきて麗弥の状況を思い出すロス。
「あぁ、そうだったな。どこにいるか分かるか?」
「えっと、確か1番奥の広い部屋に琉稀様と伶姫ちゃんといるはずだよ!」
「多分キル様もついてると思うから、まだ大丈夫だと思うけど……。!いや!違う!早く行ってあげて!」
ソルトの突然の大声にロスは「どした?」と聞き返す。
「お兄さん達、デブとおかまと操り人形部隊にしか会ってないよね!?」
「あー、俺はおねぇさんと操り人形部隊に会ったなぁ。クロムは?」
「俺はデブだ」
「そしたらもう1人いるんだ!それも…悪趣味な奴が!琉稀様とそいつじゃいくらなんでも眼帯のお兄さんだけじゃなくってキル様も危ないよ!」
ミシェルとソルトの必死な雰囲気に2人は顔を見合わせて頷いた。
「OK。分かった。早めに向かうことにするよ。ありがとな」
「じゃあ行くぞ」
クロムとロスはその先の扉に向かった。
「…お待ちくださいませ」
「お待ちください」
「?」
執事の声に2人は振り返る。
「本当にご迷惑おかけしました」
「敵同士でしたらこの子達を殺すこともできたのに…しないでくださり、しかも呪縛から解いてくれて感謝の言葉もありません」
同時に頭を下げる執事たちにロスは答える。
「いーよ、いーよ。礼なんて。2人とも大変だろうけどきちんと跡取りは守ってないといけないからなー?」
「承知しております」
「このご恩は忘れません。どうか道中お気をつけて」
「本当にありがとー!お兄さん達!」
「またね!」
執事の側で跡取りの2人は笑顔で手を振った。
それにロスは笑顔で手を振り、クロムは何も言わずに先の扉に進んで行った。
頭を下げ続けていた執事達も漸く頭をあげる。
まだ手を振ってるミシェルとソルトにため息をつきつつ、セインと呼ばれていたしは辺りを見渡した。
「? ゼノ…?」
そこにゼノの姿はなかった。
そしてクロムとロスは扉の先に消えていった。
暗い廊下を少し進んだ先にゼノは待っていた。
「ありゃ?主人置いてこんなところで何してるの?」
ロスが問うと、ゼノは静かにクロムの前にやってきた。
「……ミシェルの事、本当に感謝してる」
「俺は何もしてないが」
「いや、お前にも世話になった」
自分が壊されかけた時にロスを止めてくれたのはクロムだ。
そのことについての感謝だった。
「別に何もしてねぇよ。そんなことより、先を急いでるんだ」
そういってクロムが歩み出そうとした時だった。
「…礼もあったが、それよりも1つ忠告があってここで待ってた」
「忠告?」
クロムはゼノを見据えた。
光のない瞳同士が合う。
「さっきミシェルは思い出せないと言っていたが…お前を狙ってるあの男は…本当に危険な奴だ。行動もそうだが…なによりお前への異常な執着心が感情が上手くわからない俺でも異常に感じた。俺もハッキリ覚えている訳ではないが………一度、俺がミシェルの命令で他の奴らに会いに行った時に…たまたま通った奴の部屋の前であの男の本性を垣間見たんだ」
静かにゼノはその時の話をし始めた。

