『あなたを待っていたのですーー』

眠り姫は王子にそうつぶやくと、涙を流した。

通りがかりの美しい王子にキスされ、100年もの眠りから覚めた眠り姫は、その王子の顔を優しく見つめた。

「姫、あなたが目覚める事が出来て本当に良かった。

100年もの長い悪夢は、今日で終わったのです。

きっと神様が、憎き魔法使いに眠らされた哀れなあなたを救うたため、僕の口づけに御力を授けて下さったのです。

姫、あなたは本当に美しいーー。

僕もまた、あなたの様な素敵な姫に出会えるのを今までずっと待っていた様な気がするのです…」

その王子の言葉に、眠り姫は小さく恥ずかしそうに微笑む。
その微笑みは、優しい日差しを浴びて輝き、まるで美しい旋律の如く王子を包んだ。

「姫…よろしければ僕の妻になって頂けないでしょうか?」

眠り姫は突然の王子の言葉に、再び頬を赤らめた。

その頬は赤く麗しい薔薇の色によく似ていた。