あたしも思わず立ち上がって、左隣にいる相変わらず涼しい顔をした僚を見下ろす。 「追いかけるのか?」 「そのつもりです」 「そうか」 「じゃあ、」 あたしは鞄を手に取って、結局何の真意も読み取れないこの人の傍を離れた。 あの質問の答えは置き去りにしままで。 もう訳がわからない。 僚に再会した事も、京ちゃんが出ていった事も、あたしが京ちゃんを追い掛ける事も。 だから、この心臓の動揺の理由がどこにあるのかさえ。