ガラガラ 教室のドアの開く音がして、あたしはドアに目をやった。 「おー啓! おはよぉ。」 「おぉ、おはよ」 クラスメートが啓に話しかけると、二人はすぐに廊下へ行ってしまった。 ちょうどカバンを机に置いた瞬間、あたしと目が合った。 その目は あたしの中の何かが、いとも簡単に動いてしまうものが 潜んでいるような気をさせる。 それは、もう2年前からずっと思っていたことで、 あたしは気付かないフリをしているだけだった。