―夜―

今日は誰も任務がなく、久々にゆったりしとした1日となった。

「あー、久々やなー、こんなにゆっくりするの」

麗弥が背伸びをしながら言った。

「そうだよね。まぁ、例年…この時期は依頼が少し減るからね」

「そうやなー。やるとしても潜入捜査か、雑務やからなー」

「ねっ。そろそろ秋だしね」

「早いなぁ……」

「本当にね」

後ろの椅子に座ってパソコンをしていた刹那も眼鏡を取ってそう呟いた。

「終わったん?」

「なんとかねー。クロムは報告書書くの早くて早くて…そのまとめもしなきゃいけないから大変なんだよなぁ」

肩を回しながら、刹那はそう言った。ということは、昼間の内に報告書は終わったらしい。

あの状態でよく書けたなぁ…と稀琉はしみじみ思った。

「ほんま、そういうの早いよなー、クロムって。意外とそういうとこ真面目なんねんなぁ…」

「真面目だよね、クロムって」

「そうなんだよ。真面目過ぎて…こっちが追いつかないよ」

アハハと笑う刹那だったが、麗弥の方を見た。

「まぁ、麗弥みたいにギリギリなのも困るけど」

「えーやん、ギリギリでも。ってか、クロムが怪我してた時は別やろ!?あん時は任務続きで大変やったんやから、堪忍してーな。…ってか、クロムがもう少し後に書けば良い――」

そこまで言った時だった。

「…お前が、遅いだけだろ、この眼帯野郎」

「わぁ!ク…クロム!?」

麗弥が慌てて振り替えると、そこにはまだ眠そうなクロムが居た。

「あっ、おはよー。クロム」

「あぁ……」

「少しは寝れた?」

「いや…まだ、7時間しか寝てない」

ふぁっと欠伸をしながらクロムはそう言った。

「7時間って…日本人の平均睡眠時間やん」

「阿呆。俺は昨日徹夜だったんだ。その分を補えてねぇし、大体なんだ平均睡眠時間って。俺は10時間は寝ないと駄目な体質なんだよ」

大真面目にそう言うクロム。

やっぱり、寝ないと駄目なようだ。…なんか、猫みたいだ。

稀琉はこっそりそう思った。

「寝すぎやってー。ってか、クロムっていつ飯食ってるん?」

稀琉と麗弥はクロムが食事をしているところを殆ど見たことがない。何かを口にしている時は大抵お菓子だけだった。

「あ?そんなものいら――「あー、それな?それはなー、いつも不規則だから分からないだけだよ。アハハ」

クロムの言葉に被せる様にロスは言った。

「あっ、そーなん?」

「そーそー」

今度は刹那が頷いた。

…ついでに言えばロスも食事をしてるとこ…見たことないんだよなぁ…。

本当にこの2人は謎が多いなと2人は感じた。