ク「一緒に遊んでくれた事、話してくれた事が嬉しかったんだとよ」


稀「っ…」


稀琉は前を向いたまま…俺の方は見ずに手で涙を拭った。


ク「…泣いてんのか?」


俺は分かってたが敢えて聞いた。


稀「だって…。俺は…そんなお礼を言われるような…人間じゃ…ないんだよ…?」


そうだ。


俺等は、裏の世界でしか生きられない…。


それどころか嫌われ者であり、表の奴等からしたら要らない人間だ。


だが……。


俺は淡々と言葉を続けた。


ク「少なくとも…俺よりは資格あるんじゃないか?」

稀「そ…んな事……」


ク「お前は…“悲しい”って感じるんだろ?
だから今、泣いてるんだろ?
だったら…資格あんじゃねぇの?」


稀「ウッ…でもっ…」


ク「でもじゃない。つーか…輝太がそう言ってたんだ。
資格があるとか資格がねぇとか…関係あんの?
まぁ…俺には関係ねぇ事だけどな。
確かに伝えたぜ。俺は戻るぞ。泣くんなら泣くで勝手にしな」


俺はそう言って歩き出した。


後ろで泣いている稀琉を残して…。