それからしばらく中を歩いていると中庭のような場所に出た。
流石にその頃にはクロムの怒りも少し和らいできたのか、クロムは何事もなかったように口を開いた。
「…何処にいんだか」
「なんかなー…どうにもこの国独特のこの雰囲気の中だと、なんとも言えないけど…多分近いかな?」
ロスがそう言った時…
ーーヒュン
「!!」
何かがこちらに向かってきたのでクロムはすぐに剣を抜いてそれを切った。
バサッと落ちたものを確認する。
「…薔薇の蔓?」
そこに落ちていたのは薔薇の蔓だった。
切られたそれは、断面から赤い液体が流れ出ていてまるで生き物の様にビクビクとのたうち回っていた。
「キモ」
「だな。ってことは…」
2人がその蔓が向かってきた場所を見ると、そこから無数の薔薇の蔓が物凄い速さで襲いかかってきた。
「おぉーっと!」
ロスが後ろに下がり避け、クロムは右に体を動かして避けた。
「ウゼェな」
クロムはそう言うか否か、一斉に襲ってきた薔薇の蔓を両断した。
ロスはこれといった武器はない。
いやあるといえばあるのだが…大体はその身一つで攻撃をする。
そうしないと、力が強すぎて対象の体が完全に消滅してしまうのだ。
今回の場合ロスは多少魔力を使って手を強化して手刀で蔓を切断している。
薔薇の蔓は2人が切ることで簡単に切れた…が。
「あーもー…数が多いなー」
ロスが切り落としながら呟く。薔薇の蔓は無限に2人に向かってくる。
「面倒くせぇな」
クロムが目の前にあった蔓を切りつけた時だった。
ーーシュル
「!」
「おっ?」
クロムの腕に無数の薔薇の蔓が絡み付いた。
そしてクロムの両腕が上に持ち上げられたのと同時に剣が弾かれて宙を舞い地面に突き刺さった。その間にクロムの腕に気をとられてたロスの周りにも蔓が蔓延った。
「やっと捕まえた」
拍手と共に薔薇の蔓が延びていた先から稀琉の兄…琉稀が出てきた。その隣には怜姫が感情の読めない表情で立っていた。
「クスクス…そんなに稀琉やあの眼帯の子が気になったのかな?…ねぇ?稀琉」
「!」
琉稀の後ろからスッと稀琉が出てきた。その表情はかなり暗く、何かに脅えているようだった。
「稀琉」
ロスが呼び掛けるが、2人の顔を見ずに「ごめん…ね」と言うだけだった。
「さてさて。君達は凄く強いみたいだね。俺の薔薇をこんなに切るなんて」
落ちていた薔薇の蔓を手にとってまじまじと見る琉稀。
「悪いけど君達も、このままでは帰せないよ」
「あの弱っちぃバカ眼帯と一緒にすんなよ」
「へぇー、仲間なのにそんな扱いなんだ?」
楽しそうに問う琉稀にクロムはバカにしたように答えた。
「はっ…。仲間?てめぇの弟やあの眼帯は、そう思ってるみたいだがな…生憎俺はそう思ってないんでな」
「そーなんだ?じゃあ、なんできたの?」
「面倒くせぇ、てめぇの弟とバカ眼帯をぶん殴りに来ただけだ」
「ふーん…。何にせよ来たからにはそれなりの扱いをさせてもらうよ」
ザクッ…
琉稀が手を伸ばすとクロムの腕に絡んでいた薔薇の蔓が腕を強く締めつける。その棘でクロムの腕から出血した。
「…!」
稀琉が苦しそうな表情でそれを見ていた。
「ふふ…。君みたいな強気な子をいたぶるのは楽しいよね」
クスクスと笑いながら琉稀が更に力を込めようと手のひらに力を込めたのを見た稀琉は、遂に耐えられなくなったのか兄の腕を掴みながら訴えた。
「待って、兄さん…!オレは…報いを受けるから…!だから、これ以上この人たちには手をーー」
そこまで言った時だった。
「ーー“報い”…?」
ビクッ
琉稀の低い声に体を縮ませる。
「誰に向かって言ってるの?キル。…お前にそんなこと言う資格があると思っているのか?」
「っ…」
カタカタと震える稀琉の腕を振り払った兄はそれ以上の発言許さないかの様に…稀琉に顎を掴み上を向かせて言いはなった。
「…報いを受けると言うのなら黙って見てなさい。いいね?じゃないと…本当にこの子達をめちゃくちゃにして殺しちゃうよ?」
「っ…!」
暫く今にも泣きそうな表情で兄を見ていた稀琉だったが、兄の手が顎から離れるとそのまま下を向いて黙りこんだ。
その様子を見た琉稀は、満足そうに「…それでいいんだよ。キル。いい子だ」とぽんっと頭に手を置いてからまたクロムの方を見据えた。
「さて。邪魔もなくなったし…然程(さほど)堪えてないみたいだしもう少しやっても平気だよね?」と今度はクロムの体に蔓を這わせた。
稀琉が見ている以上…これ以上デケェ怪我すんのは面倒くせぇな。クロムが先程の稀琉の態度にまたイライラしつつも考えていたときだった。
「おや?綺麗なネックレスをしているじゃないか」
「!!」
いつの間にかクロムの服の下に隠していたネックレスが服の下から出ていたのか、琉稀がそれを見てそう呟いた。
「こんな綺麗なものを服の下に隠しているなんて…よっぽど大切なものなのかな?」
そう言って琉稀が薔薇を操ってそのネックレスに触れたのをみたクロムの中で何かがブツンと切れた。
「クスクス…。大切な人にでも貰ったーー「…わ…んな…」
「ん?」
微かに聴こえた低い声に琉稀はクロムを見た。その瞬間、今までクロムがどう強く引っ張っても切れなかった薔薇の蔓がブツリと切れた。
「!?」
琉稀が驚く中クロムはネックレスに触っていた薔薇の蔓を棘も気にせずに強く握り締めてもう一度言った。
「…それに触んな」
空気が震えているのではないのかと言うくらい怒りのオーラを出しギロリと睨み付けた。
(あーあ…クロムの地雷を踏んじゃったな)
ロスはクロムの様子を見て回りにあった蔓を振り払いながら思った。
(クロムにこれ系の話は…タブー中のタブーだからな。今日はキレたの2回目だから…怒りでお兄さん殺さなきゃいいけど)
ロスがそう思ってたのも束の間…その刹那、クロムの姿は見えなくなった。
「!?」
琉稀が周りを見たのと同時にクロムは剣を振り上げて右側に移動していた。
「!琉稀様…!」
クロムが剣を降り下ろすのと同時に怜姫が持っていた短剣でそれを受け止めるとガキィンと激しい金属音が響いた。
「っ…」
怜姫の腕に骨が砕けてしまうのではないかと言うくらいの衝撃が走り思わず顔を僅かに歪める。怒りで普段より目を見開いたクロムは鬱陶しそうに玲姫を見た。
「…どけよ。クソ女」
「!!」
乱暴に怜姫を振り払ったクロムはまた琉稀の元へ突っ込んだ。
「琉稀様…!」
怜姫は感情の読めない目で琉稀を見た。その間にも琉稀は抵抗し薔薇を操るが…クロムはそんなものはないかのようにあっという間に琉稀の目の前まで行ってまた剣を振り上げた。
「兄さん……!」
クロムに琉稀が襲われそうになっているのを見た稀琉のとった行動は…
ーーガキィン!!
「!」
「くっ…!」
琉稀とクロムの間に入りワイヤーを手で持ち伸ばしてその斬撃を受け止めた稀琉。そう…稀琉がとった行動はクロムから、兄を守ることだった。
「稀琉…テメェ何してやがる…?」
先程怜姫に向けた目よりも大きく見開いた目で稀琉を見るクロム。
「あっ…お…れ…」
カタカタと震えながら口をパクパクさせる稀琉。しまったと思っているのだろう。その表情には迷いがあった。
流石にその頃にはクロムの怒りも少し和らいできたのか、クロムは何事もなかったように口を開いた。
「…何処にいんだか」
「なんかなー…どうにもこの国独特のこの雰囲気の中だと、なんとも言えないけど…多分近いかな?」
ロスがそう言った時…
ーーヒュン
「!!」
何かがこちらに向かってきたのでクロムはすぐに剣を抜いてそれを切った。
バサッと落ちたものを確認する。
「…薔薇の蔓?」
そこに落ちていたのは薔薇の蔓だった。
切られたそれは、断面から赤い液体が流れ出ていてまるで生き物の様にビクビクとのたうち回っていた。
「キモ」
「だな。ってことは…」
2人がその蔓が向かってきた場所を見ると、そこから無数の薔薇の蔓が物凄い速さで襲いかかってきた。
「おぉーっと!」
ロスが後ろに下がり避け、クロムは右に体を動かして避けた。
「ウゼェな」
クロムはそう言うか否か、一斉に襲ってきた薔薇の蔓を両断した。
ロスはこれといった武器はない。
いやあるといえばあるのだが…大体はその身一つで攻撃をする。
そうしないと、力が強すぎて対象の体が完全に消滅してしまうのだ。
今回の場合ロスは多少魔力を使って手を強化して手刀で蔓を切断している。
薔薇の蔓は2人が切ることで簡単に切れた…が。
「あーもー…数が多いなー」
ロスが切り落としながら呟く。薔薇の蔓は無限に2人に向かってくる。
「面倒くせぇな」
クロムが目の前にあった蔓を切りつけた時だった。
ーーシュル
「!」
「おっ?」
クロムの腕に無数の薔薇の蔓が絡み付いた。
そしてクロムの両腕が上に持ち上げられたのと同時に剣が弾かれて宙を舞い地面に突き刺さった。その間にクロムの腕に気をとられてたロスの周りにも蔓が蔓延った。
「やっと捕まえた」
拍手と共に薔薇の蔓が延びていた先から稀琉の兄…琉稀が出てきた。その隣には怜姫が感情の読めない表情で立っていた。
「クスクス…そんなに稀琉やあの眼帯の子が気になったのかな?…ねぇ?稀琉」
「!」
琉稀の後ろからスッと稀琉が出てきた。その表情はかなり暗く、何かに脅えているようだった。
「稀琉」
ロスが呼び掛けるが、2人の顔を見ずに「ごめん…ね」と言うだけだった。
「さてさて。君達は凄く強いみたいだね。俺の薔薇をこんなに切るなんて」
落ちていた薔薇の蔓を手にとってまじまじと見る琉稀。
「悪いけど君達も、このままでは帰せないよ」
「あの弱っちぃバカ眼帯と一緒にすんなよ」
「へぇー、仲間なのにそんな扱いなんだ?」
楽しそうに問う琉稀にクロムはバカにしたように答えた。
「はっ…。仲間?てめぇの弟やあの眼帯は、そう思ってるみたいだがな…生憎俺はそう思ってないんでな」
「そーなんだ?じゃあ、なんできたの?」
「面倒くせぇ、てめぇの弟とバカ眼帯をぶん殴りに来ただけだ」
「ふーん…。何にせよ来たからにはそれなりの扱いをさせてもらうよ」
ザクッ…
琉稀が手を伸ばすとクロムの腕に絡んでいた薔薇の蔓が腕を強く締めつける。その棘でクロムの腕から出血した。
「…!」
稀琉が苦しそうな表情でそれを見ていた。
「ふふ…。君みたいな強気な子をいたぶるのは楽しいよね」
クスクスと笑いながら琉稀が更に力を込めようと手のひらに力を込めたのを見た稀琉は、遂に耐えられなくなったのか兄の腕を掴みながら訴えた。
「待って、兄さん…!オレは…報いを受けるから…!だから、これ以上この人たちには手をーー」
そこまで言った時だった。
「ーー“報い”…?」
ビクッ
琉稀の低い声に体を縮ませる。
「誰に向かって言ってるの?キル。…お前にそんなこと言う資格があると思っているのか?」
「っ…」
カタカタと震える稀琉の腕を振り払った兄はそれ以上の発言許さないかの様に…稀琉に顎を掴み上を向かせて言いはなった。
「…報いを受けると言うのなら黙って見てなさい。いいね?じゃないと…本当にこの子達をめちゃくちゃにして殺しちゃうよ?」
「っ…!」
暫く今にも泣きそうな表情で兄を見ていた稀琉だったが、兄の手が顎から離れるとそのまま下を向いて黙りこんだ。
その様子を見た琉稀は、満足そうに「…それでいいんだよ。キル。いい子だ」とぽんっと頭に手を置いてからまたクロムの方を見据えた。
「さて。邪魔もなくなったし…然程(さほど)堪えてないみたいだしもう少しやっても平気だよね?」と今度はクロムの体に蔓を這わせた。
稀琉が見ている以上…これ以上デケェ怪我すんのは面倒くせぇな。クロムが先程の稀琉の態度にまたイライラしつつも考えていたときだった。
「おや?綺麗なネックレスをしているじゃないか」
「!!」
いつの間にかクロムの服の下に隠していたネックレスが服の下から出ていたのか、琉稀がそれを見てそう呟いた。
「こんな綺麗なものを服の下に隠しているなんて…よっぽど大切なものなのかな?」
そう言って琉稀が薔薇を操ってそのネックレスに触れたのをみたクロムの中で何かがブツンと切れた。
「クスクス…。大切な人にでも貰ったーー「…わ…んな…」
「ん?」
微かに聴こえた低い声に琉稀はクロムを見た。その瞬間、今までクロムがどう強く引っ張っても切れなかった薔薇の蔓がブツリと切れた。
「!?」
琉稀が驚く中クロムはネックレスに触っていた薔薇の蔓を棘も気にせずに強く握り締めてもう一度言った。
「…それに触んな」
空気が震えているのではないのかと言うくらい怒りのオーラを出しギロリと睨み付けた。
(あーあ…クロムの地雷を踏んじゃったな)
ロスはクロムの様子を見て回りにあった蔓を振り払いながら思った。
(クロムにこれ系の話は…タブー中のタブーだからな。今日はキレたの2回目だから…怒りでお兄さん殺さなきゃいいけど)
ロスがそう思ってたのも束の間…その刹那、クロムの姿は見えなくなった。
「!?」
琉稀が周りを見たのと同時にクロムは剣を振り上げて右側に移動していた。
「!琉稀様…!」
クロムが剣を降り下ろすのと同時に怜姫が持っていた短剣でそれを受け止めるとガキィンと激しい金属音が響いた。
「っ…」
怜姫の腕に骨が砕けてしまうのではないかと言うくらいの衝撃が走り思わず顔を僅かに歪める。怒りで普段より目を見開いたクロムは鬱陶しそうに玲姫を見た。
「…どけよ。クソ女」
「!!」
乱暴に怜姫を振り払ったクロムはまた琉稀の元へ突っ込んだ。
「琉稀様…!」
怜姫は感情の読めない目で琉稀を見た。その間にも琉稀は抵抗し薔薇を操るが…クロムはそんなものはないかのようにあっという間に琉稀の目の前まで行ってまた剣を振り上げた。
「兄さん……!」
クロムに琉稀が襲われそうになっているのを見た稀琉のとった行動は…
ーーガキィン!!
「!」
「くっ…!」
琉稀とクロムの間に入りワイヤーを手で持ち伸ばしてその斬撃を受け止めた稀琉。そう…稀琉がとった行動はクロムから、兄を守ることだった。
「稀琉…テメェ何してやがる…?」
先程怜姫に向けた目よりも大きく見開いた目で稀琉を見るクロム。
「あっ…お…れ…」
カタカタと震えながら口をパクパクさせる稀琉。しまったと思っているのだろう。その表情には迷いがあった。

