くずれる顔に気が付いたのか貴久が私に声をかける。 「まだ早いから誰もいねーよ」 「いや、そんな心配じゃなくて。本当にある?」 「てめえ、俺の事を何だって思ってる。」 ガキ大将。 …なんて言える訳でもなく。 私は押し黙っていた。 「ま、安心してついて来いよ。」 「うん…?」 堂々と入っていく貴久に不安を覚えつつ私はついてい。 あれぐらいの自信があるんだ。 信じてもいいだろう。 貴久はこっちだ、と手招きした。 「あっ」 思わず声が漏れる。