「…刹那。こいつにもやらせろ」


「はぁ!?」


さっきのニヤニヤ顔は何処はやら。ロスは窓際から身を乗り出してしかめ面になる。


「それはもちろん!ロスくんは容姿良いから大歓迎よ〜♪」


ご機嫌な刹那とは裏腹にロスは「いやいやいや!」と右手を激しく左右に振った。


「ちょい待ち!なんで俺までやんなきゃなんないのよ!?」


「どうせ俺を『監視』すんだろ?そのついでにやれよ」


「なんでぇ!?お前みたいにコミュ障じゃねぇからやれねぇ事ないけど!」


「ならいいだろうが」


「いやいや!やだよ」


文句を言いながら窓際から降りようとしているモーションに気付いたクロムは刹那の方を向いた。



「うるせぇ。お前も道連れだ。早くシフト表にこいつの名前を書け刹那」


「あー!ちょっとー!?」


降りて刹那を阻止しようとするロスをクロムが邪魔をするように前に立ちつつ「早くしろよ」とシフト表に名前を書くのを急かした。



「はいはい〜えーっと………よし書けた」



「はぁ!?ちょっ…マジかよ!」



にこやかに手にしているシフト表にはバッチリロスの名前も書かれていた。


「クロムてめぇ…よくもやってくれたな」


「知らねぇなぁ。誰かさんが茶化すから悪いんだろ。嫌ならキッチン入ればいいじゃねぇか」


「ぐぬぬぬ…この野郎…」


どうやらキッチンにいる人物はロスにとってもあまり得意な人間ではないらしい。恨めしそうにクロムを睨みつけるロスに刹那は空気を切るように口を開いた。


「ハイハイ喧嘩はまた後でして。とりあえず行ってきてね〜」


パンと手を叩いて今にも起こりそうな喧嘩を無くすように明るい声で言った。


「……刹那てめぇ後で覚えとけよ」


「覚えてたらね〜」


全く悪びれる素振りを見せない刹那に「……覚えとけよ?」と睨みつけるも刹那は目を合わせず肩をすくませた。


「…行くぞ」


「ハァ…クソ。マジ覚えてろよ。てめぇ」


悪態をつくロスを完全無視したクロムは扉に向かって歩き出した。


「行ってらっしゃい〜」


こうしてクロムとロスは口喧嘩しつつも問題の教会に向かった。