「あー!輝太じゃん!」
「!」
突然の大声に目を向けると、輝太と同じくらいの小学生複数人がそこに立っていた。ドッチボールでもしようとしていたのか、手にはボールを持っていた。
「あ………太一(タイチ)君…」
段々と小さくなる声に、横目で輝太を見てみると、顔色が悪くなっていた。輝太から目を離し、小学生の集団を見るとニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべていた。友好的な関係ではないのは明らかだった。
「馬鹿な輝太のくせに公園で何してんだよ!今日も宿題殆ど間違えてて怒られたくせに!あんな簡単な問題も出来ないとかさ!」
「あ、あの…僕…」
「何!?聞こえないんだけど!」
「ギャハハ!」と大きな声で笑う小学生達。普段は気にならないその声が妙に鼻につくような気がした。
「つーか1人で何してんだよ!」
「ひ…1人じゃないよ…」
「もしかして隣で本読んでるのと一緒とか!?こんな時間に小学生と一緒にいるとか友達いねぇの!?インキャ同士で一緒にいんのかよ!」
フードを被って顔が見えないからか、クロムの姿を見ても怖気付く事もなく覚えたての言葉を並べている。読書をし、下を向いているので、それが彼らの言うインキャに繋がっているのかもしれない。
…こいつ見るからにバカだからな。危機管理能力が皆無なのかもしれない。
俺はガキの戯言を無視していたが、突如輝太が立ち上がった。
「クロムお兄ちゃんはいい人だよ!悪く言わないで!!」
「はー!?」
「………」
横目で輝太を見ると怒った表情を浮かべ拳に力を入れていた。震えるほど強く握り締め、キッと太一と呼ばれた少年を睨んでいた。
「なんだよ!文句あるのか!?弱虫のくせに…俺にそんな事言うな!!」
反抗されたことが気に入らなかったらしく、持っていたボールを振り上げて輝太に向かって投げつけた。
「ッ…!!」
反射的に輝太は両手で頭を守り目を瞑った。
「………」
ーーバシンッ
「え!?」
「ーー!クロムお兄ちゃん…!」
飛んできたボールが輝太に当たることはなかった。クロムが右手でボールを上に跳ね上げてからキャッチしたからだ。
「なんだよ!!邪魔すんなよ!インキャ!」
「そうだそうだ!」
太一と呼ばれた少年の取り巻き達が一斉に声を上げる。虎の威を借る狐とはまさにこの事かと思いながら顔を上げる。
「っ…!」
軽く睨みつけるとクロムの眼力の怯んだ小学生達は顔が青ざめた。
「……くだんねぇ事してんじゃねぇよ」
思ったよりも低い声に、更に怯む太一達だったが、ハッとした太一が言い返してきた。
「は…はぁ!?お前には関係ないだろ!」
「…お前ね。目上の奴への口の利き方がなってねぇな」
「よく分かんない事言うな!」
「…そんな難しいことを言った覚えはねぇがな」
「うるさい!インキャ!」
「………」
「聞いてんのかよ!」
「………」
「シカトすんな!インキャ!」
何を言っても会話にならなそうな為、無視をすると顔を真っ赤にして怒り始めた。
「おい!インキャのくせして無視すんな!知ってんだぜ?あんたみたいなの社会のゴミって言うんだろ!?どうせ学校にも行ってない、てーへんってやつだ!てーへんのくせに!イキるな!」
「…!」
太一の言葉に輝太は泣きそうな顔をしていた。対照的にクロムは面倒そうな顔をして明後日の方向を見ている。
「そうだ!てーへん!」
「だっせー!」
太一達は一斉に「てーへん!てーへん!」と言い始める。
…それを言うなら底辺だろうが。絶対意味分かって言ってねぇだろ。頭の悪いガキどもめ。どうせこういう奴等に限って裕福な暮らししてんだよな。勉強よりも社会性を身につけさせろよ。
あまりにレベルの低い言い返しに、あからさまに溜め息をつくと更に怒り始めた。
「うざいんだよ!」
「こっち向けよ!バーカ!髪伸ばして女みてぇでキモイ!目の色も変だし!キモ!」
「!!」
その言葉を聞いた輝太の拳に力が入った。クロムはと言うと、その内のあるワードに対してだけ僅かに反応していた。
…このガキ。誰が女みてぇだっての。無視してんだからさっさと消えろよ。うるせぇな。
ぎゃーぎゃーと吠えてる太一をチラリと見る。その近くにいた人物が目に入り、クロムは再度違う方向を見始めた。
「耳ないんですかー!?ボール返ーー」
太一がそこまで言った瞬間、ぬっと腕が伸びてきた。
「はい、ストップ。そこまで」
「!」
突然、後ろから肩を掴まれた太一はビクリと体を震わせた。
「ーー!稀琉お兄ちゃん!」
そこに居たのは稀琉であった。稀琉は太一の肩を掴んでにっこりと笑った。
「!」
突然の大声に目を向けると、輝太と同じくらいの小学生複数人がそこに立っていた。ドッチボールでもしようとしていたのか、手にはボールを持っていた。
「あ………太一(タイチ)君…」
段々と小さくなる声に、横目で輝太を見てみると、顔色が悪くなっていた。輝太から目を離し、小学生の集団を見るとニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべていた。友好的な関係ではないのは明らかだった。
「馬鹿な輝太のくせに公園で何してんだよ!今日も宿題殆ど間違えてて怒られたくせに!あんな簡単な問題も出来ないとかさ!」
「あ、あの…僕…」
「何!?聞こえないんだけど!」
「ギャハハ!」と大きな声で笑う小学生達。普段は気にならないその声が妙に鼻につくような気がした。
「つーか1人で何してんだよ!」
「ひ…1人じゃないよ…」
「もしかして隣で本読んでるのと一緒とか!?こんな時間に小学生と一緒にいるとか友達いねぇの!?インキャ同士で一緒にいんのかよ!」
フードを被って顔が見えないからか、クロムの姿を見ても怖気付く事もなく覚えたての言葉を並べている。読書をし、下を向いているので、それが彼らの言うインキャに繋がっているのかもしれない。
…こいつ見るからにバカだからな。危機管理能力が皆無なのかもしれない。
俺はガキの戯言を無視していたが、突如輝太が立ち上がった。
「クロムお兄ちゃんはいい人だよ!悪く言わないで!!」
「はー!?」
「………」
横目で輝太を見ると怒った表情を浮かべ拳に力を入れていた。震えるほど強く握り締め、キッと太一と呼ばれた少年を睨んでいた。
「なんだよ!文句あるのか!?弱虫のくせに…俺にそんな事言うな!!」
反抗されたことが気に入らなかったらしく、持っていたボールを振り上げて輝太に向かって投げつけた。
「ッ…!!」
反射的に輝太は両手で頭を守り目を瞑った。
「………」
ーーバシンッ
「え!?」
「ーー!クロムお兄ちゃん…!」
飛んできたボールが輝太に当たることはなかった。クロムが右手でボールを上に跳ね上げてからキャッチしたからだ。
「なんだよ!!邪魔すんなよ!インキャ!」
「そうだそうだ!」
太一と呼ばれた少年の取り巻き達が一斉に声を上げる。虎の威を借る狐とはまさにこの事かと思いながら顔を上げる。
「っ…!」
軽く睨みつけるとクロムの眼力の怯んだ小学生達は顔が青ざめた。
「……くだんねぇ事してんじゃねぇよ」
思ったよりも低い声に、更に怯む太一達だったが、ハッとした太一が言い返してきた。
「は…はぁ!?お前には関係ないだろ!」
「…お前ね。目上の奴への口の利き方がなってねぇな」
「よく分かんない事言うな!」
「…そんな難しいことを言った覚えはねぇがな」
「うるさい!インキャ!」
「………」
「聞いてんのかよ!」
「………」
「シカトすんな!インキャ!」
何を言っても会話にならなそうな為、無視をすると顔を真っ赤にして怒り始めた。
「おい!インキャのくせして無視すんな!知ってんだぜ?あんたみたいなの社会のゴミって言うんだろ!?どうせ学校にも行ってない、てーへんってやつだ!てーへんのくせに!イキるな!」
「…!」
太一の言葉に輝太は泣きそうな顔をしていた。対照的にクロムは面倒そうな顔をして明後日の方向を見ている。
「そうだ!てーへん!」
「だっせー!」
太一達は一斉に「てーへん!てーへん!」と言い始める。
…それを言うなら底辺だろうが。絶対意味分かって言ってねぇだろ。頭の悪いガキどもめ。どうせこういう奴等に限って裕福な暮らししてんだよな。勉強よりも社会性を身につけさせろよ。
あまりにレベルの低い言い返しに、あからさまに溜め息をつくと更に怒り始めた。
「うざいんだよ!」
「こっち向けよ!バーカ!髪伸ばして女みてぇでキモイ!目の色も変だし!キモ!」
「!!」
その言葉を聞いた輝太の拳に力が入った。クロムはと言うと、その内のあるワードに対してだけ僅かに反応していた。
…このガキ。誰が女みてぇだっての。無視してんだからさっさと消えろよ。うるせぇな。
ぎゃーぎゃーと吠えてる太一をチラリと見る。その近くにいた人物が目に入り、クロムは再度違う方向を見始めた。
「耳ないんですかー!?ボール返ーー」
太一がそこまで言った瞬間、ぬっと腕が伸びてきた。
「はい、ストップ。そこまで」
「!」
突然、後ろから肩を掴まれた太一はビクリと体を震わせた。
「ーー!稀琉お兄ちゃん!」
そこに居たのは稀琉であった。稀琉は太一の肩を掴んでにっこりと笑った。

