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着いたのは彼が泊まっているらしい高級ホテルのスイート。


扉を開けて、フカフカの絨毯に足を置く間もなく彼に抱きかかえられて、どうにかなってしまいそうな深いキスを受け入れる。


あたしだって、こんな事、初めてだ。カウントダウンはもう始まっていて、あたしの理性なんかとっくに壊れて。ごめん、一穂。左手のリングは確かに重いのに。



丁寧に脱がされる衣服。首筋に無数に落とされる唇に、愛を感じた、なんてあたしは馬鹿だ。


もしも、あたしが娼婦なら、彼はもっと高級な女性を買えた筈で、体の欲だけに身を任すなら、こんなに優しく触れなくてもいいのに。



『馬鹿な女』だと思える様に、滅茶苦茶にしてくれたらいいのに。



あたしは、彼の肩を軽く噛む。彼は、そんなあたしに気付いた様に、笑って、



「そうか…なら手加減しない」




低くそう呟いた。