「チョコとお前は完全に包囲されている!!大人しく出てこい、安川!」

「うるせえ!このチョコがどうなってもいいのか!?今すぐこの手で握り潰してもいいんだぜ、ヘヘへ」

チョコを乱暴に握る安川は、窓の外に群がる警察らにニヤリと笑う。

「ーー今年も厄介な事になった」

警部は溜め息を吐いた。2月の寒空に白い息が広がる。

夕日が安川の立てこもる部屋の窓に反射して、まぶしい。

警部の隣には、被害者である白田が青ざめた顔でその窓を見上げていた。

「あのチョコは一年通い詰めたキャバクラ『愛』のNo.1である“真理子ちゃん”からのチョコなんです!!

中には真理子ちゃん直筆の僕への手紙も入ってるんです。

もし義理でなく、本命チョコだったら…どうしてくれるんですか?警察が責任取ってくれるんすか?」


人質もとい、チョコ質を安川に盗られた白田は、今にも泣き出しそうだった。