立ち尽くす歩道に冷たい風が吹いて、あたしは携帯をポケットにしまった。無視、決定。だって頭が整理出来てない。ごめん。


振り切るように、歩幅を大きくして、また歩き出す。一度切れた着信音がまた鳴りだす。まるで駆け引きみたいだ、なんて。



「おい」




やだ、幻聴まで聞こえてきた。終わりだ。



「聖。」




って、




「無視、か。いい度胸だな」




振り向いた背中、長身の涼しい顔。片手に携帯を持ったその人の泣きボクロ。冬の景色に馴染み過ぎるそのスタイルは、ズルい。