「でっ、出来た!!出来たよ!!」
「…やりゃ出来んじゃねえか。いいか。今の感覚を忘れんな。それとこの後出来なくてもいじけるな。そんな簡単な技じゃねえんだ。1回でも出来たこの経験を覚えとけ」
「うん!嬉しいな!!でも…続けては出来てないよ」
「言っただろうが。簡単な技じゃねえって。お前は結果を急ぎすぎだ。連続技は出来れば達成感があるが、その分1つでも出来ねえとダメというリスクがある。だから1つ1つの技の完成度を上げていくしかねえんだ。お前はまずとんぼの段階で穴を安定させる事と、すべらせ過ぎねえようにする事、入れてやろうと力まねえ事を意識しろ。そこからだ」
「そっか…分かったよ!…ねえ。クロムお兄ちゃん」
「なんだ」
「もしかして…クロムお兄ちゃんは出来るの?この間も教えてくれたよね?」
「……どうかな」
「出来るんでしょ!?僕、クロムお兄ちゃんがしてるの見てみたい!」
「…なんで出来ると思ってんだよ」
「ねえお願い!!どうしても僕見てみたいんだ!さっきの技やってみせてよ!」
クロムの右手にしがみついて、どうしても見たいとせがみ始めた。
…なんでやってやんなきゃなんねえんだよ。
そう思うが俺の側で「お願い!!」とずっと言い続けている輝太の様子を見て溜め息をつく。
…これはこの後も言い続けるなこいつ。稀琉が帰ってきても同じように言い続けられたら…あいつもこれに加わってくるだろうな。そっちの方が面倒か…。さっさと1回やって輝太を黙らせた方が手取り早いな…。
輝太のしつこさに俺は折れ、輝太が持っていたけん玉を右手でとって立ち上がる。
「やってくれるの!?ありがとう!」
「…お前がしつこいからだろ。これっきり見せねえからな。それと稀琉に俺がけん玉やったって言うなよ。あいつうるせえからな。約束出来んなら1回だけしてやる」
「分かったよ!ありがとう!」
ニコニコと笑っている輝太に呆れながらも俺は数年ぶりにけん玉を手に取った。
…久々だからな。感覚を覚えているといいが…。一発で決めてさっさと終わらせちまいたい。
けん軸を上から持ってスッと玉を上げる。数年振りだったが、思ったよりも体が覚えており、とんぼは綺麗に決まった。
…俺が使っていたけん玉よりも重いな。新しい型になったのか?なら…あの時よりも少し引かねえとダメだな。
頭の中で計算し、右に移動させる。けん先に穴が来た感覚がしてけん玉を立てるとそのままけん先は穴に吸い込まれて入っていった。
…よし。これで終わりだな。
1回で出来た事に安堵しながらけん玉を輝太に返した。
「すごーい!!凄いね!クロムお兄ちゃん!!」
けん玉を受け取った輝太郎は尊敬の眼差しを向けてくる。
「…別に。前に練習しただけだ。お前よりもとんぼも滑りとめけんも出来るまで時間かかったぞ」
「え?」
輝太が聞き返した時だった。
「えー!!凄い!!
「!」
背後から聞き慣れた声がした。クロムはその声に反射的にマズイと感じていた。
「あっ!おかえり稀琉お兄ちゃん!」
その言葉に嫌な予感がしながら後ろを振り返る。
「…稀琉。お前…いつからそこにいた?」
嫌な顔をしながら俺は稀琉にいつから居たのか問いかける。
この感じだと…見られてたか?なら最悪なんだが…。
「丁度さっき戻ってたらクロムがけん玉受け取ってたところが見えてさー!それよりもクロム凄いね!数年触ってないとか言ってたのに1回で決めちゃって!もー、オレには見せないって言ってたのにズルイよー!」
稀琉の言葉に俺はその予想が当たった事に頭を抱える。
クソ…よりによってこいつに見られてたとは…!面倒な事になるじゃねえか。
案の定、稀琉も尊敬の眼差しを俺に向けてくる。
「ねえねえ!オレにも教えてよ!オレも連続技やりたい!」
「ハア?てめぇは自分で調べてやれ。それにこの1回しかしねえって、こいつとも約束してんだ。1人でやれ!」
「意地悪言わないでよー!他にもあるんでしょ〜?連続技!教えてくれてもバチは当たんないでしょ?」
「だから1人でやってろよ!」
「いいじゃない!」
そこからの稀琉は本当にしつこく俺が怒鳴りつけても構わずに頼み倒してきた。あまりにもしつこい稀琉についに俺も折れてしまい、技の構成を教える羽目になってしまった。
「…やりゃ出来んじゃねえか。いいか。今の感覚を忘れんな。それとこの後出来なくてもいじけるな。そんな簡単な技じゃねえんだ。1回でも出来たこの経験を覚えとけ」
「うん!嬉しいな!!でも…続けては出来てないよ」
「言っただろうが。簡単な技じゃねえって。お前は結果を急ぎすぎだ。連続技は出来れば達成感があるが、その分1つでも出来ねえとダメというリスクがある。だから1つ1つの技の完成度を上げていくしかねえんだ。お前はまずとんぼの段階で穴を安定させる事と、すべらせ過ぎねえようにする事、入れてやろうと力まねえ事を意識しろ。そこからだ」
「そっか…分かったよ!…ねえ。クロムお兄ちゃん」
「なんだ」
「もしかして…クロムお兄ちゃんは出来るの?この間も教えてくれたよね?」
「……どうかな」
「出来るんでしょ!?僕、クロムお兄ちゃんがしてるの見てみたい!」
「…なんで出来ると思ってんだよ」
「ねえお願い!!どうしても僕見てみたいんだ!さっきの技やってみせてよ!」
クロムの右手にしがみついて、どうしても見たいとせがみ始めた。
…なんでやってやんなきゃなんねえんだよ。
そう思うが俺の側で「お願い!!」とずっと言い続けている輝太の様子を見て溜め息をつく。
…これはこの後も言い続けるなこいつ。稀琉が帰ってきても同じように言い続けられたら…あいつもこれに加わってくるだろうな。そっちの方が面倒か…。さっさと1回やって輝太を黙らせた方が手取り早いな…。
輝太のしつこさに俺は折れ、輝太が持っていたけん玉を右手でとって立ち上がる。
「やってくれるの!?ありがとう!」
「…お前がしつこいからだろ。これっきり見せねえからな。それと稀琉に俺がけん玉やったって言うなよ。あいつうるせえからな。約束出来んなら1回だけしてやる」
「分かったよ!ありがとう!」
ニコニコと笑っている輝太に呆れながらも俺は数年ぶりにけん玉を手に取った。
…久々だからな。感覚を覚えているといいが…。一発で決めてさっさと終わらせちまいたい。
けん軸を上から持ってスッと玉を上げる。数年振りだったが、思ったよりも体が覚えており、とんぼは綺麗に決まった。
…俺が使っていたけん玉よりも重いな。新しい型になったのか?なら…あの時よりも少し引かねえとダメだな。
頭の中で計算し、右に移動させる。けん先に穴が来た感覚がしてけん玉を立てるとそのままけん先は穴に吸い込まれて入っていった。
…よし。これで終わりだな。
1回で出来た事に安堵しながらけん玉を輝太に返した。
「すごーい!!凄いね!クロムお兄ちゃん!!」
けん玉を受け取った輝太郎は尊敬の眼差しを向けてくる。
「…別に。前に練習しただけだ。お前よりもとんぼも滑りとめけんも出来るまで時間かかったぞ」
「え?」
輝太が聞き返した時だった。
「えー!!凄い!!
「!」
背後から聞き慣れた声がした。クロムはその声に反射的にマズイと感じていた。
「あっ!おかえり稀琉お兄ちゃん!」
その言葉に嫌な予感がしながら後ろを振り返る。
「…稀琉。お前…いつからそこにいた?」
嫌な顔をしながら俺は稀琉にいつから居たのか問いかける。
この感じだと…見られてたか?なら最悪なんだが…。
「丁度さっき戻ってたらクロムがけん玉受け取ってたところが見えてさー!それよりもクロム凄いね!数年触ってないとか言ってたのに1回で決めちゃって!もー、オレには見せないって言ってたのにズルイよー!」
稀琉の言葉に俺はその予想が当たった事に頭を抱える。
クソ…よりによってこいつに見られてたとは…!面倒な事になるじゃねえか。
案の定、稀琉も尊敬の眼差しを俺に向けてくる。
「ねえねえ!オレにも教えてよ!オレも連続技やりたい!」
「ハア?てめぇは自分で調べてやれ。それにこの1回しかしねえって、こいつとも約束してんだ。1人でやれ!」
「意地悪言わないでよー!他にもあるんでしょ〜?連続技!教えてくれてもバチは当たんないでしょ?」
「だから1人でやってろよ!」
「いいじゃない!」
そこからの稀琉は本当にしつこく俺が怒鳴りつけても構わずに頼み倒してきた。あまりにもしつこい稀琉についに俺も折れてしまい、技の構成を教える羽目になってしまった。

