天使と吸血鬼

「起きた?」

上から声が聞こえてきて、
私は顔を上げると、
優しい先生の笑顔があった。

「うん。」

「気持ちよかった。
こんなに気持ちよく寝た事、
最近無かった。」

「私もだよ。」

先生は起きても、
私を抱きしめる強さは、
変わってはいない。

「エリカ?
もし何があっても、
俺に言って欲しいんだ。」

「分かった。」

何故か先生の言った言葉に、
私は重く感じた。
先生は何かを知っている。
私が悪魔界の吸血鬼だと、
疑っている可能性もある。

本当だったら、
殺せるチャンスはあった筈。
なのにしなかったのは、
まだ確信が持てていない
可能性も残っている。