あたしはそのての類のものはオール苦手なのに!


こうしてそびえたつ塔を目の前にしただけで足がすくんでしまう。

心なし黒いオーラが見える……。


結城と一緒に来ればよかったのだが、朝のこともあって、妙な噂でもたてられたら困るので遠慮した。



結城はまだ来ていないようだ。



「一人じゃ入れないよ…。」






「なんで?」



「うぁひゃあっ!」



肩口からいきなりあいつの声がしたのでびっくりして、変な声を出してしまった。

    ・・
それこそ出たのかと思って。



涙目で振り返れば、やつが笑いを噛み締めて立っていた。




「そーゆーの、やめてよ。」


恥ずかしくて顔が赤いのが自分でも分かる。
威厳もへったくれもあったもんじゃない。