「おかえり!」
「………」
扉を開けるなり目の前までやってきたロスはニコニコと笑っている。その顔は今まで過ごしてきても、あまり見たことがないくらい満面の笑みであった。
…キモ。なんだよ、その面は。仮にも悪魔だろうが。そんな間抜けな面してんじゃねぇよ。どんだけ楽しみにしてたんだ、こいつ。
「何、呆けた顔してんだよ!部屋も綺麗にしてやったぞ!ほら!」
そうやって部屋を指差す。確かに部屋はピカピカに磨かれていた。
…呆けた顔してんのはてめぇだろうが。
「はい!」
指差していた手を戻し、手のひらを向けてくる。早く猫饅頭が欲しいようだ。溜め息をついたクロムは手に持っていた、猫饅頭を渡す。
「……それはどうも。お疲れさん」
渡された猫饅頭を受け取ると、キラキラとした表情で中身を見る。
「おぉー!待ってたぜ!どれどれ〜……。ーー!可愛い!!え!実物はもっと可愛い!!」
大喜びでそれを見ているロスは、少年がトランペットを見ているような、純粋な笑顔を向けていた。さっそく机の上にそれを置いて観察し始める。
「アハハ!なんだこの可愛さは!やっぱ人間ってすげえな!こんな可愛いもん作ってさ!」
椅子に座ってあらゆる角度で覗き込んでいる。あまりの浮かれ振りに、流石のクロムも若干引き気味にそれを見ていた。
「………キモ」
「何がだよ〜!はぁー…可愛い〜…。置物はこの箱の中だな!どれが当たるかな〜!」
クロムの嫌味もなんのその。上機嫌で箱を開け始める。蓋を開け、中身を見たロスは更に大きな声をあげた。
「あー!!黒にゃんこ!黒にゃんこだ!!えー!やった!!」
どうやら1番欲しかった置物が当たったようだ。箱から置物を取り出したロスは上に掲げて、誇らしげにしていた。
…うるせぇな。たかが猫の形した饅頭と置物でなんでこんなに、はしゃいでんだよ。よっぽど、こいつの方が呆けてるじゃねぇか。こっちは疲れてるってのに、騒いでんじゃねぇよ。
あまりのロスの喜びように溜め息をつきながら、クローゼットにコートをかけた。
「フフフ〜♪思った通り可愛いな〜。ありがとな!」
そう言ってこちらを見ているロスは、変わらず満面の笑みであった。
…こんな喜ぶとは想像してなかったな。この様子からして、買ってこれなかったら予想通り、締め上げられてただろうな。お節介な稀琉のお陰で免れたーー。
そこまで考えてたところで、クロムの動きが止まる。
「ーー?どうした?」
「ロス。お前、朝に稀琉に会ったらしいな」
「…うん、そうだけど〜?」
(おっと〜?まさか稀琉言ったりしてねえよなー?まあ、買ってきてもらったから別にバレても問題ねえけど、次の時に買ってきてくれなくなりそうだからな〜)
内心そう思いつつ、いつもの様に飄々と答える。
「なんか吹き込んだろ。…あいつが誤魔化す時の癖の事とか」
頭を指した後にフードを指差す。それだけで何を言いたいのかは、想像に容易かった。
(あー…この感じだと、過度に帽子触らない様にしたなー。全く…稀琉ったら両極端なんだから)
表情には全く出さず、じっと睨みつける様なクロムを見返す。
「そうだなー。なんか悩んでるみたいだったからさー?」
「…へぇ。随分優しいんだな?人間を堕とす立場のお前がそんな事するなんて。俺に弛んでるって言う割には、お前も弛んでるんじゃねえのか」
「…ふーん?帰ってくるなり嫌味言ってくるとは。そんなに昨日、俺に突かれたのが気に入らなかったのか?」
「折角、いい気分だったのに」と足を組んでから目を細めて微笑する。クロムは変わらずに睨みつけるようにロスを見ていた。先程までの楽しげな空気から一変し、ピリピリとした嫌な空気が流れる。
「………」
扉を開けるなり目の前までやってきたロスはニコニコと笑っている。その顔は今まで過ごしてきても、あまり見たことがないくらい満面の笑みであった。
…キモ。なんだよ、その面は。仮にも悪魔だろうが。そんな間抜けな面してんじゃねぇよ。どんだけ楽しみにしてたんだ、こいつ。
「何、呆けた顔してんだよ!部屋も綺麗にしてやったぞ!ほら!」
そうやって部屋を指差す。確かに部屋はピカピカに磨かれていた。
…呆けた顔してんのはてめぇだろうが。
「はい!」
指差していた手を戻し、手のひらを向けてくる。早く猫饅頭が欲しいようだ。溜め息をついたクロムは手に持っていた、猫饅頭を渡す。
「……それはどうも。お疲れさん」
渡された猫饅頭を受け取ると、キラキラとした表情で中身を見る。
「おぉー!待ってたぜ!どれどれ〜……。ーー!可愛い!!え!実物はもっと可愛い!!」
大喜びでそれを見ているロスは、少年がトランペットを見ているような、純粋な笑顔を向けていた。さっそく机の上にそれを置いて観察し始める。
「アハハ!なんだこの可愛さは!やっぱ人間ってすげえな!こんな可愛いもん作ってさ!」
椅子に座ってあらゆる角度で覗き込んでいる。あまりの浮かれ振りに、流石のクロムも若干引き気味にそれを見ていた。
「………キモ」
「何がだよ〜!はぁー…可愛い〜…。置物はこの箱の中だな!どれが当たるかな〜!」
クロムの嫌味もなんのその。上機嫌で箱を開け始める。蓋を開け、中身を見たロスは更に大きな声をあげた。
「あー!!黒にゃんこ!黒にゃんこだ!!えー!やった!!」
どうやら1番欲しかった置物が当たったようだ。箱から置物を取り出したロスは上に掲げて、誇らしげにしていた。
…うるせぇな。たかが猫の形した饅頭と置物でなんでこんなに、はしゃいでんだよ。よっぽど、こいつの方が呆けてるじゃねぇか。こっちは疲れてるってのに、騒いでんじゃねぇよ。
あまりのロスの喜びように溜め息をつきながら、クローゼットにコートをかけた。
「フフフ〜♪思った通り可愛いな〜。ありがとな!」
そう言ってこちらを見ているロスは、変わらず満面の笑みであった。
…こんな喜ぶとは想像してなかったな。この様子からして、買ってこれなかったら予想通り、締め上げられてただろうな。お節介な稀琉のお陰で免れたーー。
そこまで考えてたところで、クロムの動きが止まる。
「ーー?どうした?」
「ロス。お前、朝に稀琉に会ったらしいな」
「…うん、そうだけど〜?」
(おっと〜?まさか稀琉言ったりしてねえよなー?まあ、買ってきてもらったから別にバレても問題ねえけど、次の時に買ってきてくれなくなりそうだからな〜)
内心そう思いつつ、いつもの様に飄々と答える。
「なんか吹き込んだろ。…あいつが誤魔化す時の癖の事とか」
頭を指した後にフードを指差す。それだけで何を言いたいのかは、想像に容易かった。
(あー…この感じだと、過度に帽子触らない様にしたなー。全く…稀琉ったら両極端なんだから)
表情には全く出さず、じっと睨みつける様なクロムを見返す。
「そうだなー。なんか悩んでるみたいだったからさー?」
「…へぇ。随分優しいんだな?人間を堕とす立場のお前がそんな事するなんて。俺に弛んでるって言う割には、お前も弛んでるんじゃねえのか」
「…ふーん?帰ってくるなり嫌味言ってくるとは。そんなに昨日、俺に突かれたのが気に入らなかったのか?」
「折角、いい気分だったのに」と足を組んでから目を細めて微笑する。クロムは変わらずに睨みつけるようにロスを見ていた。先程までの楽しげな空気から一変し、ピリピリとした嫌な空気が流れる。

