もう、気付いていた。 どうにもならないと。 仕事中も、ちびっ子達に囲まれてワイワイ騒いでいる時も、 家に帰るこの距離でさえ、 あたしの頭は、『僚』でいっぱいで。 ダメだ。こんな気持ちで、一穂に向き合うなんて出来ない。そう思ったり、 嘘。 一夜限りの事だし、あたしが本当に大事なのは一穂、あんなの無かった事にすればいい。なんて思ったり。 とにかく、 一穂が待ち合わせに指定した場所にあたしは足を向かわせた。