それからも、会話が止まる事はなくて、無口そうなのに端的に話をする彼との会話は意外に楽しくて、いつの間にか、あたしが住むマンション街の近くまで来ていた。



「ここです、ありがとうございました」



だから、なんで、この人と離れるのがこんなに名残惜しいのか。一穂という彼氏もいるのに、不道徳過ぎる。



「…」



彼は、少し考えるように黙ってから、その涼しげな目元をあたしに向けた。二重瞼のスッとした瞳。その横のホクロが有り得ない位、やっぱりセクシーで、絵に描いたみたいな鼻。薄い唇が、少し開く。









「帰したくない、と言えばどうする?」





ああ、もう、その顔と、声は、殺し文句だ。