12月の凍る様な風が首筋から容赦なく入り込む。

藤井は身を縮めて、息を吐いた。

ボロボロになったポケットの財布の中身を、もう一度確認した。

絶対に足りない。
しかし今の藤井には精一杯の額だ。

藤井は深く息を呑むと、その店に続く薄暗い階段を降りて行った。