煙草の煙、京ちゃんのトワレ。彼を取り巻く空気は何も変わらない。


「何やってんだろーねー。」


何故か京ちゃんはあたしの頭をポンポンっと軽く撫でるように叩いてからクスリと笑った。



もう、いつもの京ちゃんだ。




「ま、いいや。俺帰るねー、なんかごめん」



京ちゃんはもう飄々とした表情に戻っていて、相変わらず掴み所のない笑顔を向ける。



「一緒に帰んないの?」

あたしの言葉に、きょとんとすると、


「なんで?帰る必要ないじゃん。久瀬さん待ってるでしょー。ばいばーい」


ヒラヒラと手を振る長い指先。



京ちゃんはまたそのまま寒い、寒い、とか言いながら背中を向けた。呆気に取られるあたしを置いて。



男、って本当分からない。