一夜限り。
もしもこの出会いが『必然』だとしても、もう、交ざる事のない『運命』。
だって、あたしには一穂がいる。
僚と出会って一度も見なかった携帯が、怒った様に点滅を繰り返している。それが誰を表すか、なんて考えなくても分かる。
きっとあの優しい彼はひどく心配しているに違いないと思う。
ひょっとしたら、あたしのマンションまで様子を見にきたかもしれない。だから、いない事に気付いたかもしれない。
言い訳、なんて考えてなかった。
答え、なんて出てない。
とりあえず一穂に会おう。
もしも、胸が痛んで、自分の裏切りに後悔して、一穂を失いたくないと思えば、嘘をつく。墓まで持っていく秘密にする。駄目な女で何が悪い、と開き直ってやろう。
だけど、もし、
あたしが『彼』を、『僚』を本能で求めたなら―――――

