稀「クローどうしたんだろうね」
書斎から出て自室がある方の棟へ向かう廊下を3人で歩きながら稀琉が口を開いた。
麗「大方…刹那に頼まれたんとちゃう?」
いくら異変があるからって急に仕事は止められないだろうし。ロスも頷きながら答えた。
ロ「だな。ところで…どうかした?」
稀「えっ?」
ロ「いや2人でクロムに用事ある様だったから…なんかあったのかなって思って」
麗「!」
首を傾げ唇に人差し指を当てるという可愛い仕草をしながらも…まるで見透かしているような眼光を宿らせたロスが問いかけてくる。まずい…気付かれた!?
稀「えっ?いや…」
麗「たまたまやで?」
嘘が下手な稀琉にほぼ被せるように俺も笑いながら答えた。しかし更に目を細めて…その真意を見るように笑うロスにはそれは通用しないようだった。
ロ「クス…君等もまだまだだね〜。仲間と思って油断してたでしょ〜?隠しても無駄だよ〜?さっき2人が刹那に呼ばれて…その後に2人してクロムに会いに行ったらそりゃあ気になるよ。
「まぁ…あくまで2人共"今、偶然"に会ったみたいだけど?」と少し口角を上げて笑いながらロスは言った。普段はボケッとしてる様に見えるけど…やっぱただ者じゃないな。俺が稀琉をちらっと見ると目が合った。…刹那からロスに言うなとは言われてへんもんな……。賭けになるけどここで隠しても不信感煽るだけやし…仕方あらへんな…。
俺はコクッと頷くと稀琉は肩の力を抜いて深呼吸をして話し始めた。
稀「ふぅ…本当にロスには隠し事出来ないね。実は…最近のクロムの事なんだ」
ロ「クロムの?」
俺達はさっき頼まれた事をロスに説明した。
ロ「あぁ…その事かー」
親指を口元に持っていきながらロスが答えた。心当たりはある様子だ。
麗「てかもうぶっちゃけて聞くけど…実際どうなん?1番近くでクロムを見てて」
まどろっこしい聞き方は通用しないと先程の様子から分かっていた俺は直球で1番分かっているであろうロスに疑問をぶつけた。その質問をした際にロスの目が僅かに光った気がした。
ーーゾクッ
麗「…!」
背筋に寒気が駆け巡っていった。え…なんや今の……。表情に出さずにロスを見るともう普段のロスに戻っており、考えるような仕草をしていつものように答えた。
ロ「んー…まぁ…最近殺し方が酷くなったっちゃあなったけど…昔からそーゆー奴だったからなぁ…。なんとも」
斜め上を見ながら答えるロスはやはりいつものロスであった。…気のせいか?でも………いや。今は余計なことを考えるのはよそう。それより…やっぱロスだと慣れすぎてなんも感じへん様やな…。
確信につかずに若干がっかりしていると稀琉が口を開いた。
稀「ロスは…どう思う?」
ロ「何が?」
ロスはきょとんとした様な顔で聞いた。
稀「クロムの事だよ。だって…アレじゃあ…」
稀琉が言葉を伏せた。仲間を疑うような…まるで人ではないような言い方をあまり口にしたくない事だろう。
麗「そうやな…。普段は変わらんから尚更気になるんだよなぁ。せやからこそロスの意見も聞きたいんや」
俺は稀琉の言葉に補足をした。なんかあるんなら止めてあげたい。そう思いながらロスの言葉を待っていた。ロスは「んー」と暫く考えた後…
ロ「別に特に変わった事はないなぁ…。確かに稀琉達が言う様に輝太の事件あたりから殺し方が酷くなったけど…。さっきも言ったけどあいつ昔からそーだからなぁ。何より普段は全然変わってないしな」
と軽く答えた。
稀「そうかもだけど…」
ロ「大丈夫、大丈夫。俺も近くに居るし、その内落ち着くだろうしな。あいつは大丈夫。そこまで心配する事じゃないよ」
ロスはニコッと笑って答えた。…なんやろ。この笑顔の裏に違う感情があるような…。別にロスなことを信用していない訳じゃない。それでも……なんとなく心の何処かに引っかかりを感じた。稀琉も同じなのか納得しきれていない様子だ。
麗「まぁそうやけど…」
稀「そう…だよね。分かってるんだけど…」
その様子を感じ取ったのか再び目を細めたロスはおもむろに近付いてきた。
ロ「まっ暫く様子見してみたらいいさ」
「なっ?」と言って俺と稀琉の肩に手を置いた。その瞬間心の引っかかりは取り払われたように消えていった。
(え……)
ロスの方を見ると目が合った。その目に映るものは全くと言って良いほど分からない。それを見たロスは口角を少しあげた後ニコリと笑った。その笑顔を見て有無を言わさない圧力を感じた。…でも信じてへんわけじゃあらへんし、ロスの言葉に納得したんだろうと深く考えるのをやめた。
確かにそうやな…。ここで焦ったって仕方ない。俺は頷いた。
麗「…分かった。とりあえず様子見てみるわ」
稀「そう…だね。じゃあ、何かあったら教えてね」
ロ「おぅ任しとけ♪」
ロスはそう言うとまた笑った。
ロ「色々ありがとな?」
先程とは違っていつもよりも優しい目をしながらロスは言った。
稀「?何が?」
麗「なんの事や?」
俺と稀琉は聞いたがロスは明確な答えを言わなかった。
ロ「いや?なんでも。あっと。いつの間にかこんな所まで来てたんだな」
俺等とクロム達の自室がある分かれ道まで来ていた。
稀「本当だー…なんか早いなぁ」
麗「せやな。じゃあ、そーゆー事でなんかあったらよろしゅうな」
稀「よろしくね。ロス」
ロ「あいよ〜。じゃあまたな」
稀「うん。またね」
麗「おう♪」
俺達はこうして別れた。
ロスが部屋の方に戻る俺達を見送ってた時に「……俺を信用してくれて」とニヤッと笑って呟いたのも知らずに。
書斎から出て自室がある方の棟へ向かう廊下を3人で歩きながら稀琉が口を開いた。
麗「大方…刹那に頼まれたんとちゃう?」
いくら異変があるからって急に仕事は止められないだろうし。ロスも頷きながら答えた。
ロ「だな。ところで…どうかした?」
稀「えっ?」
ロ「いや2人でクロムに用事ある様だったから…なんかあったのかなって思って」
麗「!」
首を傾げ唇に人差し指を当てるという可愛い仕草をしながらも…まるで見透かしているような眼光を宿らせたロスが問いかけてくる。まずい…気付かれた!?
稀「えっ?いや…」
麗「たまたまやで?」
嘘が下手な稀琉にほぼ被せるように俺も笑いながら答えた。しかし更に目を細めて…その真意を見るように笑うロスにはそれは通用しないようだった。
ロ「クス…君等もまだまだだね〜。仲間と思って油断してたでしょ〜?隠しても無駄だよ〜?さっき2人が刹那に呼ばれて…その後に2人してクロムに会いに行ったらそりゃあ気になるよ。
「まぁ…あくまで2人共"今、偶然"に会ったみたいだけど?」と少し口角を上げて笑いながらロスは言った。普段はボケッとしてる様に見えるけど…やっぱただ者じゃないな。俺が稀琉をちらっと見ると目が合った。…刹那からロスに言うなとは言われてへんもんな……。賭けになるけどここで隠しても不信感煽るだけやし…仕方あらへんな…。
俺はコクッと頷くと稀琉は肩の力を抜いて深呼吸をして話し始めた。
稀「ふぅ…本当にロスには隠し事出来ないね。実は…最近のクロムの事なんだ」
ロ「クロムの?」
俺達はさっき頼まれた事をロスに説明した。
ロ「あぁ…その事かー」
親指を口元に持っていきながらロスが答えた。心当たりはある様子だ。
麗「てかもうぶっちゃけて聞くけど…実際どうなん?1番近くでクロムを見てて」
まどろっこしい聞き方は通用しないと先程の様子から分かっていた俺は直球で1番分かっているであろうロスに疑問をぶつけた。その質問をした際にロスの目が僅かに光った気がした。
ーーゾクッ
麗「…!」
背筋に寒気が駆け巡っていった。え…なんや今の……。表情に出さずにロスを見るともう普段のロスに戻っており、考えるような仕草をしていつものように答えた。
ロ「んー…まぁ…最近殺し方が酷くなったっちゃあなったけど…昔からそーゆー奴だったからなぁ…。なんとも」
斜め上を見ながら答えるロスはやはりいつものロスであった。…気のせいか?でも………いや。今は余計なことを考えるのはよそう。それより…やっぱロスだと慣れすぎてなんも感じへん様やな…。
確信につかずに若干がっかりしていると稀琉が口を開いた。
稀「ロスは…どう思う?」
ロ「何が?」
ロスはきょとんとした様な顔で聞いた。
稀「クロムの事だよ。だって…アレじゃあ…」
稀琉が言葉を伏せた。仲間を疑うような…まるで人ではないような言い方をあまり口にしたくない事だろう。
麗「そうやな…。普段は変わらんから尚更気になるんだよなぁ。せやからこそロスの意見も聞きたいんや」
俺は稀琉の言葉に補足をした。なんかあるんなら止めてあげたい。そう思いながらロスの言葉を待っていた。ロスは「んー」と暫く考えた後…
ロ「別に特に変わった事はないなぁ…。確かに稀琉達が言う様に輝太の事件あたりから殺し方が酷くなったけど…。さっきも言ったけどあいつ昔からそーだからなぁ。何より普段は全然変わってないしな」
と軽く答えた。
稀「そうかもだけど…」
ロ「大丈夫、大丈夫。俺も近くに居るし、その内落ち着くだろうしな。あいつは大丈夫。そこまで心配する事じゃないよ」
ロスはニコッと笑って答えた。…なんやろ。この笑顔の裏に違う感情があるような…。別にロスなことを信用していない訳じゃない。それでも……なんとなく心の何処かに引っかかりを感じた。稀琉も同じなのか納得しきれていない様子だ。
麗「まぁそうやけど…」
稀「そう…だよね。分かってるんだけど…」
その様子を感じ取ったのか再び目を細めたロスはおもむろに近付いてきた。
ロ「まっ暫く様子見してみたらいいさ」
「なっ?」と言って俺と稀琉の肩に手を置いた。その瞬間心の引っかかりは取り払われたように消えていった。
(え……)
ロスの方を見ると目が合った。その目に映るものは全くと言って良いほど分からない。それを見たロスは口角を少しあげた後ニコリと笑った。その笑顔を見て有無を言わさない圧力を感じた。…でも信じてへんわけじゃあらへんし、ロスの言葉に納得したんだろうと深く考えるのをやめた。
確かにそうやな…。ここで焦ったって仕方ない。俺は頷いた。
麗「…分かった。とりあえず様子見てみるわ」
稀「そう…だね。じゃあ、何かあったら教えてね」
ロ「おぅ任しとけ♪」
ロスはそう言うとまた笑った。
ロ「色々ありがとな?」
先程とは違っていつもよりも優しい目をしながらロスは言った。
稀「?何が?」
麗「なんの事や?」
俺と稀琉は聞いたがロスは明確な答えを言わなかった。
ロ「いや?なんでも。あっと。いつの間にかこんな所まで来てたんだな」
俺等とクロム達の自室がある分かれ道まで来ていた。
稀「本当だー…なんか早いなぁ」
麗「せやな。じゃあ、そーゆー事でなんかあったらよろしゅうな」
稀「よろしくね。ロス」
ロ「あいよ〜。じゃあまたな」
稀「うん。またね」
麗「おう♪」
俺達はこうして別れた。
ロスが部屋の方に戻る俺達を見送ってた時に「……俺を信用してくれて」とニヤッと笑って呟いたのも知らずに。

