Devil†Story

輝「そ…うだ…。稀…琉お兄ちゃん…達に…会ったら…ゲホッ……“ありがとう”って…僕が…言ってた…って…伝えて…くれ…ないかな…?」


輝太が呼吸をする度ヒュウ、ヒュウと音がする。


それだけ弱っている証拠だ。


ク「…分かった。伝えてやる」


輝「あり…がと…う。クロム…お兄ちゃん…」


輝太は僅かに微笑んだ。


輝「ねぇ…お兄…ちゃん…?」


ク「なんだ?」


輝「さっき…言って…たのは…本当だ…からね…?僕…お兄ちゃん…の事…好き…だよ…?これ…は本当の…僕の気持ち…」


ギュ…


「も…ちろん…稀琉…お兄ちゃん達も…好きだけど…ね」と言いながら俺の腕を自分の頬まで持っていった。


輝「やっ…ぱり…落ち着く…なぁ……。クロム…お兄ち…ゃん…の…匂い…ゲホッ…」


その腕を掴む力も…弱々しくなってきていた。


輝「死ぬ…のって…意外に…怖く…ないん…だね……。
ク…ロムお兄…ちゃんが…居て…くれ…るから…かな…?」


ク「…さぁ、な」


寧ろ…怖い筈だが俺は敢えてそう言った。


輝「え…へへ…。でも…これ…で…良…かったん…だよね…。これ…で…お母…さん…も…楽に…なれ…る…から…ハァ…」


声が掠れてきてる。


もうそろそろ限界だろう。

輝「本…当は…寂し…い…けど…仕方…ない…し…。それ…にお…父さんに…会…える…から…平気……」

ク「…そうか」


輝「う…ん…。ク…ロム…お…兄ちゃ…ん」


こっちを見た輝太は少し間を開けてから―――


「あり…がとう……」


そう言って笑い、静かに目を閉じた。


スルッ…


ドサッ


俺を掴んでいた手が地面に落ちた。