――3日後。
静かな部屋で8日振りに青い目がスッと開かれた。
朝になったばかりで、淡い朝日がカーテンの隙間から溢れた。
あれ…オレ何して…。
彼の中であの時の記憶が一気に流れ出した。
「ッ…!」
ガバッと体を起こすと、痛みが走った。
「いたっ…」
見てみると、体には包帯が巻かれていた。
それがアレが夢でない証し。
「…ッ…」
自然と力が籠る右手の先を見てみると、そこには麗弥がベッドに上半身だけ、突っ伏して寝ていた。
「れ…いや…」
スースーと寝息を立てて寝ている麗弥。
きっと、疲れているのにも関わらず任務帰りでも時間があれば看病していてくれたのだろう。
「稀…琉…」
「!」
寝ていながらも、オレを心配してくれてる麗弥。
本当…オレには勿体無すぎる…友達だ…。
「………」
オレは傍らにあった、麗弥のコートを麗弥にかけた。
麗弥を見て思い出した。
クロムに…いや、刹那以外の皆に本当のことを言わなきゃ。
「……ッ…」
自然と体が震える。
――怖い。
怖い…よ。みんなに…蔑まれるんじゃないかって。
オレの犯した罪が…いや、存在が、忌まわしいものだって口に出して伝えるのは、凄く怖いよ…。
でも……。
信じても良い…かな…?
ねぇ、神様…?
オレを大切にしてくれる皆に…少しだけ…ほんの少しだけ甘えても…良い?
好きになっても…良い…?
皆が大好きだから…言いたくはないよ…。
でも……。
皆には迷惑をかけたくない…んだ。
だから……。
でも…今は………弱音を吐かせて…?
皆に…弱いオレを……見せたくないから…。
「うっ………」
体育座りをした稀琉は声を押し殺しながら涙を流す。
傍らにいる麗弥に気付かれないように。
大好き…なんだ…。
…皆が。
このカフェが。
こんなオレの…たった1つの居場所だから。
だけどね………。
「ゴメン…ッ…なさ…い…兄さん………」
兄さん……。
ゴメンなさい……。
許してなんて…言えないよ。
仲間と自分を傷付けてきた兄を想いながら泣く稀琉。
本当にゴメンなさい。
静かに泣く稀琉を知っているのは部屋にあるものだけだ。
――20分後。
やっと稀琉が泣き止んだ頃、部屋に誰かが入ってきた。
「!ク…ロム」
入ってきたのはクロムとロスだった。
「おっ。やっと目ぇ覚めた?」
「あ…うん…。あの…助けてくれて…ありがとう。クロム、ロス。」
気を失う前に、2人を見た。
きっと、この2人が居たから今、ここに居るのだろう。
だから、お礼を言った。
「別に〜?間に合って良かったよ」
ニコリと笑うロスにオレは微笑する。
その笑みは今にも壊れそうだった。
「…つーか、このバカ…何が“目が覚めたら知らせるから安心しろ”だ。寝やがって」
クロムはそう言うと溜め息をついた。
やっぱり、そうなんだ…。
ありがとう…麗弥。
こんなオレの為に……。
「まぁ、疲れてたんっしょ」
「ハッ…なら、言うんじゃねぇよ。…おい、起きろ!馬鹿眼帯!」
ガンッと寝ている麗弥の背中に…それも思いきり蹴りを入れるクロム。
「ったぁ!何!?何事なん!?」
蹴られた背中を擦りながら辺りをキョロキョロ見渡す麗弥。
「おら、寝坊助が。起きてたぞ、稀琉!」
「えっ!?」
クロムに言われてバッとベッドの方を見る。
そして、麗弥と目があった。
「稀…琉…」
「麗弥…」
掠れた声でオレの名を呼ぶ麗弥。
心配…させちゃったよな…。
オレは慌てて笑顔を作って答える。
「あっ、ゴメンね、麗弥。看病してくれてありが――」
後の“とう”の部分はきっと、麗弥には届かなかったと思う。
…言ったオレですら、言えなかった自信があるから。
だって…だって麗弥が……。
…麗弥がギュッと抱き締めてきたから。
「れ…麗…弥?」
どうしたんだろうという困惑の気持ちから、オレは麗弥の名前を呼ぶのが精一杯だった。
すると、麗弥は安心した声でこう言った。
「良かった…!ほんま良かった…!あのまま…目ぇ覚まさへんかったらって思ったら……」
「!」
ギュッと抱き締めている麗弥の腕からは痛い程の力が込められている。
その手は微かに震えていた。
「……ッ…」
どうして…?
どうして、こんなに…心配してくれるの…?
オレは…そんな資格ないんだよ…?
でも…………。
自然と麗弥の肩に手をやる。
失いたくない。
オレの…大切なみんなを。
「あっ、ゴメンな」
麗弥がスッと離れた。
「怪我酷いのに…」
「良いんだよ。これくらい…平気だから…」
壊れそうな笑顔を浮かべる稀琉に麗弥の心はチクリと痛んだ。
「…まぁ、そんなのはどうでも良い。…聞かせて貰うぞ、稀琉」
「あっ…」
そうだ…言わなきゃ…。
「ちょっ…待ってや、クロム。まだ起きたばっかりなんよ?」
オレを気遣ってか、麗弥が慌てて口を開く。
そんな麗弥にオレは、麗弥の腕を掴む。
「! 稀琉…」
「大丈夫だよ、麗弥。…約束だもの」
本当はすぐにでも壊れそうな笑みだったけど、なんとか笑って言った。
――言わなきゃ。
オレをずっと…待っててくれたんだから。
オレは深く息を吸って吐いた。
「…ッ………」
カラダがカタカタと震える。
オレの罪を晒すのだ。
やはり恐怖は拭えない。
息が苦しい。込めたくないのに、眉間に皺がよる。
カタカタ震えているオレを見て、今度は麗弥がオレの手を掴む。
「…大丈夫なん?無理せぇひんでよ?なんなら、俺が始めは言って――」
「大丈夫……。それに…麗弥にも…いってなかったことがあるから…だから…オレが話す…よ。クロムとの…約束も守らきゃだから…」
本当は限界が辛いけど…今は乗り越えないといけない。
いつまでも……甘えてるわけにはいかないから。
オレはまた息を大きく吸った。
「……もう12年も前の話しなんだけど…」
やっと、動いた口でオレは真実を語り始めた。
…それは、オレの罪の話し。
そんなオレの話をクロムとロスは黙ったまま聞いていた。
まるで受け入れようとしてるかのように。
それだけで安心できた。
「…オレの家はそれなりに…名のある、名家だったんだ…」
1つ1つ言葉をゆっくりと発した。
皆が、聞く中…オレは話しながら昔のことを思い出した。
まだオレが5歳の時の事を。
あの時のことは…今でも忘れない。
そんなことを想いながらオレは話した。
静かな部屋で8日振りに青い目がスッと開かれた。
朝になったばかりで、淡い朝日がカーテンの隙間から溢れた。
あれ…オレ何して…。
彼の中であの時の記憶が一気に流れ出した。
「ッ…!」
ガバッと体を起こすと、痛みが走った。
「いたっ…」
見てみると、体には包帯が巻かれていた。
それがアレが夢でない証し。
「…ッ…」
自然と力が籠る右手の先を見てみると、そこには麗弥がベッドに上半身だけ、突っ伏して寝ていた。
「れ…いや…」
スースーと寝息を立てて寝ている麗弥。
きっと、疲れているのにも関わらず任務帰りでも時間があれば看病していてくれたのだろう。
「稀…琉…」
「!」
寝ていながらも、オレを心配してくれてる麗弥。
本当…オレには勿体無すぎる…友達だ…。
「………」
オレは傍らにあった、麗弥のコートを麗弥にかけた。
麗弥を見て思い出した。
クロムに…いや、刹那以外の皆に本当のことを言わなきゃ。
「……ッ…」
自然と体が震える。
――怖い。
怖い…よ。みんなに…蔑まれるんじゃないかって。
オレの犯した罪が…いや、存在が、忌まわしいものだって口に出して伝えるのは、凄く怖いよ…。
でも……。
信じても良い…かな…?
ねぇ、神様…?
オレを大切にしてくれる皆に…少しだけ…ほんの少しだけ甘えても…良い?
好きになっても…良い…?
皆が大好きだから…言いたくはないよ…。
でも……。
皆には迷惑をかけたくない…んだ。
だから……。
でも…今は………弱音を吐かせて…?
皆に…弱いオレを……見せたくないから…。
「うっ………」
体育座りをした稀琉は声を押し殺しながら涙を流す。
傍らにいる麗弥に気付かれないように。
大好き…なんだ…。
…皆が。
このカフェが。
こんなオレの…たった1つの居場所だから。
だけどね………。
「ゴメン…ッ…なさ…い…兄さん………」
兄さん……。
ゴメンなさい……。
許してなんて…言えないよ。
仲間と自分を傷付けてきた兄を想いながら泣く稀琉。
本当にゴメンなさい。
静かに泣く稀琉を知っているのは部屋にあるものだけだ。
――20分後。
やっと稀琉が泣き止んだ頃、部屋に誰かが入ってきた。
「!ク…ロム」
入ってきたのはクロムとロスだった。
「おっ。やっと目ぇ覚めた?」
「あ…うん…。あの…助けてくれて…ありがとう。クロム、ロス。」
気を失う前に、2人を見た。
きっと、この2人が居たから今、ここに居るのだろう。
だから、お礼を言った。
「別に〜?間に合って良かったよ」
ニコリと笑うロスにオレは微笑する。
その笑みは今にも壊れそうだった。
「…つーか、このバカ…何が“目が覚めたら知らせるから安心しろ”だ。寝やがって」
クロムはそう言うと溜め息をついた。
やっぱり、そうなんだ…。
ありがとう…麗弥。
こんなオレの為に……。
「まぁ、疲れてたんっしょ」
「ハッ…なら、言うんじゃねぇよ。…おい、起きろ!馬鹿眼帯!」
ガンッと寝ている麗弥の背中に…それも思いきり蹴りを入れるクロム。
「ったぁ!何!?何事なん!?」
蹴られた背中を擦りながら辺りをキョロキョロ見渡す麗弥。
「おら、寝坊助が。起きてたぞ、稀琉!」
「えっ!?」
クロムに言われてバッとベッドの方を見る。
そして、麗弥と目があった。
「稀…琉…」
「麗弥…」
掠れた声でオレの名を呼ぶ麗弥。
心配…させちゃったよな…。
オレは慌てて笑顔を作って答える。
「あっ、ゴメンね、麗弥。看病してくれてありが――」
後の“とう”の部分はきっと、麗弥には届かなかったと思う。
…言ったオレですら、言えなかった自信があるから。
だって…だって麗弥が……。
…麗弥がギュッと抱き締めてきたから。
「れ…麗…弥?」
どうしたんだろうという困惑の気持ちから、オレは麗弥の名前を呼ぶのが精一杯だった。
すると、麗弥は安心した声でこう言った。
「良かった…!ほんま良かった…!あのまま…目ぇ覚まさへんかったらって思ったら……」
「!」
ギュッと抱き締めている麗弥の腕からは痛い程の力が込められている。
その手は微かに震えていた。
「……ッ…」
どうして…?
どうして、こんなに…心配してくれるの…?
オレは…そんな資格ないんだよ…?
でも…………。
自然と麗弥の肩に手をやる。
失いたくない。
オレの…大切なみんなを。
「あっ、ゴメンな」
麗弥がスッと離れた。
「怪我酷いのに…」
「良いんだよ。これくらい…平気だから…」
壊れそうな笑顔を浮かべる稀琉に麗弥の心はチクリと痛んだ。
「…まぁ、そんなのはどうでも良い。…聞かせて貰うぞ、稀琉」
「あっ…」
そうだ…言わなきゃ…。
「ちょっ…待ってや、クロム。まだ起きたばっかりなんよ?」
オレを気遣ってか、麗弥が慌てて口を開く。
そんな麗弥にオレは、麗弥の腕を掴む。
「! 稀琉…」
「大丈夫だよ、麗弥。…約束だもの」
本当はすぐにでも壊れそうな笑みだったけど、なんとか笑って言った。
――言わなきゃ。
オレをずっと…待っててくれたんだから。
オレは深く息を吸って吐いた。
「…ッ………」
カラダがカタカタと震える。
オレの罪を晒すのだ。
やはり恐怖は拭えない。
息が苦しい。込めたくないのに、眉間に皺がよる。
カタカタ震えているオレを見て、今度は麗弥がオレの手を掴む。
「…大丈夫なん?無理せぇひんでよ?なんなら、俺が始めは言って――」
「大丈夫……。それに…麗弥にも…いってなかったことがあるから…だから…オレが話す…よ。クロムとの…約束も守らきゃだから…」
本当は限界が辛いけど…今は乗り越えないといけない。
いつまでも……甘えてるわけにはいかないから。
オレはまた息を大きく吸った。
「……もう12年も前の話しなんだけど…」
やっと、動いた口でオレは真実を語り始めた。
…それは、オレの罪の話し。
そんなオレの話をクロムとロスは黙ったまま聞いていた。
まるで受け入れようとしてるかのように。
それだけで安心できた。
「…オレの家はそれなりに…名のある、名家だったんだ…」
1つ1つ言葉をゆっくりと発した。
皆が、聞く中…オレは話しながら昔のことを思い出した。
まだオレが5歳の時の事を。
あの時のことは…今でも忘れない。
そんなことを想いながらオレは話した。

