* * *

それからあたしは、迎えた静かな夜に、離れるでもなく、彼に優しく抱きしめられたまま、一穂へのどうしようもない罪悪感と、言いようのない彼への感情に戸惑ったまま、目を覚ました。




…やっちまったよ、馬鹿、聖。救えねぇ。





「起きたか」



回された腕は優しくて、当たり前の様に包む。


「君の、名前を聞いてない」


彼、僚は少し不機嫌そうに呟く。


「…教えません」


あたしは目線を逸らして、言った。



「意味、なんてないですから」



確かなのは、身体に残る温もり。後悔してる、そう言えば、あたしのどこかに正当性はあったのか。
だけど、あたしはもう分別もつく大人で、そんな理由付けに得る物なんかないって分かってる。ただ、怖いんだ。名前を教えて、この人に呼ばれる事が。ああ、もう最悪。



僚の瞳が深い闇を取り込んで綺麗に反射する。